【感想・ネタバレ】百姓から見た戦国大名のレビュー

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Posted by ブクログ 2021年12月21日

面白かった。今までは教科書に書いてある、通り一遍的な理解しかしてなかったが、住民との関係で領国経営のあり方を描いた本を初めて読んだ。ただ、資料が北条氏に偏っている(北条氏しかない?)のは残念。

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Posted by ブクログ 2020年03月07日

2020/3/5
戦国大名の統治について、百姓や農民の視点からそのあり方を述べた一冊。
戦国大名たちからの視点ではなく、百姓、農民からの視点であるというところが画期的、
内容はかなりコアなために難しいものもたくさんあったけど、大筋は2つに分かれていて、1つは、百姓、農民の世界では室町時代あたりからは...続きを読む常に飢饉に晒されることが多くて隣村や近隣の村とのトラブルが絶えない戦争状態が長く続いていたこと。2つ目は、そうした村同士の争いに次第に権力者が介入していうことになっていく。その過程で、北条氏の統治方法に目を向けながら、幕府の権力に従うのではなく、領国を統治する戦国大名に従っていくという構図がどうして出来上がっていったのかを検証していく、というものである。
当時の百姓たちは惣を形成していたというのは学生の頃に勉強する内容ではあるが、それが具体的にどういうことなのかというのがこの本に書いてある。
川の水や山の資源を巡っての諍いはかなりあったようで、権益を得るために仲間集めに必死になったり結構大変だったんだなあと。
また、北条氏の統治方法を見ていくと、そうした村の争いを大名に判断を委ねる仕組みである目安制を作ることで争いをしない方向に持って行くことや、戦国大名の領民から、御国という概念を生み出して、大名のために、国のために、という思いが人々の間に生まれるようになっていったり、現代の戦前のような感じなっていたり…ということにも深く解説がなされている。
新しい視点を持たせてくれる内容である。

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Posted by ブクログ 2017年04月22日

室町が楽しい!時代の前提がわかると社会現象に説明がつくし、一つ一つ腑に落ちると面白味が深くなる
飢餓⇒食料確保⇒争い(戦国時代といわれる背景)
徳政も出される背景を考えれば納得ですね

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2011年09月03日

一ヶ月がかりで(途中で別のも読んでましたが)ようやく読み終わりました。これけっこう目からウロコって感じですね。そうかー、家督相続は権力者たちの私事や政治的都合だけじゃなくて、下々が世直しを望んだから、、、っていうのもあるのかー、みたいな。いまだって私達の希望なんて通らないのに、戦国時代に民意があって...続きを読む配慮してもらえたのか!!みたいな。やー、びっくり。そういうことを知りたくて読み始めたわけじゃないのに、結果的に私達が人殺しの権利(自身を存続させるために)を手放して時の支配者に委ねるにいたった経緯っていうのが、よーーーーっくっわかりました。やー、北条氏すげー、500年も前で滅亡しちゃってるけど、でもこの様々な改革はすごい。とはいえ、権利を委ねた末のひとつの到達点が太平洋戦争とかなんだろうなぁと思ったりするわけなんですが(ry とにかくこれは文句なしの五つ星です。ごちそうさまでしたー。

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Posted by ブクログ 2019年05月16日

前半が深刻な飢饉を背景として、戦争や戦争中の略奪が頻発する話。後半は検地、裁判、楽市など大名が領国経営を発展させていく話が北条氏におもに注目して論じられている。
著者は明言してないが、深刻な飢饉・戦争が経営ノウハウを発展させる土壌になったということだろうか。「では、なぜそれができたのか」ということが...続きを読むさらに気になった。

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Posted by ブクログ 2017年05月22日

戦国の百姓ってなるほど、戦争と背中わせだったのねと。そういう世の中を終わらせたのが信長から家康に至る三傑の偉大さであり、かつ自由をも奪ったのがわかる。

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Posted by ブクログ 2016年03月06日

戦国大名を、個々人の事績ではなく社会システムに埋め込まれた器官として紐解く。重層的な構造の中に位置付けることで見えてくる戦国大名の姿は、いわゆる歴史小説的なイメージとは一線を画す。
近年の戦国研究の進展は目覚しいものがあり、フィクションの世界との乖離はどんどん大きくなっている。そうした研究の成果を新...続きを読む書の形で読めるというのはとても良いことだと思う。

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Posted by ブクログ 2014年12月15日

戦国時代を、底辺(とよく言われる)の農民の目線で見てみる。「村」という単位で見てみる。
戦国時代は、飢饉の連続の時代だったという。それに加えて(なのか、こっちが鶏なのか?)大きな権力がなかったので、戦争が頻発する。
大河ドラマでは描かないけど、どの大名も、戦争となると、戦場地域を荒らし、農作物を略奪...続きを読む、女性はレイプ。
それどころか、ニンゲンを、その昔の黒人奴隷のように「商品」として拉致して売りさばいている。
北朝鮮の拉致問題どころの騒ぎじゃない(笑)。
というか、そういう、「簒奪」という経済活動だったと言っても良い。
その戦争=紛争をブレイクダウン。細分化してクローズアップしてみると。
結局のところ、村と村との、「水=川=水源」や「山=山からの収穫」という「食べるものを得る権益」の奪い合い。
要は細かい境界争い。

例えば、武田信玄さんは、とにかく戦争が強かった?甲斐の国の統治が名君だった?

その裏には。
日常的に恒常的に、常に他国領地に侵略戦争を行った。打って出た。
そうすると、甲斐の国は戦場にはならない理屈。
そうすると、甲斐の村は簒奪されない理屈。
なるほど納得。

上杉謙信は、秋に関東に打って出て、快進撃。越冬して春に越後に戻る。
秋に打って出れば、収穫物を簒奪できる。
そこで大軍を食べさせる。
自国の厳しい冬の食べ物を節約できる(笑)。
で、厳しい冬が終わると、母国に帰る。
うーん、納得。

内政的には、強い権力がなくなったせい?で、頻発する村同士の諍いを調停する。
戦争=殺し合いはいちばん、経済的に不合理だから。
それが一歩進んで、調停ではなく、裁判官役になる。
一歩進んで、「俺に訴えろ、戦うな」という法制になる。
そこからさらに進むと、「戦ったものは理非問わず罰する」。
更に進むと、「もともと、刀や銃を持つんじゃない」。

それはそれで、中央集権の支配を受け入れることになるけど、「村」から見ても、「戦う自由」を手放す代わりに、「とりあえず突然殺されたり犯されたり奴隷にされたりすることはない」という平和を保証されることになる。ギブ&テイク。

ある観点から見ると、大名は百姓=村を支配しているのだけど、
別の観点から見ると、大名は百姓=村の生産、つまり平和を維持するために、場合によっては武力行使せねばならない。
「権力=殺す権利」を持っている人と、「生産手段」を持っている人。
お互いがお互いを必要としている。役割がある。だから、戦国を紐解くと、「徴兵制」的に大名のため、権力のために命を捨てる百姓は、ほぼいない。
みんな平気で、強力な人が来たら寝返る。秀吉が、家康が来たら寝返る。

ここ、一歩踏み込むと。
おらが村、の、水や山などの死活問題なら、隣村と殺しあう。
だが、統合した領地を、裁判官として束ねて他国からの武力行使を抑止してくれる権力。その権力の成り立ちのために殺しあうことはしません。
そういうことですね。

ここ、つまりは…

「そりゃ家族が飢えて死ぬかもなら、殺しあわねばならぬ。
 だけど、例えばだけど。
 アメリカが戦争するから、アメリカと仲良くしている日本としては、付き合いで戦争せねばならぬ。
 だから、アメリカの費用節減のために、日本人も戦場に行って、他人と殺しあう。
 そりゃ、ナンセンス。いやです」

とまあ、そういうことなんですね。

そこまでこの本はハッキリ言及していませんが、そこまで香りを漂わせようとしているなあ、と。
その辺はなかなか、「へー、面白いじゃん」と。

一方で、ちょっともやっとしたのは。
「じゃあ、室町時代、鎌倉時代は、村と、より大きな権力の関係は?どういう社会だったのか」
「戦国が飢饉だった、と特記して言えるのか」
「村の基幹が農業ならば、農業の技術進歩とも大いに関係があるはず、だがそこの考察はない」

というあたりでしょうか。

戦国時代っていうのが…
中央権力の化けの皮がはがれて、いっとき、弱肉強食が剥き出しになった時代。
ユーゴスラビアじゃないけど、タガが外れて、極論、村々レベルで弱肉強食仁義なき戦いの奪い合いになった時代。
それまでのモラルやルールがご破算になった時代。
そこで徐々に勝ち抜きトーナメントのように、ゼロベースから「合理的な権力と生産者の共存」が構築された時代。
そう考えることができるのかもしれませんね。

大河ドラマとも、司馬遼太郎ともちょっと違う。
敢えて言えば、カムイ伝の日置村の、前史的なオハナシの本というか。
割と、悪く無かったです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年10月28日

武田、上杉、北条…数々の群雄が割拠し、しのぎを削った戦国時代。飢饉と戦争で疲弊した百姓は、社会的危機には公然と「世直し」を求めた。生き延びるために、ときに大名の戦争に参加し、また、隣村との境界争いなどにも武具を携えて参集した。いっぽう大名は、百姓に礼を尽くした施策を講じて領国の安定を図った。庶民の視...続きを読む点から乱世期の権力構造と社会システムをとらえなおす。(2006年刊)
 プロローグ 代替わりと「世直し」
 第1章 飢饉と戦争の時代
 第2章 村の仕組みと戦争
 第3章 地域国家の展開
 第4章 大名と村が向き合う
 第5章 戦国大名の構造改革
 第6章 大名の裁判と領国の平和
 エピローグ 戦争の時代の終わり

長らく積ん読状態でしたが、読んでみると滅法面白い本です。
名著である「戦国大名の危機管理」(吉川弘文館)とカブっているような先入観があったのですが、そこはさすが黒田先生、切り口が違います。
当時が慢性的な飢饉の時代であったという事や中世の村の仕組み、戦国大名とのかかわり合いなど、目からウロコです。
特に勧農政策など江戸時代からと思っていたのですが、年貢の減免といった形で進められていたという事も驚きでした。
村の争いが上位権力を巻き込み争いを誘発し大きな合戦に至り、国衆の動向にも影響を及ぼすという流れも興味深かったです。
やがて不経済な合戦を避け、大名の裁判により解決されるようになります(実力行使の否定)が、三代将軍家光の頃までは村レベルでは戦争の時代が続いたというのにも驚かされました。

本書で紹介されている北条氏の統治をみていると、江戸時代と対して変わらないような気がしますが、徳川家も北条氏の統治体制に学び影響かあったのかしらんと思ったりしたところです。

本書は、戦国時代を知る上で必読の1冊と言えおすすめです。

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Posted by ブクログ 2013年07月18日

「『大名主体の社会構造』の下で搾取され蹂躙される『被害者』の百姓」という、一般的なイメージが今更ながら覆される。

村同士の争いに領主を巻き込み、飢饉が起きれば「世直し」としての大名の代替わりを要求…戦乱と飢餓の時代に生きるために戦う、そんな百姓の姿がよくわかっておもしろい。

大名は「支配者」...続きを読むとして以上に「社会システムの器官」として存在し、領国支配が大名と百姓の双務契約で成り立っていた、というのは知らなかった。

それにしても、「ここ二十数年におよぶ戦国大名研究の成果の到達点として、また今後における研究の出発点」とまで筆者が言う本が新書で出るってのは、歴史好きにとって幸福だと思う。

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Posted by ブクログ 2011年09月24日

戦国時代において,村が慢性的な飢饉を背景に形成・維持され,村同士の用益をめぐる紛争に繋がっていたという指摘に驚いた。
有名な武田・上杉間の幾たびにもわたる戦争を事例に,領主間の戦争が村同士の紛争の延長上にあるとし,戦争の実態を明らかにしている。

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Posted by ブクログ 2014年10月27日

[ 内容 ]
武田、上杉、北条…数々の群雄が割拠し、しのぎを削った戦国時代。
飢饉と戦争で疲弊した百姓は、社会的危機には公然と「世直し」を求めた。
生き延びるために、ときに大名の戦争に参加し、また、隣村との境界争いなどにも武具を携えて参集した。
いっぽう大名は、百姓に礼を尽くした施策を講じて領国の安...続きを読む定を図った。
庶民の視点から乱世期の権力構造と社会システムをとらえなおす。

[ 目次 ]
プロローグ 代替わりと「世直し」
第1章 飢饉と戦争の時代
第2章 村の仕組みと戦争
第3章 地域国家の展開
第4章 大名と村が向き合う
第5章 戦国大名の構造改革
第6章 大名の裁判と領国の平和
エピローグ 戦争の時代の終わり

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[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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Posted by ブクログ 2020年07月27日

小田原北条氏の統治が結構進んでいたのか。◆◆室町時代から、知行地を封されても、実力で知行しなければならなかったとか。そういう意味で、信長がまだ分捕っていない国の知行を与えるというのは、別に非情というものではない。これは初めて知った。

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Posted by ブクログ 2011年10月14日

飢餓に常にさらされる戦国時代、国としての領国から豊臣秀吉による国家権力の成立まで。非常にクリアに語られる。これは「どのように中世は終わったのか」の解説本でもある。

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