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匿名
掃除当番のお話、大好きです
前田さん、少し可哀想でもあるけれど
笑いこらえる、まるこ&野口さん
面白かったです!
Posted by ブクログ
本巻はおそらく「ちびまる子ちゃん」の他の巻と比べても出色の出来だろう。むしろ大人になった後に「ちびまる子ちゃん」を楽しむのならば、まず本巻から読んでもいいに違いない。
まず「たかしくんの巻」を読んでびっくりした。お母さんが非常にフューチャーされ始めたからである。実はその前巻でもお母さんが学校に忘れ物を届けたりなど、活躍が目立ち始めていたが、「たかしくんの巻」は明確にお母さんの視点で描かれている。
その謎は読み切りで描かれた「まる子自分の未来を見にいくの巻」で明かされる。漫画家になったさくらももことまる子は対面して、しかもさくらには子供がいる事が明かされる。
作者であるさくらは、ここでまる子という自分の分身と出会うだけでなく、自分の過去の姿と自分の子供(息子だが)も同一化される事になる。
「ちびまる子ちゃん」という国民的作品が文庫にして9巻という短い巻数で最終回を迎えたというのは、ここに原因があるように思う。いわば第二次性徴以前の自分を描いた大人以前のさくらは、母として大人になるとともに「ちびまる子ちゃん」を終えざるを得なかったのだ。
だが、さくらももこが並みの作家ではないのは、上記読み切り後に収録されている「美人は得か?の巻」を読めばわかる。
今まで普通の小学3年生として描かれていたまる子は、本来強い意志で漫画家を目指す非凡な子供である片鱗が垣間見える作品になっており、それは作者自身がまる子から分離し始めた瞬間でもあるように思う。
自分の子供が生まれたことで、逆説的にまる子や自分の子供からも分離して行くさくらは、「共感」が至上命題となっている昨今のコンテンツとは一線を画す強度を持った作品を生み出している。