【感想・ネタバレ】愛と暴力の戦後とその後のレビュー

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Posted by ブクログ 2020年04月03日

アメリカから帰ってくる際に、日本の戦後を理解する必要を猛烈に感じた。
そのため、白井聡と内田樹を読みながら、そうだ、赤坂真理も読もう!と思った。

自らの半生を振り返りながら、戦後とはなにか、アメリカとの関係とは何だったのかを振り返る姿勢はとてもよいと思う。

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Posted by ブクログ 2019年03月10日

偉そうだが「東京プリズン」という小説はそもそも小説技術において稚拙だった。個人的感情を含めての近代史論を展開するには小説は本来もってこいの手法だったはずだが、技術が惜しくも追いつかず作者の思惑が十分に表現できなかったように思う。翻って本作は、エッセイとしていわば「東京プリズン」のサブテキスト的に読ん...続きを読むだが、むしろ感情的にも伝わって小説的な感動も受けたのだ。エーリッヒ・フロムや岸田秀あたりをおそらく経ずにほぼ同じような知見に達していることが驚かされる。英語原文からの日本国憲法の条文解説は、非常に面白い。これだけで一冊さらに掘り下げてほしいくらいだ。

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Posted by ブクログ 2017年10月24日

東京プリズンとパリティになっている。

現代に至る「日本」というキーワードで隠語として隠されているものをむき出しにする感覚。まるで曼荼羅の様に読者個人の日本人観を再構築させる感覚を持った。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年05月11日

 著者の曖昧なことをそのままにしておくのが、耐えられない感じがすごくいい。「戦争放棄をしていながら朝鮮戦争やベトナム戦争の特需で経済発展」「自民党は保守といいながらアグレッシブに改革する」「学生運動での共産主義が流行ったのは他に反体制の受け皿がなかったから」などなどこれまでモヤモヤしながらもそんなも...続きを読むのかなと受け流してきたものが明確になる指摘が多数あった。とても面白く、とても勉強になった。

 これまでに触れた、憲法改正への反対意見で最も腑に落ちて、改正してもいいんじゃないかと思っていたけど、反対したほうがいいような気になった。

 先に結論ありきで、理屈を後付するのとは全く違う感じがよかった。

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Posted by ブクログ 2015年07月06日

アメリカ的近代民主主義に対する戦後日本のラカン的受容(「他者の欲望」の欲望)を指摘し、これを外来の概念を内実の理解を伴わないまま「外来語」としてそのまま受容してしまえる日本語の特質に帰するあたりの言語感覚はさすが。論旨の流れにとっ散らかった印象を受けないではないが、高度成長期から東日本大震災に至るク...続きを読むロニクルを経て、受容したものを結局理解できずに放り出して明治憲法以前に回帰しようとする現代日本のレジームに対する視線は、温かみのある文章に彩られてはいるが痛みを伴うほどに穎敏だ。

個人的には、偶然にも少し前に読んだ中公新書「昭和天皇(古川隆久)」と同様、「決断させてもらえない天皇」に触れている点が興味深かった。本書ではシステムとして利用される対象としてだけしか言及されていないが、本質を突いていると思う。

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Posted by ブクログ 2014年12月31日

同い年の人が書いた文章は歩みが違っても共感性が高くなる。これが同時代性というものか。ただ同時代を生きながら、その中心にいるのではなく、辺縁を歩いているからこそ共感できるのかもしれない。この本のテーマは「物語」か思う。著者の問題意識は、「私たちの現在は、明治維新と第二次世界対戦後と、少なくとも二度、大...続きを読むきな断絶を経験していて、それ以前と以後をつなぐことがむずかしい」そのため「自分たちが、自分たち自身と切れている」ことを出発点に戦後の歩みについて著者が探していく「物語」である。最後にたどり着く結論は、「物語」はマジョリティを作り出す、そしてマイノリティを区別し、暴力性を持つ。だから「物語は弱者(マイノリティ)にこそ必要なもの」との結論に到達するところが救われる。作家が書く文章なので読ませる文章であり、読後感は良かった。

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Posted by ブクログ 2014年07月24日

凄まじい。
プロローグ、第一章「母と沈黙と私」と読んですでに「確かにあったのに、誰も語らなかったこと」が横溢している。
第三章「消えた空き地とガキ大将」は、単独で優れたドラえもん批評。マンガと社会と歴史、現実と願望の関わりに迫った奇跡みたいな評論だ。
第四章「安保闘争とは何だったのか」 こちらもまた...続きを読むハッとする。日米安保の原文は、日本がアメリカに保護をお願いし、アメリカがそれを受け入れる、という書き方である、という指摘。
安保闘争は自国民による戦争裁判だった、参加者は一つ前の戦争と同じく特攻と玉砕で消えた、という指摘。
第五章「一九八〇年の断絶」はちょっと残念。1980年頃のテレビドラマなどから当時の「空気」を描こうとしているため、当時、自宅にテレビのない小学生だった私には「共感をもって」読むことができない。 (分かる人には分かるんだろうなぁ。)

これだけバラバラなトピックを扱い、その中にこれだけ共通する通奏低音を掘り起こしている。
素晴らしい。
経済成長人口増加のおかげで隠せた難がついに隠しきれずに露わになった今、私たちは何ができて何をするべきなのか。そのヒントが記されている。

ドラえもん。日本語。日米安保。安保闘争。バブル。オウム。住民自治。天皇。憲法。これらを貫く「語りえないもの」について語っている。
愛と暴力。
誰の、誰に対する。
それに対する物語の役目と限界。
うん、いい本でした。宿題をたくさんもらいました。

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Posted by ブクログ 2024年02月02日

戦争は永久に之を放棄
すると、

いまや日本人自ら決意
したかの如く喧伝され
ますが、

戦後、アメリカにそう
言わされたのであって、

私たちの当事者意識は
あるようでありません。

平和や反戦を私たちが
誇る至上の美質と語る
ことは、

与えられた美辞麗句に
便乗してるだけの欺瞞
とも感じてしま...続きを読むいます。

「一億総火の玉だ」と
猛り狂う気質は変わる
ものなのか。

アメリカの庇護が消え
隣国の脅威に晒される
いま、

当事者意識のもと憲法
を見直してくなかで、

それでも戦争は永久に
放棄すると言えるのか。

そのメッキが剥がれる
ときは近いのでは?と
思うのです。

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Posted by ブクログ 2022年05月31日

小説は読んだことないけど、講談社現代新書のモテ本は読んだ記録がありました。その頃からこのテーマは考えられていたのですね。
前半は小説家の視点からの日本近現代史という意味でとても興味深い反面、現代社会批評的な部分はあまり共感できないものがあった。
憲法の憲という漢字の意味とか、日本国憲法草案の英語原文...続きを読むとか、言葉は大切にしなければというのは法律家の端くれとしてハッとさせられた。憲法とは何かと問われて法律的(というか芦部的)な説明しか頭に浮かばないのは思考停止ですね。
そもそも法律家として憲法に触れなすぎる。

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Posted by ブクログ 2018年01月14日

ぼんやりした近現代史のとらえかたで生きているからこそ、現在に生きるぼくらの精神構造に少なからずその影響があり、よくわからない矛盾や苦悩が、意識上か意識下か、そのすれすれのボーダー付近から生じたりする。本書は、そのような、ぼんやりとしかわかっていないひとの多い近現代史を、自らもぼんやりとしかわかってい...続きを読むないことを認め、前提にして調査し勉強して、なにか「よすが」のようなものを見つけていくエッセイ。赤坂真理さんは小説家でもおありなので、出だしなどは、小説のそれのように、そして気合も乗っていて、迫力十分。また、肩に力の入った文章に読めますが、読んでいくうちにそれも気にならなくなっていきました。迫力に押されてしまったのかもしれません。終盤に近いところで、「自分が現在だけにぽつんと置かれたようなよるべなさ」と書いてあって、これって多くのひとが感じていることだろうなあと思いました。歴史の連続性を感じ得ずに、現代という舞台にいきなりいる感覚って、勉強不足という言葉では片付けられないものなんじゃないでしょうか?そして、「それは自尊心を蝕む」と続くのでした。現代の日本人はこれだけじゃなくて、いろいろ分裂した概念の板挟みになっていると説明されている。政治に文句は言うけれど選挙に行ったことがない、というひとだとか、社会上の分裂した概念が基盤になってしまっているからかもしれない。

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Posted by ブクログ 2017年12月18日

硬直的でないのは、著者が自分の良心に誠実に向き合って出てきた言葉を紡いでいるからで、そこにちゃんと迷いや葛藤がある。重心の置き場は読者と違うかもしれなくても耳を傾けられるのは、ちゃんと自分の意見を冷静に見つめる視座があるからだと思う。なかなか大っぴらに提示しにくい問立てだけれど丁寧に自分を語ることか...続きを読むら入って様々なことを考察する。面白かった。

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Posted by ブクログ 2017年04月21日

私小説というか,ルポというか.
著者が内面を掘り下げながら戦後を総括している.
感情的な語句が多く,こういう種類の新書はあまり読むことがなかっただけに,言葉を飲み込むのにとても時間がかかる.しかしながら,引き込まれる感覚があった.
戦後日本を振り返るならば,誰も責任を取らなかったし,責任を取ることを...続きを読む避ける世の中であり続けたし.また責任を取ることとはいったい何なのかという問いをもたらしているにもかかわらず誰もそこを直視しない現実が有り続けているということを,思考から導き出している.その思考が果たして正しいかどうかは置いといて,それでも圧倒的に深く考えて表現しているものになっていることは間違いない.そして,その問いはこちら側に投げられている.昨今の政治の世界で怒っていることに対しての危惧感も,「空気」というところからアプローチしているところは,「なるほど」と思わせられる.
理系的な文書では無い分,読み取るのに時間がかかったが,問いのある本という点では良著ではないかとおもう.

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年02月21日

日本人の国家観や出来事評価、政治観について、「普通の人」の感覚で調べ考えたもの。憲法について、天皇について、政治について、原発事故について、なぜ何も言う言葉がないのか、その理由の根幹を考えたという本。確かに、多くのことに共感をもった。

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Posted by ブクログ 2015年12月12日

戦前、戦後についての考察は社会学としても、私がこれまでに聞いたことも考えたことのないもので非常に印象深かったが、この国を覆う閉塞感については個人の経験による考えが強くあまり同意できなかった。たた、我々が恣意的に忘却を選ぶ民という考え方を総論的な本書の読み取りとして感じ、この考えには同意できた。ひょっ...続きを読むとしたら忘れないことは罪にさえなるのかもしれない。社会という眼前に広がるものに恐怖と絶望を感じた。それでも、立たねばならぬだと思う。

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Posted by ブクログ 2015年08月16日

近代というもの、戦後とはいったい何だったのか、学術的な話ではなく、筆者が身近に起こったことを起点にそれについて考察されています。戦後の特殊な一時期にあって、現在にはなくなってしまったもの、その一つに「ガキ大将」などの暴力があり、それが大切だったということを感じさせてくれます。そしてその暴力を、今の私...続きを読むたちは分かることができなくて、その時代の人にしか理解できないものなのだなと感じさせてくださりました。その文脈から、この間の原発事故、オウム心理教のこと、決してて他人事ではないということ、改めて教えられました。

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Posted by ブクログ 2015年08月13日

東京プリズンの作者

私の国には、何か隠されたことがある。

天皇が近代にどう作られたかと言う問題。
なぜ、彼は罪に問われなかったのだろう、なぜそれを、もういけないような空気があるのか、

戦争犯罪人、A級平和に対する罪、B級、通常の戦争犯罪、例えば捕虜の虐待や民間人の殺戮、C級、人道に対する罪、
...続きを読む
物語の作り方は神の作り方に似ている。
1大和物語に縛られ逆に物語に操られてしまう存在でもある、人は自己のよって立つ物語がなければ行きにくい。
世界の宗教の歴史はそれを教えていないだろうか、上とは物語フィクションの最たるものかもしれない。

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Posted by ブクログ 2015年02月20日

「がんばろう東北」ではなくて「嘆いていい、東北。あなたたちのために私たちはがんばる」と東北以外の人が言うのが、筋なのではないだろうか?
に納得。それ以外の言葉は、気持ちの真相に挟まった感じですぐには出てこない断片になって我が身に入った。

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Posted by ブクログ 2015年01月19日

自分が生きるこの社会は重層的に織り成す「何か」の上に成り立っているということを戦慄とともに実感した。

当然ながら「何か」というものは普段生活している中では気づかないし、知るよしも無かった。

本書を通じて一つひとつ、その「何か」が理解していく中で、己の無知さ加減はともかくとして、自分が信じていた(...続きを読む若しくは理解しているつもりだった)この日本の姿が作為的に作られたものであり、虚構であることを知った。

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Posted by ブクログ 2014年07月11日

だいたい日本史はマッカーサーと天皇の写真のあたりで教科書の記憶は消えています。戦後史は公的な歴史とならないままでまた69回目の終戦記念日を迎えます。本書の題名にある「…戦後とその後」は象徴的でただひたすらに時が積み重なる戦後という物語に対するモヤモヤの表明で、ある意味、ま逆の立場の安部首相が戦後レジ...続きを読むームの総決算を希有するイライラ感にも通底するものだと思いました。ただ自民党のそれがひたすらにマッチョへの願いであるのに対して著者のそれは、もしかしたら女性ならでは皮膚感覚で語られていて「違和感の戦後史」と言えるものになっています。その違和感も言葉の定義という根本的な原則からのものであって(憲法とか、チャイニーズ・キャラクターとか…)感覚的でありながら根本的にロジカルなものであるところに共鳴します。自分も終戦と言う言葉がなぜ敗戦という言葉の代わりに使われるのだろう?と常々疑問に思ってきました。感覚と論理の戦後史、たぶん筆者に強いインスパイアーを与えたジョン・ダワー「敗北を抱きしめて」を読みたくなりました。

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Posted by ブクログ 2014年06月24日

永遠のゼロが気持ち悪いのも東京オリンピックにも乗れないのは古いもう対応期限の切れた物語に幻想をみてる人たちは古い物語の幻想に捕われているからなのかもしれない。
震災があっても、変わらず安倍内閣の今の感じとかすべてはそういうものの実体のないなにか、語りづらいものを信じているのか。

『一九八〇年の断絶...続きを読む』と『オウムの語りにくさ』だけでも読めて良かったと思う。

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Posted by ブクログ 2014年06月17日

情緒的、でも好きだ。
「東京プリズン」のわからなさをわかりやすくした分、
多層性がなくなった。新書だからね。
文体の気持ちよさが逆にそれこそ気づかぬままに取り込まれそうになる。

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Posted by ブクログ 2019年10月19日

立て続けに赤坂真理さんの著書を読んでいる2冊目。またも新書でありながら新書らしくないエッセイのような読後感。
戦後の日本といいながら旧態依然、旧弊としたものが厳然とあるいは巧妙にかたちを変えて残っていることや、世のなかが自然と受け入れてしまっているものへの異議を唱えるなどヘソ曲がりな私には共感できる...続きを読むことが多かった。特に地元の町内会にかかわって公園のあり方を検討するメンバーになった顛末は、身近なだけにその異常さ、おかしさがリアルに感じられ恐ろしくなった。
赤坂さんが会ってみたかった人として鷺沢萠を挙げていた!

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Posted by ブクログ 2017年01月16日

ユニークな観点からの戦後史。1964年生まれの著者の視線から、70年代以降の連合赤軍事件、オウム事件、日本語、日米関係、どらえもんやサザエさん。そして遡って60年・70年安保などを説明していく。非常に自然な平易な語り口であるが、結構鋭い戦後の政権批判も含まれている。「どらえもん」のジャイアンのガキ大...続きを読む将としての分析、空き原っぱの存在が消えたとの文章、「さざえさん」に見る家族の仄々とした温かさも失われたなどは成程!かつて学区の存在が未知の世界との境界線だったという感覚は懐かしい!そこからだんだん世界が広がっていった。60年安保は反米ではなく、胡散臭さの象徴である岸信介首相への反対であったと喝破する。これらの闘争の担い手は決して反米ではなく、むしろ米国の民主主義の信奉者であったことは鶴見俊輔が好例だという。逆に岸・小泉・安倍などの系譜が反米・国粋主義と繋がるように思われるのは皮肉なところである。この時代に革命と言うとマルクス主義の切り口しかなかったのは事実なので、誤解を招くとの説明はその通りだと思う。

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Posted by ブクログ 2015年02月01日

「村上さんのところ」Webサイトと並行して読んでいたせいか、取り上げるテーマおよび問いそして考察といった流れが、読者と村上春樹さんの間のおりいって質問・相談したいこと ちょっと話したいこと 私の好きな場所・嫌いな場所 「猫」あるいは「ヤクルト・スワローズ」…に対する問い、回答となじんで来てしまい、ど...続きを読むっちがどっちに書いてあったことか混乱してきました。本書でとりあげてきた安保闘争、オウムも村上春樹作品になっているし、地域、学校の閉塞感についてのくだりも、村上春樹さんの回答を読む限り、一度脱出したところには戻りたくないようですし。

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Posted by ブクログ 2015年01月26日

ところどころに印象的な言葉はあるけど、全体的になぜだか思い込みの強さを感じてしまい少し受け入れられないところがある。まるで無農薬野菜の素晴らしさを説かれているように。

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Posted by ブクログ 2014年10月21日

東京プリズンを読む前に読んでみようと
思って買ってきた。
途中まで面白かったんだけど、途中から
思ってたのと違った。結果、東京プリズンは
読まないことにした。先に読むべきだったかな。。

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Posted by ブクログ 2014年08月03日

20140803 同時代の作者なので内容には共感できる部分が多い。自分がなんの疑問も持たずに生きてきた事に気づかされた。この先は自分も他人事ではなくやれる事をやって行かないとと思わせる本でした。

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