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Posted by ブクログ
世の中に流布するデータを再検証し、今の若者は本当に「かわいそう」な状態にあるのかを論じ、就職難やニート・フリーターの増加の本当の原因を追究する一冊。
「派遣労働者の増加により大学生の新卒採用が減少している」というのは、著者の「派遣労働者は主にブルーカラーであり、大学生の新卒採用には影響はない」という立証によって否定される。この他にも、著者は若者の雇用にかんする様々な言説に論理的に反論している。
単に「若者かわいそう」論を否定するだけではなく、きちんと自身の考えも論じているところが著者のすごいところ。ニートーやフリーターの増加については、産業構造の変化により、人とコミュニケーションをとる必要があまりない仕事(農業・漁業・林業・工場労働など)が大幅に減り、コミュニケーションが苦手な人が働ける場所がなくなったことが原因だと主張する。著者が出会ったフリーターのほとんどは、コミュニケーションが苦手そうだったという。
フランクな文章で書いているけど、けっこう読みごたえがあるし、なかなか深いところまで論じている本だと思う。
Posted by ブクログ
世代間不平等、新卒一括採用、非正規雇用、ワーキングプアなどにまつわる「若者はかわいそう」という論調をさまざまなデータによって論駁した本。
確かに実情を顧みず、安易なムードで若者が語られることは多いと思います。マスコミは「新卒学生の就職率が史上最低だ!」などと他人事のように語るが、「で?それがどうした?」としか言いようがない。情報の精度もあてにならないものばかり。不安と悲惨さを煽るだけ煽って、あとは野となれ山となれ状態。
ですが、やはりこの本の総論には賛成しかねる。「本当に悲惨なのは若者よりも中高年」、「新卒で失敗しても第二新卒があるから大丈夫!」なんて論調で語られても… マスコミの語り口よりはマシなものの、あまり変わり映えはしない。
読んでおいて損はない。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
就職難・派遣叩き・ロスジェネ・貧困etc.はやりの俗説は間違いだらけ!
『エンゼルバンク』のモデルとなった雇用のカリスマが解決策を大胆に提言する。
[ 目次 ]
第1章 「若者かわいそう」ベストセラーを論駁する(論駁1『ワーキングプア』(門倉貴史著)
論駁2『仕事のなかの曖昧な不安』(玄田有史著) ほか)
第2章 流布された「怪しいデータ」を検証する(「貧困率」をめぐるOECDのミスリード;多発するトンデモ「若者かわいそう数字」 ほか)
第3章 対談・教育と雇用の現場から(vs私立4大学キャリアセンター職員―就活の最前線に立つ4人に聞く、就職氷河の本当の理由;vs鈴木寛参議院議員(文部科学副大臣)―文部科学行政のキーマンに聞く、大学問題への処方箋 ほか)
第4章 問題の本丸は何か?3つの地殻変動をどう吸収するか(80年代と現在の間にある3つの断裂;地殻変動に対応するための暴論)
最終章 錯綜した社会問題に解を!(vs湯浅誠・反貧困ネットワーク事務局長)
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