あらすじ
明日で「ともろう」、天使で「えんじぇる」、虹空で「にっく」、葉萌似で「はーもにー」、未仁で「みにー」・・・。
最近の子供の名前は、なぜこんなにもイタいのか。
現在、こうした名前をつけられた子供の犯罪傾向の高さや、うつ病の増加、社会的ステータスの低さまでが証明されている。
“キラキラネーム”が生まれる背景には、どんな世相があるのか。日本の未来はどうなってしまうのか。
本書では、昨今の名づけ事情に警鐘をならし、本当に正しい名づけの方法を提案していく。
<目次>
●第1章 めずらしい名前など、めずらしくない
入学式の名簿が大惨事/珍奇ネームか否かの分かれ目/親も気づかないうっかりミス/他
●第2章 名前は子供の人生を決めるのか
珍奇ネームの被害者たち/小児科医と教師の証言/つけられた本人が一番迷惑/他
●第3章 名前で見る日本の世相
勝てない戦争をしていたときの名づけ/「飢え」の国に特徴的な名前/昔の女性に求められていたもの/他
●第4章 奇抜な名を生む深層心理
子供の人格形成で最も重要なもの/赤ちゃんが苦しんだ特異な例/無意識下でおきていること/他
●第5章 無力感はなぜ「自由」を叫ぶか
名前の読み方は自由なのか/日本文化の破壊行為/珍奇ネームの議員の訴え/他
●第6章 名前にまつわる数奇な運命
悪魔くん事件とは何だったのか/お粗末な審判/神戸の少年Aはどのように名づけられたか/他
●第7章 珍奇ネームは私たちへの警告である
なぜ無力感、欠乏感が広がっているのか/細かく準備される時代/名づけに干渉する人たち/他
●第8章 正しい名づけの方法
占い師ではありません/名づけの7つの方法/好きな漢字から作る/他
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Posted by ブクログ
10年ぐらい前の話ですが、病院で小児科の担当をした時から「名前が読めない・・・」って思ってました。が、最近の変わった名前はもっとすごいことになっているとオドロキ。
とはいえ、この本はそういった名前に苦言を呈するものではなく、名づけの歴史からたどりつつ、背景にある社会的な問題について書かれた本です。
心理学的な要素も多分に含まれた内容になっているので、読んでいる途中、「この人いったい何者?」って思ってしまいました。
3章の「名前で分かる世相」が興味深い。
確かに、子どもの名づけの時は「こんな子になってほしいな」等の願いを込めてつけるケースが多いですが、戦時中に人気の名前を見ると、戦況が悪くなったころから「勝」「勇」「勝利」等、勝利の願掛けのようにこの手の名前が多いのが興味深い。
そして、戦争が終わったらパタッとなくなって、代わりに「稔」「実」「茂」など繁栄を願う名前が増えているのもおもしろい。
あと、特筆すべきは・・・
名づけと姓名判断とは別物です。
私は子どもの名づけの時、かなりごっちゃにしてしまいましたが^^;そういうことだったのね。
Posted by ブクログ
要約すると、「珍名をこどもに付ける親は、自分のコンプレックスをこどもに擦り付けている」という事でした。怖いくらい的を射ていました。
確かに企業からすれば、「ぴかちゅう」という名前の大人を雇う気にはならないですね……珍名が飛び交う昨今、自分で改名するシステムが、もっと簡単に出来るようになれば良いと思います。
病院でも賞状授与でさえも名前をちゃんと呼ばれた事がないというのは、結構心が傷付くものです。他人の名前が呼ばれるあの瞬間の疎外感。経験が有るのでよく解ります。
Posted by ブクログ
ついに、いややっとこういう本が出てくれたんだと思って見付けた時は本当に嬉しかった。
増え続ける『DQNネーム』『キラキラネーム』の現状を読み解く本だが、命名研究家である著者が頭ごなしに批判するような内容ではないので安心して読める。
著者が検証するには、名前に現れる世相とは『その時代に求められながらも手に入り難いもの』だそうである。
では子に妙な名前をつける親の心理まで落として考えてみると、自分の抱える欠乏感ひいては無力感が現れているのではないかという推測に行き着くのだ。
親自身の存在価値、生きている実感といったものが無意識に子の名づけに反映されていると思うとちょっとゾッとしてしまった。
子どもが大きくなった時に、親の深層心理を知ることになるんだと思うと気持が沈んで仕方ない。
漢字にまつわる逸話や名づけに関する法律の影響、著者自身による体験記など興味深い話題も多かった。