あらすじ
文明を築いた古帝王、跋扈する鬼神、天人女房
超自然にして荒唐無稽な物語
一挙総覧!
文明を築いた古帝王、跋扈する鬼神――。中国古典に残された伝承の数々をテーマごとに集大成し、第一人者による解説とともに読む。
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古代より連綿と、強大な帝国を築いてきた中国。その現実主義とはうらはらに、社会には超自然的で荒唐無稽な物語への関心は根深く浸透しており、『史記』『漢書』のような正史から『書経』『韓非子』など思想書にも古い神話や伝承の断片がちりばめられている。本書はそれらを、「天体」「神界からの贈り物」「怪物退治」「洪水/旱魃」「異界訪問」「英雄出生」「異類女房」などに分類して集成。お馴染みの日本の神話や伝承との照らしあわせも、随所に差しはさむ。斯界の大家による明快な解説とともに、豊醸なる中国神話の全体像を掴むことができる。図版多数。 解説 森和
【目次】
はじめに―中国の神話・伝説の特色
1 創世神話
2 天体の神話・伝説
3 諸文化の起源神話
4 習俗の由来伝説
5 鬼・神(神と怪物)の神話・伝説
6 怪物退治
7 旱魃と長雨
8 治水伝承
9 湖底に沈んだ県城
10 動物の築城
11 異界訪問
12 神の贈り物
13 動物報恩
14 異類女房
15 人の運命
16 英雄異常出生
17 名剣・名画の由来
18 飢餓と疾病
19 異族・異形民の起源
20 地名などの由来
21 歴史伝説
22 事物の由来伝説
23 奇妙な伝説
文庫版解説 森和
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Posted by ブクログ
中国に伝わる神話・伝説を集成した書。古代から近世までの幅広い漢籍から抜粋した神話・伝説を23のテーマに分類、類似伝承との比較や解説を交えつつ紹介する。
本書は、1996年に東方書店より出版された同名書の文庫版である。長きに渡る歴史と古くからの筆録文化を誇りながらも、体系的・統一的な神話に乏しい国――中国。現実主義的思考・哲学の発展ゆえに歴史の早い段階で社会的・政治的意義を喪失してしまった中国の神話は、ギリシャ神話や日本神話のような体系化・文字化を経ることなく時代に埋没してしまった。時に中国が「神話の不毛な国」と評されるのはこれ故であるのだが、しかしそれは中国が一切の神話を持たぬ国であることを意味してはいない。正史の中で語られる歴史主義化された神々、諸子百家の言説の中で断章的に引用される神話、そして後代の志怪小説や地誌において語られる神話的伝説――。本書は春秋戦国時代から清代までの諸典籍の中で断片的に語られる中国の神話、或いはそれに連なる伝説を収集し、これを解説と共に紹介したものである。
本書では盤古による天地開闢、黄帝と蚩尤の戦いなどの著名な神話はもちろん、山河の怪や異類婚姻・異郷訪問の奇譚、歴史伝説など幅広いエピソードを全23のテーマに分けて紹介している。また、類似伝承との比較を解説したり、巻末にキーワードごとでの索引や用語集を付しているため、初学者でも非常に読みやすいものとなっている。その上嬉しいのが各エピソードの出典が逐一示されていることで、様々な文献で断片的に語られる中国神話の原典が一目で分かるのも大きなポイントとなっている。まさに著者が志向したように、中国神話を知るにあたって初学者にも研究者にも至便な一冊と言えるだろう。