【感想・ネタバレ】生殖医療はヒトを幸せにするのか~生命倫理から考える~のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

冷凍精子で妊娠して、父親の死後300日経過すると嫡出と認められない。
健康な受精卵を選ぶことは自然か。
自然界では、一定の割合で子孫を残せない固体がある。人間も1割ほどが不妊カップル。

体外受精と精子凍結、卵子凍結が発達した。
同性婚で自分の子供を作ることができる。
代理母出産は、治療といえるか。
救済治療と根治治療の違い。コンタクトレンズは救済治療。臓器移植も救済治療。
生殖治療も救済だが、命の危険にさらされているわけではない。
野田聖子議員は、自分の卵子ではなく米国で卵子ドナーで出産。卵子の老化をしらなかった。
卵子は老化するが、生む能力は年齢によって変わらない。若い卵子があれば出産可能。67歳、70歳で出産例がある。=卵子凍結や卵子ドナー。

性同一性障害の性別適合手術。
根治は脳を直すこと。生殖器官を変えるのは救済治療。正常な生殖器を取っていいのか、という問題点がある。

植毛は許されるか。科学の濫用か。

同性婚のカップルが子供を持てないのは社会的不妊。不妊治療患者と言われる。韓国では、男の子を生むための不妊治療も不妊治療患者とみなされる。イスラエルでは2人の子供ができるまで無料で体外受精を受けられる。結婚していない女性にも認められている。人口の確保が必要だったから。

選択的シングルマザー(計画的、非婚シングルマザーなど)が増えている。少子化の進行を緩やかにしている。
少子化を食い止めている先進国では、婚外子の出生率が高い。スウェーデン56%、デンマーク44%、アメリカ34%。日本は1.93%。DIによって意図的にシングルマザーになるケースが増えている。提供精子人工授精=DI。
子どもが自分の出生を恥と思わないための絵本もある。
子供な父親が不在。子供にとっては出自をさかのぼれないことは欠落を感じる。
遺伝上の父親は探せなくても、兄弟を探すサイトがある。150人の兄弟がいたケースもあった。

男性の精子も35歳をピークに老化する。ノーベル賞受賞者の精子バンクはなかなか妊娠しなかった。
日本では慶応大学で1万人以上の子供が生まれている。
血液型は選べるがそれ以外は選べない。ドナーは匿名。将来の近親婚を避けるため、同一ドナーからの出生数は制限される。
精子ドナーは不足気味。匿名が守られなければもっと減少する。こどもの出自を知る権利とどちらを優先するか。
DIで生まれた子供は遺伝的なルーツを知ることができない、両親が子供に事実を隠そうとすること、で精神的負担を強いられる。
スウェーデンでは精子ドナーの匿名を廃止。精子提供者は激減。デンマークは匿名を認めているため精子ドナーを求める人は、生殖ツーリズムを行うようになった。
18歳で情報開示を請求できるが、申し出は少ない。親が伝えていない可能性もある。

死後生殖は日本では認められていない。婚姻関係にある夫婦のみ。死ぬと婚姻は解消されるから。
凍結胚を使った出産はどうか。イスラエルでは死後1年以内なら代理出産も可能。インドなら、冷凍便で送れば代理母が生んでくれる。

着床前診断は体外受精と遺伝子解析技術が結びついたもの。病気の子を排除できる。男女の産み分け、病気の兄弟を助ける子供を産むこともできる。
アメリカやタイは、この規制が緩く産み分けに使われている。日本では法律はない。ガイドラインで重篤な疾患や染色体異常に限られる。
出生前診断では胎児の治療という側面があるが着床前診断では生むか生まないか、の選択の余地はない。出生前診断でダウン症がわかっても、生むという選択はできる。
新型着床前診断(染色体異常で流産する受精卵を避ける)もある。
これが生命の選別か、不妊治療なのか。

精子バンクで属性を選ばれた子供は、目に見えないプレッシャーを感じる。
顕微授精では、医療者が精子を選ぶプレッシャーを感じる。体外受精では自然に選択が行われるため感じない。

代理出産では祖母が娘の代わりに生むことも可能。
人工呼吸器が脳死という社会問題を作った。体外受精が代理出産という問題を作った。
サロゲートマザー=代理母の卵子を使う。ホストマザー=受精卵を入れる=借り腹、貸し原。卵子ドナーがいる場合もある。母が3人。
日本では法律はない。学会の指針として認められていない。生殖ツーリズムで他の国にいくケースでは、実子として認められないケースもある。日本では代理であっても生んだ人が母。高齢の場合、その事実を確認するため。

韓国の風習でシバジとは、不妊の妻に代わりに男の子を生むための女性のこと。女性を子供を産む機械のように扱うとして人権問題になり禁止。
現代の代理出産も同じような問題。
金銭がからむと新生児売買とも考えられる。

ベビーM事件。代理母が心変わりしたケース。ホストマザーでも起きる。代理母が近親者であったらだいじょうぶか。
子宮は拒絶反応がおきない。精子を受け入れるため。他人の受精卵も受け入れられる。

遺伝上の親、養育の親、生みの親が分解するケースがある。
代理出産を依頼しても、生むまでの間に離婚してしまったらどうなるか。

女性同士のカップルが、精子バンクを利用して子供を産むことは可能。
男同士の場合は代理母を依頼する。
女性機能を残したまま男性になったケースでは、男性が母親として子供を産んだケースがある。日本では、性転換のためには正規の除去が必要なので不可能。
精子バンクは、無精子症の異性婚が対象だったが、顕微授精が可能になり、ひとつでも精子が見つかれば妊娠可能になったため、顧客が減った。代わりに女性の同性婚カップルが主要な顧客になった。

DIで生まれた子供たちは、ドナーに会いたがる。

倫理学では「人間の自由の限界を見極めることができるか」を問う。他者危害排除原則には同意するとして、生殖医療はその範囲か。不妊カップルの救済のみに焦点が当てられていないか。

女性の卵子は胎児のときから卵巣にセットされる。理論的には中絶された胎児からでも採取可能。そこから生まれた子供はどう感じるか。『YASYA』の題材。

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2022年10月24日

Posted by ブクログ

いただきました。ありがとうございます。



生殖関係の各種の話をあれこれ。情報が多くて勉強になる。生命倫理ライターとしてはすばらしい。ただし倫理学者として見れば、なんか規範的な主張をしてほしい気がする。でもそういう道は捨てたというか目指さないのかもしれない。

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2020年06月15日

Posted by ブクログ

現代社会が抱える難しい問題について、考えるきっかけとなる本。わかりやすい例えも交じり倫理的な問題に対してとっつきやすい。
ただ、具体的な場合が多岐に渡る複雑な問題であるため、内容の整理が整っていた方がもっと読みやすかった。

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2014年07月18日

Posted by ブクログ

 バイオエシックスの問題は難しい。医学部でほとんど習わないのだから、科学者にリテラシーを求めるのは結構大変なことだと思う。ジェンダーや性同一性障害の問題、代理母の問題、生まれて来る子の知る権利など、日本ではまだそれほどオープンに議論されているとはとても思えない。セックスアンドザシティーやジーンワルツなどの物語のエピソードを取ってきて、一般の人にとっかかりやすいようにしているのは良いが、引用が長過ぎて、もう少し倫理の専門的な議論まで踏み込んで欲しい気がした。
 この本を要約すると、筆者があとがきで述べていることに尽きるのではないか。すなわち、倫理学的には「人間の自由の限界は、「他者危害」を与えない範囲である」ということだ。この場合の他者は、代理母、ドナー、遺伝的に繋がりのないこどもを育てるパートナー、そして生まれて来るこども自身。
 この問題には当事者が複数いる。そして、当事者が生まれる。つまり、議論は現在だけに留まらず未来に向かわなければならない。翻って、原発や憲法、消費税、国が抱えるほとんど全ての「難問」は現在だけの視点では解決できない。それでも技術は進歩し続けるだろう。未来への想像力、複数の当事者に対する想像力。私達は、ただ考え続けることしかできないのだ。

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2014年05月26日

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