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Posted by ブクログ 2021年06月06日
2つの殺人と思しき事件や美術作品の贋作のトリック、古書業界や大学の研究室の内幕なども面白く読ませるが、なんといってもこの推理物を通してアプローチされる「写楽は一体誰なのか?」という日本美術史上のミステリーへの謎解きが圧倒的に面白い。
Posted by ブクログ 2012年03月26日
これは傑作ですね。
前半の写楽とは誰なのか?
という謎を大学助手の津田と冴子、アドバイザーの国府の3人が
解いていく歴史ミステリーの要素と
後半の実際に起こる殺人事件を解くミステリーの要素とが
絡み合う構造になっているが
前半の歴史ミステリーのところが
浮世絵門外漢の自分でさえのめり込んでしまった...続きを読む出来。
中盤の西島・吉村が写楽の謎解明の手柄を横取りするあたりから
やや俗っぽくなってしまって興ざめな部分が出てきてしまうけど
終盤の国府の手記からは再び盛り返して最後まで読ませる。
筆者自身が浮世絵研究をしていたこともあり
浮世絵への愛と好奇心と知識がみっちり詰まっている。
ラストは嵯峨がしかけた罠を見つけるのではなくて
昌栄ではない写楽を見つけるところで終わって欲しかったかな。
Posted by ブクログ 2024年04月14日
写楽殺人事件 高橋克彦 講談社
前半は浮世絵史を紐解くようなドキュメントタッチでワクワクさせられ
後半は推理小説そのものでドキドキすることになる
この小説は
わずか10ヶ月間彗星の如く登場して消えた
写楽が何者であるかの謎解きと
完全犯罪を解明する探偵小説の両方を
楽しめるコリに凝った欲張りな設定で...続きを読むある
写楽の名に惹かれて読み出した身としては
歴史の謎に引き込まれ盛り上がったところでいきなり詐欺と復讐と殺人に物語にすり替わり
肩透かしをくらう後半の展開でガッカリはしたものの
結局最後まで読まされてしまうことになったのだが
夢を壊されたようで読後の気持ちの整理がつかないままで何とも苛立たしい
Posted by ブクログ 2021年10月04日
高橋先生の浮世絵への造詣の深さが存分に感じられる作品。
前半は写楽=昌栄説の立証のための証拠集めであるが、少しずつ足りないピースが埋まっていくのが非常に楽しいシーン。良平と冴子の仲睦まじいやり取りもあり非常に軽快に読み進みられる。ここはザ高橋作品といった感じで理詰め理詰めで可能性を削っていくのが面...続きを読む白い。正直、馴染みのない人名が多く、振り返りながら読むことになったが、1つの学問書を読んだ気になれるのでこれはこれであり。
後半以降で、2つの死をめぐり、事件が発展していく。利権の塊であり、とても醜い学閥の世界。嵯峨と西島、どちらかは良い人かと思っていたが、どちらもかなりの悪人で逆に衝撃。スッキリとした終わり方ではないが、写楽=昌栄説が捏造にもかかわらず実は真実に迫っていた可能性があるというのは非常に皮肉的で、必死にこの偽説を追っていた良平目線としては少し溜飲が下りる思い。
…オレ達は浮世絵から見れば、通りすがりの人間でしかないんですよ-放っておいても、浮世絵は自分だけの力で遺り続けていったのに(348p)
Posted by ブクログ 2014年11月16日
写楽別人説の一つの仮説が事件に深く関わってくる展開に頁を繰る手が止まりません。フィクションとしてたいへん楽しめました。でもノンフィクションとして、写楽=歌川豊国だと私は思っています。
Posted by ブクログ 2013年04月13日
東洲斎写楽が近松昌栄であるとの仮説を追う大学の研究者 津田の活動を主軸として、その周辺におこる犯罪を描いています。浮世絵研究者としての経験が遺憾無く発揮された著者のデビュー作です。この分野に暗くても十分楽しめます。
Posted by ブクログ 2012年11月28日
まぁ~~、読みはじめて
「あら~、こりゃあ、すごいものを読み始めちゃったな~」
って思ったわよぉ。
浮世絵師の写楽が、近松昌栄であった。という説を軸にして書かれているんだけども、これがすごいのなんのって。
日本史苦手な私は、最初は真剣に理解しながら読んでいったんだけど、津田が東北に調査に行ったあたり...続きを読むから、なんか分からなくなってきたの。
読みながら、こういう構成はなんとなく「ダ・ヴィンチ・コード」に似てるな~と。
本当にあった歴史的背景を芸術に絡めたミステリー。
スケール、でっかいです。
今まで、「写楽が浮世絵師」だとは知ってたけど、そんなに謎の多い人物だとは知らなかった。
そして、本物やら偽者やらの浮世絵の世界に、政治的絡みも、現代の個人的絡みもはいって、なんかすごかった。
ここまで書かれちゃったらね~、誰も浮世絵は語れないでしょ~。
はぁ~、まさに脱帽です。
しかしね、師匠が弟子の手柄を横取りする。とは!
ほんとむかつくね。
私だったらね、自分にいくら権力も地位がなくても、自分でやり遂げたことは自分で公表するね。
Posted by ブクログ 2011年12月08日
著者自身が浮世絵研究家としてミステリーついでに自説発表しちゃったYO!と当時話題になったという。現在写楽の正体は判明済みだそうだが、これ読んで浮世絵ってゴイス!と思った。
Posted by ブクログ 2011年10月01日
推理小説として読むと、普通くらいなのですが、浮世絵研究家が書いた浮世絵を題材にした小説で、写楽という絵師の謎解きを織り交ぜつつ書いてあるので、浮世絵が好きな方には楽しめる小説ではないでしょうか。
Posted by ブクログ 2011年09月04日
昭和58年、第29回江戸川乱歩賞受賞作品。謎の多い江戸時代の浮世絵画家、東洲斎写楽の実像に迫る浮世絵研究家の回りで起こる殺人事件。事件は浮世絵研究界の派閥争いと結びつき意外な展開に発展する。
写楽の正体については、版元の蔦屋のお抱え絵師説や蔦谷別名説の他にも、葛飾北斎、十返舎一九、などに代表される別...続きを読む人説があるが、本著は秋田藩との関わりから秋田藩士の近松昌栄=写楽説を展開しており、一連の事件と密接に関わってくる。当時、田沼意次の施政化で、田沼につながる平賀源内と秋田藩との関係や、松平定信との政争についても触れており、秋田藩と写楽の関係を結び付けている。
近松昌栄は実在する画家だが、分かっていることは「秋田書画人伝」に掲載された「秋田の画家。佐竹氏に仕える。文政の人」だということだけだそうで、この一文から本書が生まれたということは驚きの一言だ。
Posted by ブクログ 2011年05月31日
写楽は誰だったの!?というミステリーが120%面白かった。現代の犯罪ミステリーは、おまけの様なもん。結局写楽に関する新説は捏造なんだけど、それでも楽しめた。写楽の正体ってますます気になる。
Posted by ブクログ 2011年11月17日
先日、島田荘司著『写楽 閉じた国の幻』の読んだ。これがすこぶる面白かった。それで、読後、他の読者の感想を知りたくなった。ネットで探すと、書評を書いている方の中に高橋 克彦さんの名前を見つけた。高橋さんは本書で第29回江戸川乱歩賞を受賞したという。ちょうど、島田作品で「写楽の謎」に興味をもったとこ...続きを読むろだったので、当然こちらも読んでみたくなり、読んだ。本書、高橋作品は「本格ミステリ」小説。ちなみに島田さんの方は、「歴史ミステリ」といえばよいか。根本的に両者は別物だった。どちらが良かったか? それは……
Posted by ブクログ 2009年11月03日
写楽の正体の謎を素材にした歴史ミステリー。第29回江戸川乱歩賞受賞作です。
舞台は現代で、写楽の正体を追う人々のまわりで不審な死が相次いで…
歴史上の謎と現実の殺人事件がうまい具合に絡まって、独特の疾走感を持った作品になってます。十数説も乱立してもう分けわかんなくなってる写楽別人論をそれぞれ解説&...続きを読む打破するくだりが勉強になりました。
Posted by ブクログ 2009年10月07日
一番最初に読んだ歴史ミステリーとして
未だに印象深い。
そして写楽の謎を解く面白さと2人の浮世絵の大家の
死に絡んだミステリーの融合という傑作。
事件の真相が解明される手段、手法にはイマイチ
納得出来かねるが...。
それを割り引いても写楽の正体解明というネタが逸品。
この作品のおかげで浮世絵...続きを読むの人並みの知識を得る事ができましたー。
Posted by ブクログ 2023年05月26日
ミステリーの様で、焦点はミステリーじゃなかった。
表題の写楽の正体に時間を掛けて迫っていく前半はとても興味深かったが、人物の相関関係が入り乱れ、興奮する登場人物達と読み手の温度差に違和感を感じた。
乱歩賞を取っているが、後年の重厚な筆力の方が好みかもしれない。
Posted by ブクログ 2022年07月30日
終盤まで、「ミステリー?」と、いう位事件よりも写楽の正体にせまる内容。この説が本当に浮世絵の世界で論じられている説なのか、そうでないのかわからないがこれまで読んだ写楽絡みの話のような華やかさが感じられなかった。
それから、中心にいる登場人物以外のキャラクター設定が薄いので記憶に残りづらく少々読みづら...続きを読むいかも。
Posted by ブクログ 2021年11月08日
3.3
浮世絵や日本美術史の知識が浅すぎて、人物が登場するたびにGoogleを頼るしかなく勉強のようだった。写楽の謎と事件の謎、2つのミステリが含まれていて面白い。特に、写楽の謎に夢中になりすぎて通常のミステリ部分を忘れてしまう。楽園のカンヴァスを読んだ後だから特に、美術作品の謎にだけ集中していた...続きを読むので殺人が起きた時に「そういえばそうだった笑」となった。
Posted by ブクログ 2017年07月30日
浮世絵シリーズ第1弾のテーマは写楽。
何かで読んだ北森鴻氏の蓮杖那智シリーズと共通点があるという意見には確かに頷ける。
膨大な調査の元に書かれているので興味深い内容なのだけれど、馴染みがない固有名詞が多すぎて作品の世界に入り込めなかったかな。
Posted by ブクログ 2016年10月15日
おぉ、これがデビュー作ですか。
写楽についての知識は、謎が多い浮世絵師という事くらいしかなく大変楽しめました。
実際の写楽はどんな人だったのでしょうね。
謎が解けて欲しい気もするけど、やっぱり謎のままでいて欲しい。
Posted by ブクログ 2015年09月21日
写楽は江戸時代中期の浮世絵師で、10か月という短い期間に活動し、忽然と足跡の途絶えた謎の人物。
その謎だらけの足跡を埋めようと古今東西の研究者にてあらゆる説が唱えられていた。
大学で助手として浮世絵研究を行っている津田は、ひょんな事から手に入れた画集から、写楽の足跡を見つけ出す。なんとそれは浮世絵...続きを読むではなく、秋田蘭絵という西洋技法を取り入れた画法であり、未だかつて誰も考えもしなかった新説へとつながる道であった。
細く細くつながっていく写楽の足跡。そして写楽を巡る人間の憎しみと強欲。津田は否応無に巻き込まれそして弾き飛ばされて行く。
果たして彼は真相を突き止める事が出来るのか?
以前からずっと探していて最近やっと手に入れました。
とにかく浮世絵浮世絵そして浮世絵。気合の入った浮世絵への愛情はまさに研究者が思いのたけを注ぎ込んだ濃厚なもので、浮世絵全然知らないのだけれどもぐっと絵の世界に引き込まれます。かなりマニアックと言える。何しろ人名の9割分からないのですから。
この浮世絵のナビゲーターとして有能な力を発揮するのが、津田の元先輩で事件の重要なカギを握る国府の妹「冴子」さんです。素頓卿さんに同意なんですが、久々に電話で話す津田へ胸キュンな殺し文句を言う彼女はとても可愛らしく。その場で結婚して~って言いたくなります。言えよ津田(多分後に言ったはず)
この彼女がこの浮世絵の世界から取り残されそうな僕を現世に留めてくれるのでした。
もっと出てきて欲しかったですが後半は鳴りを潜めてしますので残念でした。
Posted by ブクログ 2013年03月11日
おもしろかった
浮世絵師「写楽」と、不可解な殺人事件の両方を追いかけていき、両方の謎に迫っていくミステリ作品
著者の東北を舞台にした歴史小説が大好きなのですが、本作もまた楽しむことができた
残念なのは、まだ最後まで読む途中でwikiにて「写楽」を調べてしまったこと
すべて読んでから見れば良かった
本...続きを読む作をきっかけに浮世絵の良さに触れる機会を増やせるといいな
Posted by ブクログ 2012年12月03日
第29回江戸川乱歩賞受賞。明治43年ドイツの浮世絵研究家クルト博士によって「写楽」が世界的な評価を得ることになる。それまでの浮世絵はどちらかというと投機の対象とは目されていない。クルト博士以前に贋作を作成する意味はないのだし、作品が発見された地方と「写楽」(別名)のつながりの裏付けがたしかならば、...続きを読むたとえ贋作だとしても誰も偽物とは見抜けないのだ。浮世絵界の重臣が作品を権威付けすることで、たとえ贋作であったとしてもその作品で巨万の富を得る者が現れる。浮世絵界の重臣を落としいれる方法とあわせて、「写楽」の実像に迫る考察はすばらしいものがある。
Posted by ブクログ 2012年05月31日
謎の絵師と言われた東洲斎写楽。彼は果たして何者だったのか、、、。彼の正体の追究と、現代の浮世絵の2大大家の死の真相を絡めた歴史ミステリ。
現代の事件の解明よりも、写楽の謎、浮世絵に関する薀蓄がまず先に来て、前半を占める。多少薀蓄を読むのに疲れるところもあったが、写楽別人説の解説や、蔦屋と田沼政治の関...続きを読む連話など、なかなか興味ひかれるものもあって面白く読めた。昌栄=写楽説は結局捏造だったけれど、主人公がその説に至るまでの過程は面白かったし、それが不自然に見えない緻密な設定づくりには感服させられる。現代の事件の方では、アリバイ崩しが何だか2時間ドラマを見ているかのようだったが、動機や捏造のカラクリの話になるとまた面白く読めた。
Posted by ブクログ 2017年08月16日
謎の絵師写楽。彗星のごとく現れ、歴史の中に消えて行った絵師。その正体を探る歴史美術的な謎解きとともに、そのまわりにいる人間が死んで行く。
写楽の謎については詳しくはないが、読むととても興味深く惹きつけられる。ただそちらの謎解きに比べて事件のほうの謎解きのボリュームが少ない気はするが。
浮...続きを読む世絵の歴史も勉強したくなる。
Posted by ブクログ 2010年02月15日
活動期間がわずか10ヶ月でその間の作品が140枚、前後の経歴が不明の謎の浮世絵師、東州斎写楽。在野の浮世絵研究家の嵯峨厚の自殺事件の後、大学助手、津田良平はふとしたきっかけで入手した画集に潜んでいた謎を解き、写楽の正体を明らかにした。しかし研究界の常識を覆すこの大発見は、恩師の西島教授の手により発...続きを読む表された。その直後に西島教授は火災で死亡する。火災の不審を探る警察捜査と共に津田が探る真実。やがて驚愕の事実が明らかになる。
大学を出てから美術館勤務を経て小説を書き始めたという著者の、浮世絵知識が存分に披露され、まさに写楽の謎に迫る迫真の前半だが、基本的素養に欠ける一般読者にとっては、まるで研究論文を読んでいるようで、なかなかページが進まない。真実味を出すために詳細な背景を必要とするのは良く理解できるが、ミステリを読み慣れた『缶ぽすと』にとっても辛い前半だった。
ようやく半分を過ぎたところで待望の(?)事件が起きる。放火の疑いのある火災で西島教授が死亡する。ここからミステリの新骨頂が始まる。高橋克彦氏の処女作であるが、後々の活躍を予期させるようなキレの良さが感じられる。
浮世絵研究の大御所二人の確執によって、期待されていた浮世絵美術館が潰され、それが新たな火種になって、研究界の常識に挑戦する大胆な復讐劇が始まった。
要するに罠を仕掛けて相手を陥れるのだが、浮世絵に対してトップレベルの知識と探究心が無いと解けない、とてつもなく難しいハイレベルな罠だ。しかし、津田は秋田まで調査に行って謎を解き明かす、というより、どっぷりと罠に嵌ってしまうのであるが、恩師の西島教授も見抜けなかった。
狭い研究分野のトップになってしまうと天狗になってとんでもないことを始める人が多いが、西島教授の美術館潰しも、弟子の発見独り占めもありそうな話しだな。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
記憶が正しければデビュー作。
浮世絵シリーズは研究者的な視点が多いかなぁ。
恋愛要素がヤボったく感じるけれども、浮世絵などが好きな人には面白いのでは。
動いている感があるので、聖地巡礼したくなる。