あらすじ
格差社会の暗部で弱者が借金漬けにされている。デフレ経済下、大手消費者金融会社は低所得者層を貪り、肥大化してきた。その甘い蜜を求めて大手銀行と外資企業が争奪戦を演じている。その一方で、多重債務に陥った利用者はヤミ金に全てを奪われ深い闇に沈められる…。現代社会の地殻変動を活写した渾身のノンフィクション。
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Posted by ブクログ
かねてから、この業界のキャンペーンCMコピー「ストップ借り過ぎ」には非常に違和感を覚えていたが、本書を読んでその意を強くした。「営業努力」という名の押し貸しにはまさに「ストップ貸し過ぎ」のコピーがふさわしい。
「ご利用は計画的に」の一言で全てを押し切ろうとする業界の独善はさすがに金融庁をはじめとする当局の怒りを買い、グレーゾーン金利の撤廃という事態にまで発展したが、忘れてならないのは提携や買収により巧みにこの分野に進出したメガバンクの理念なき経営体質である。本書で描かれる下流消費者~闇金融~大手消費者金融と連なる食物連鎖ピラミッドの頂点が、今や空前の利益を稼ぎ出しながら法人税すら納めない彼らメガバンクであることは、弱肉強食の自由主義経済の下ではごく当然の帰結といえるかもしれない。