あらすじ
「おとうさんはおかあさんが殺しました。おねえさんもおかあさんが殺しました。おにいさんはおかあさんと死にました。わたしはおかあさんに殺されるところでした……」 保険金目当てで家族に手をかけてゆく母親。 巧妙な殺人計画、殺人教唆、資産の収奪…… 信じがたい「鬼畜の家」の実体が、唯一生き残った末娘の口から明らかに。本格ミステリ大賞候補作 『衣更月家の一族』、『殺意の記憶』と続いていく榊原シリーズ第一作。
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Posted by ブクログ
イヤミスというジャンルでは到底収まりきれない猛毒が仕込んである。はっきりと言うと興奮して一気に最後は読んだ。中毒性があり魅力である。
Posted by ブクログ
今まで読んだイヤミスのなかでも最高レベルで好きな作品だった。これがデビュー作と聞いてびっくり。結末を先に決めてから書いているんだろうけど盲点だった。
正直最後のドンデン返しがなくても面白い作品だと思ったしドンデン返しが評価分けてるのかなとも思った。
まああと正直右利き左利きのところはいるか?とも、、
インタビュー形式はやはり面白い。人間は結局自分視点でしか世の中を見ていないんだなということがわかった。また家族についてもこういう家族になるの可能性が少しでも想像できてしまい、親には大感謝でしかない。こういった作品を経て自分が人間として正しい方に進んでいけたらなと思う。
非常に最高すぎた作品でした。
Posted by ブクログ
好き勝手書きます。ネタバレ注意です!
こいつはまたすごい本を見つけてしまった・・・・・・・。
人生観ねじ曲がりますよ、これ・・・・・・・(勿論いい意味で)
初読の感想は、「読む毒」って感じだった。そのくらい、目を背けたくなるような人間の闇がこれでもかと描かれている。
ちなみに、著者の深木章子さんは元・弁護士で六十歳になってから執筆活動を始めたそうで、弁護士という人生経験がフルに生かされていると思う。(作中によく使われる、法律の穴みたいなのを説明するところとか)
青二才の僕は、読んでいて圧巻としか言いようがなかった。(笑)
文章の構造としては、私立探偵の榊原が登場人物に取材をするパートと、児童公園での依頼主、由紀名とのやはり取材のパートで成り立っており、風景描写とかは少なめ。ほとんどが取材でボリューミー。それでもってこの質である。
余計な描写を省いて、ただただ事件の解決で攻めてくるあたりは素晴らしく、読んでいて決して飽きることがなかった。
内容については、先程も述べたように、複雑な人間関係と歪んだ家族、それらすべてに闇が降りかけられていて、もはや怖気を紙の本から感じ取ってしまうのではないのかと思ってしまうほどだった。胸糞を好む身ではあるのだが、この本は一味違った毒素があった。
特に衝撃を受けたのは、次女由紀名が伯父叔母の家を燃やすところ。最後の章で二度驚くことになるのだが、叔父何やってんだよって思いつつ、そこからの展開(パンツのやつ)に鳥肌が止まらなかった。
亜矢名と哲の純愛的な、でもドロドロしたやつも驚いたけど、個人的にはこっちの衝撃の方が忘れられないかなあ。小さい子に酷いことさせたって意味でね。
このお話を語るうえで鬼畜こと母、郁江の存在は欠かせない。(まあ、結果的には騙される形にはなるものの)よくそんな頭が働くなあって感心しながら読んでたけど、実際にされたらたまったもんじゃないよな、これ。しかもリアリティがあるから怖い。でも、郁江の悪女っぷりに魅了されてしまったのも事実なんだよな。
そして、何と言っても亜矢名であろう! これには騙された! 母親より一枚上手と作中で榊原は言ってるけど、正直上手とかそういう次元の話じゃない(笑)。
依頼しといて平気で嘘ついてるし、自分を死んだことにしてるのには開いた口が塞がらない。犬に家族の肉喰わせるとかやばすぎぃ・・・・・・・。でもやっぱり、そんな一面が現れた瞬間、亜矢名という人物に魅力がわいたのも事実なんだよなあ。
最後もなんだかすっきりしなくて、後味悪いのも亜矢名のせい(おかげ)だな!
総評すると、ここまで悪を詰めた本は久しぶりで、とてもよかった!
自分の感想としては、これで十分。ただ、ここまで悪徳がきれいだと、惚れ惚れしてしまうくらい!
まさに毒とはこのことだと思う。中毒性があるっていうか、この本はやはりすごい本だったんだなあ、って(語彙力崩壊)。
最後に、いい意味で鬼畜の所業を見せてくれた「鬼畜の家」に感謝を!
Posted by ブクログ
私の深木章子さん読書デビュー作。
いやー面白かったーーー!!
あっという間に読んでしまった。
ある事件を調査する探偵が、関係者にインタビューしていく形式のお話。
こういうタイプの小説は好き!
そしてもちろん内容も帯にあるように「驚愕の真相!」です。
などと明るく書いてますが、お話は暗い暗い暗ーいドロドロした物語。
読んでる最中はちょっと気持ち的に沈みます
そしてもちろん内容も帯にあるように「驚愕の真相!」でした…
でもやはり小説としては面白かった!
これは叙述トリックとは言わないないのかな?
まあ、ちょっと映像化は難しいやつですね…
何はともあれ今更なのかもしれませんが、いい作家さん見つけました!!ありがとう〜!
だから読書はやめられないんですよね〜
Posted by ブクログ
どストレートなタイトルと素敵な表紙に惹かれて購入。面白かったです!
タイトルとあらすじから、冒頭から鬼畜な殺人事件とか起こる系かなー?と思っていたら、怒涛のインタビュー尽くし。一体何が起きたんだろう?何の事件?と謎に満ちたスタート。
第2章の時点で依頼人から郁江の恐ろしさが語られるが、物語の前半のため「いやいやこれが真相な訳はないよな…どうなっていくんだ…」とすっかり作者の術中にハマっていく良い読者の私。(怪しみつつも真相は全く予想できないタイプ)
第4章で真相が明らかになった時は、うわああ…と素直に驚きました。
インタビューの中にひとつだけ聞き手が異なるものが混じっていたのは、本当気付かなかった…でも読み返してみると、他は榊原の名前を呼んでいたり、「男」の表記がちゃんとあるんだよね。見事にやられた!
特にゾワッとしたのは、「犬を飼った理由」がわかった時。
いや、冒頭から悲惨な殺人事件とか起こってたわけじゃないので、完全に油断してました!
そもそも、郁江も秀一郎もまさかとっくに死んでたなんて思いもしなかったから、犬が突然死んだのもきっと郁江が殺したんだろうなぁ理由はわからんけど…くらいの気持ちでしたわ。
「引っ越しの夜、なぜかしきりに吠えたという隣家の柴犬と、その二、三日後、突如北川家にやって来た大型のジャーマン・シェパード…。それに加えて、がっちりしたキッチン鋏。そして極めつきは、アメリカ人が使うような特大の冷凍庫だ。」
うわああそういうことか…と。
そういう猟奇的な出来事。大好物です。
にしても亜矢名の行動力、計画性、忍耐強さ、半端ない。目的のために全てを利用していく姿勢、サイコパスじみていてとても良い。
そして、その狂気の根底には歪んた家族の影響が強く、父親に似た男に惚れてしまうところなんかも、最高でした。
やはり真犯人にはその「人格」を形成する上で多大な影響を与えた「何か」があり、それがきちんと描かれるのが好きです。
読み終えてみるとそれまでのインタビュー内での細々した描写も全て伏線になっており、きれいに辻褄が合うのはとても気持ちが良かった。
その、ミステリーとしての気持ち良さと、事件の真相の気持ち悪さが相反しているところが、また良い。
読後感はスッキリしたので、後味悪いとは感じません。事件そのものは、おぞましいですがw
Posted by ブクログ
探偵・榊原の調査を元に事件の全貌が明らかになっていく展開。この展開は個人的に大好物であり、一気に読み進められた。
あらすじからも本当の意味での『鬼畜』は誰なのか想像はつくが最後に明かされた真実は唸らされた。
確かに途中の調査で違和感の感じる人物が出てきたのだが、その違和感も最後でしっかり回収される。
初読みの作家であったが違う作品も読んでみたいと思わせる内容であった
Posted by ブクログ
「北川家」と関わった人たちが、自分がみた「北川家」、噂、思い込み、誤解、嫉妬、憎悪など織り混ぜながら語っていく形で物語が進んで行く。
読み手は、語り手のすべてを信じるのか、疑うのか委ねられ、「北川家」とは、一体どんな家族だったのか、考えながら読み進める。
ヒントや嘘を追いながら、良いところまではいったのだけれど、騙された!!
カバーデザインに惹かれた。
蜘蛛の巣なのに、蜘蛛がいない。
なんだろうっと、思って。
Posted by ブクログ
デビュー作ながら、文章、構成がとても洗練されており、人物描写も丁寧で良い。
構成としては、インタビューがポン、ポンと連続されている中に聞き手が榊原でないものを混ぜるというところや、一つ一つのインタビュー中にアレルギーや利き手などの伏線を仕込むあたりも巧い。
新しさはあまりないが、完成度が高い作品だった。
面白かったんだけどね
関係者の告白と言うか、探偵の関係者への聞き取りで物語が形を現していく展開は、私の野次馬根性をくすぐって、どんどん読み進めました。
ただ、ネタばらしがちょっと力業と言うか、都合良すぎるんじゃないかなー、と。登場人物のアレルギーや利き手の辺り、ちょっと都合良すぎたかなー