【感想・ネタバレ】田辺聖子の小倉百人一首のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

昔、岡田嘉夫さんの絵に惹かれてつい買ってしまった本です。
読んでみたら高校時代に国語便覧に基づいて習った百人一首の何倍!もおもしろく感じました。


私の通っていた高校では、やたら百人一首の暗誦に力を入れていたので一応、百首ひととおり、歌の意味もあわせて授業でやりました。でも「やらされている」って感じで正直あんまりおもしろいと思わず、書取りのテストがかなり苦痛でした。ちゃんと覚えてなかったら覚えていなかった歌を10回ずつかいて提出しなければならなかったというのがたまらなくイヤでイヤで・・・はっきりいって地獄でした。当然腕は疲れるし。


今も思うけど、何のためにあんなことをしたんだろう。それよりも観賞のポイントや時代背景を解説してもらったほうが何倍も親しみを感じられたはずなのに。
(これだけのことをさせるんだったら、学年でクラス対抗百人一首大会でも開催してくれたらもっと燃えるのに、そういう企画もなく。。。)


とはいえ何も得るものがなかったというわけではなく、おかげで、今回この本を読んだとき、どの歌もな〜んとなく覚えのあるなつかしい響きがあったのでまぁいいか、って今は思ってますけど。


この本は、それぞれ一首ずつ筆者・田辺聖子さん独自の現代語訳を交えながら、作者はどんな人だったのか、から歌が詠まれた背景などが書かれています。
また、文中に与太郎さんという青年と熊八さんというおじさんが登場し、彼らは現代感覚で私たちが感想として持ちそうなことを代弁してくれているのがおもしろい。


 私のお気に入りの歌は
 「長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れてけさは ものをこそ思へ」です。


 訳を本文から引用すると
「あなたのお気持ちは末永く続くのかしら どうかしら 私には確信がもてない わからないわ ゆうべの 恋のさなかは信じられるように思ったけれど 今朝は千々に乱れるこの黒髪のように わたしのこころも思い乱れずにはいられないの」


 百人一首に限らず、学校で和歌の現代語訳をやると、本当ならば色っぽい歌のはずなのに極力その色っぽさが薄められて授業でたたき込まれているような気がして、それがまたおもしろくなさを助長しているような気がします。恋愛に興味のある中・高生だったら当時の恋愛のスタイルとかも併せて授業で聞けたらもっと古典が好きになるのになぁ。月がキレイだの、山がキレイだのとぐだぐだ聞かされても、当時の自分たちの興味の対象を思い返してみても「はぁ、そうですか」ぐらいにしか思えないし。
年をとった今なら多少楽しめるんだけどね。。。

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2014年03月11日

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