あらすじ
人類史上初めて登場した「知能」を提供するインフラで我々の世界はどう変わるのか?
歴史上のあらゆるインフラの事例から導かれる共通法則《インフラメカニズム》で、これからの社会の変化を紐解きます。
今後、生成AIが世の中の有様を大きく変えていくことは間違いありません。では、具体的にその変革はどのように起こるのか?
そのヒントを求め、「過去に新しいインフラやビジネスプラットフォームが整備されたことで世の中がどう変わったか」に関して、水道・電気などのライフライン、道路や鉄道といった交通インフラはもちろん、活版印刷技術やGPSなどの技術インフラ、アマゾンやYouTubeといったビジネス・エンタメのプラットフォームも含めたあらゆる事例を収集して分析しました。その結果、「インフラによる世の中の変わり方」には一定の共通法則が存在することがわかったのです。
こうしてたどり着いたのが、《インフラメカニズム》という考え方です。
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Posted by ブクログ
情報通信業界にいる人は、一読の価値がある。
AIが世界を変えるといわれてもぴんとこないけれど
道路ができて物流や権力の支配が変わったり
エレベーターによって、アパートメントの上下階の価値が変わったり、といった様々な例が提示される導入で、硬い頭がほぐされる。
そして、AIによってビジネスや文化が均質化されていく(アメリカ寄りになる)ことや、特権などの民主化など、興味深いテーマが取り上げられる。
そして後半では、人間がやるべき仕事、残るであろう分野についてわかりやすく例示されている。
すべての人に管理職的な視点が求められていくような感じで、そのような教育が必要になっていくのではというのは私の感想です。
じっくり読みなおしたい本であるが、1年後はまた見える景色が変わっていく変化の速いテーマなので
現在地として、今読むべきと思います。
Posted by ブクログ
生成AIにより、インフラ(一般的なライフラインに限らず)がどう変化し、それが生活にどう影響するかを網羅的に語った一冊。
AIで世の中どうなるか、は色んなところで語られているが、その大半は本書の内容に集約されるのではなかろうか。
過去に登場したテクノロジーによって他のインフラや生活がどう変わったか、の豊富な歴史的事例を踏まえ、AIにアナロジーとして落とし込むライブラリの広さはあっぱれで読み応えあり。
「これからの時代の生き残り戦略」も語られているが、そこはやや退屈だったかな。
Posted by ブクログ
ゆるコンピュータ科学ラジオでの制作秘話も込みで凄い本です
面白エピソード多すぎて最早疲れますが、示唆に富みます
個人的には、恐らく筆者が描いた爆進的な変化は起きないという感覚です。それぞれの変化は起きるけど、良し悪し両方のフィードバック効果や自己再帰的な影響が絡み合って、水面下かつゆるやかな変化になるだろうなとなんとなく思いました。なんとなく。
Posted by ブクログ
仕事でいつも触れてはいるのに、
相変わらず機会音痴でパソコン作業も苦手。
自分で考えることも得意でない。
でも頑張ってAIに頼りながら仕事を進めることで、以前より格段に仕事がしやすくはなっている。
自分がNPC(ノンプレーヤーキャラクター)化しつつある自覚、なくもない。
セレンディピティ(偶然の幸運)、恥ずかしながら初めて知った。
大事にしたい。自分で考えて行動した先にしか本当の手応えや達成感を感じられない。
*自分で思考し、葛藤し、独自の答えを導くというコストをAIに委ねた結果、個人の行動がシステムの最適解に従うだけの「予告可能な行為」に置き換わる。意思決定の当事者から外れた人間は、何が起きても同じ行動を繰り返す傍観者になる。
↓
* 「無駄な偶然」や「意味のある失敗」が排除されてしまう。
Posted by ブクログ
みんな!気をつけて!
この本、後で読み返そうと思ったところに付箋を貼っていくと、気づけば全ページに付箋を貼っていて「いや付箋の意味わい!!」ってなるぞ。
恐ろしい子・・・。
東京大学先端科学技術研究センター特任准教授。
東大の博士課程を特例により1年短縮して収めたという知性の化物。
江崎貴裕さんによる知的興奮が詰まった本です。
数理モデリングを専門とし、それを使った物流サービスを提供する会社も経営している著者が、インフラの歴史と構造を紐解きながら、新たに生まれた知能のインフラ「AI」がもたらす世界を予想する。
みんな大好きAIの話は言わずもがななんだけど、その前の、
インフラとは何者で、どんな変化を社会や人間の認知にもたらすか。
という話がめちゃくちゃ面白いです。
インフラは人間の認識を変え、価値観を変え、社会構造を変える。
そしてAIは知能のインフラとして、初めて世界に「蛇口をひねれば知能が使える」という状況を作った。
ではこれからの世界はどのように変わるのだろうか?
ちょっと付箋が多すぎて要点が絞れていないので、
気になったトピックを中心にメモ。
■ 時間、距離、空間の認知を変えたインフラ
・電気が睡眠を変えた。人は元々分割睡眠を行っていた。
いつも夜中に目が覚めてしまう人っていると思うんですけど。
寝なきゃ寝なきゃと思ってもどうしても目が覚めてしまう。そんな方に朗報です。それって正しいことみたいですよ。人間は元々分割睡眠をしていて、夜中に一度起きて、談笑したりお茶をしたりして、再び朝まで眠るというサイクルで暮らしていたそうなんです。
しかし、電気というインフラが行き渡ることで、外が暗くなったら照明をつけて過ごし、寝るときには消す、という習慣が生まれた。
これにより朝と夜の境界が明確になり、夜は寝るもの、朝は起きるものという認知に変化していき、元々行っていた分割睡眠の習慣が薄れていったと考えられるそうです。
どうりで夜中に目が覚めるわけだ。自分が初老だからかと思ってた。
誰が初老だって?
・エレベーターができる前、高層階は貧困層の場所だった。
いまでこそ高層階は富裕層の居住区ですが、これはエレベーターがあって初めて成立するもの。エレベーターが発明される前は、富裕層はアクセスの良い下の階に住み、貧困層が苦労して階段を上がり、屋根裏などの上層階に住んでいたようです。いまと価値観が真逆ですね。高層階のインセンティブは全て技術インフラがもたらしたもの。本来、人は地面から遠く離れて生きるべきじゃないんだ。
土に根をおろし風と共に生きよう。種と共に冬を越え、鳥と共に春をうたおう。(天空の城ラピュタより、ゴンドアの谷の歌)
・音楽の長さを規定したCDの規格。
IT技術が発達する前、音楽の長さはいまよりもずっと長く、多様でした。音楽に触れようと思うと、どこか社交場に出かけていって、腰を据えて聞くものだった。しかしレコードが発明され、音楽を家に持ち帰れるようになるとその環境が激変。生活の中で音楽はどんどんコンパクトになっていきます。
例えばCDの規格はベートーベンの第九が入る長さを基準に作られたそうですが、逆に言えばこれ以上長い音楽を人間は聴かなくなったということ。さらにポータブルプレーヤーで音楽を持ち歩くようになると、ながら聴きが基本になり、音楽自体もより短く、抑揚のはっきりしたものへと変わっていきました。
いま僕らが聴いている音楽は一曲だいたい3分程度にまとまっていますけど、これは音楽プレーヤーというインフラによって外から規定されたものということですね。
・電車が時間の認知を変えた。
待ち合わせをする時、昔はもっとずっとおおらかでした。もちろん時間の概念はありましたが、だいたい、このくらいの時間にそのへんにいること。が待ち合わせの基本で、早めに行って待つのが当たり前でした。しかし電車の普及がこの習慣を変えたと言われます。決まった時間に必ず来る電車というインフラが生活導線の基盤として定着することで、時間というものは皆に等しい基準で流れていて、それにぴったり合わせて行動するべきだという認知が定着していきました。それまでは遅刻の概念ってあんまりはっきりしてなかったんでしょうね。
■ 供給が増えると需要も増える。人は供給を決して余らせない。
インフラと人間の関係の特徴として、「供給が余らない」ということがあるそうです。
かつてニューヨークで車が普及し始め、道路の整備が追いつかず渋滞に悩まされていた時、渋滞緩和を目的に橋を増やしたところ、むしろ車の需要が喚起され、渋滞状況が悪化したということがありました。需要のあるインフラを整備し供給すると、人は余剰分をすべて使い切ってしまう傾向があるという事がわかります。
これは、我々がAIによって仕事が効率化された分、余った時間でまた同じような仕事をしてしまい、結局楽にならない。ということと同じですね。
■ 前半のまとめ
音楽の長さが揃っていくように、皆が決まった時間に寝て決まった時間に起きるように、インフラには対象を均質化させる力があります。
知能のインフラであるAIもおなじく、思考や価値観を均質化させていく。
既に世界は、英語圏で作られたAIの意思決定に頼ることにより、思考パターンが欧米的価値観に寄ってきているという研究結果も示されます。
我々は無自覚にAIインフラがもたらす認知の変化にさらされている。
それは既に起きていて、今後の我々の世界に大きな影響を及ぼすかも知れない。それを分かったうえで進もうね。
というあたりが概ね前半の内容で、まだまだ序盤でこの濃度。
後半は、じゃあどうすればいいか。そんな産業にどんな変化が起きそうか。AIに奪われない仕事はなにか?人間の価値はどこにあるのか?などが紐解かれていきます。
ただもう、ちょっと、付箋の数が多すぎてここからは写経になっちゃいそうなのでこの辺で踏みとどまることにします。
読んだらきっと、誰かと話したくなるはず。
書いたばっかりなのにもう話したいもん。
ぐぎぎぎ・・・。
Posted by ブクログ
生成AIが今後世の中に対してどのような影響を与えるのか?という難しい問いについて、生成AIを単なる技術ではなくインフラとして捉えなおし、過去の様々なインフラの波及プロセスを参考にすることで、少しでも予測可能なものとして考えることができないかと試みている一冊。
Posted by ブクログ
法やエネルギー、交通などのインフラが今日に至るまでどのように整備され、またどのような障壁があったのかを主軸に、
今後AIはどう整備されてどこまでの権限を持つのかを予想する一冊。
AIに対して理解が浅く、これまで漠然とした期待と恐怖を抱いていたが、この本を読んで具体的に「AIができること」「社会がAIとどう向き合うか」が明確になり、AIに対し鮮明に期待と恐怖ができるようになった。
Posted by ブクログ
ゆるコンピュータ科学ラジオを聞いて買ってみました。
インフラはこれまでも我々の振る舞いに大きな影響を与えてきたわけですが、AIエージェントの登場によって我々はどういった振る舞いをするようになるのかという触れ込みに惹かれて買ってみましたが、期待通りの内容でした。
個人的には仕組みが人にどういった影響を与えるかというのは自身にも影響があり興味もある箇所なので、この本はめちゃくちゃ付箋貼りました。
個人的には、AIエージェントが出てくることでNPC化する人ってそれまでもそうありたかったがすぐに聞ける先が無かった人なんじゃないかという気がしたりしますね。なので、そうなることはあまり不幸な話ではないのではないかという気がします。
図も豊富なので難しかったのかもしれないですが、線引いたり、メモを残したりし易いので個人的には電子版が欲しかったです。
Posted by ブクログ
生成AIという新たなインフラは世界に何をもたらすのか?
インフラ整備の歴史から今後どうやって生成AIと共生していくかについて論じた本でした。
前半のインフラの歴史も興味深くはあったものの、技術書として面白くなってきたのは後半になってからだった印象。
数十年後の人間たちがどうなっているのか、今から楽しみですね。