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日本人として初めて8000メートル峰14座登頂を達成した「プロ登山家」竹内洋岳さんが、雪崩に遭遇したエピソードから始まって、標高8000メートルに登って、そして帰還することの意味、決意と覚悟などなどを語るものです。まさに、「哲学」と言えるのではないでしょうか。
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ご自身は謙虚に"特別な人間ではない"とおっしゃるが、この本に書かれていることは普通の人間が"誰でもやってみることができる"ことではありません。それなのに、高所登山の魅力を伝えたいという願いのとおり、声高に14座登頂の偉業を弁ずるのではなく、淡々と率直にご自身の経験と思いを語られています。冒頭から一気に引き込まれ、山の魅力が十分伝わってくる本でした。
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高所登山。
咄嗟にはイメージが浮かばない。
そこで、著者の説明が入る。
「飛行機に乗って八〇〇〇メートル付近を飛んでいる時に、窓の外を見てみてください。そこまで歩いて登っていく人がいることを想像すれば、少しはヒマラヤ登山のスケールを感じてもらえるのではないでしょうか。」
…なるほど。
「高所登山」は一般的な「登山」とも少し違う。また、著者の竹内洋岳さんのスタイルというのも独自の要素が強い。よって、この本は、「登山を始める人のために」とか「登山の魅力」とか、そういう次元で展開される話ではない。もっと、良い意味ですごく個人的で、示唆的な内容だ。もちろん、実際の登山の描写もたっぷりあるし、日本人で初めて14の8,000メートル越えの山々を踏破した時の報告もしっかり入っていて、ルポルタージュとしてもノンフィクションとしても楽しめる要素は大いにある。しかし、その本質はというと、著者がどう山と向き合ってきたか、その先に何を見ているか、基本的にはそれだけだ。山は、竹内さんの生き方を説明する上でのツールに過ぎない。…のだけれども、ツールとして描かれている山の姿も、多角的な見方で記されていて、とっても面白いんだな。著者が仏教学部の卒業生ということも関係あるかもしれない。物理的過ぎず、精神論過ぎず、いろんな価値観をバランスよく折り込んで、登山を含めた文化を捉えていることがわかる。更に、それを読者に「こうあるべきだ」といった風には押し付けてこない。押し付けがないから、読んでいてすごく楽に内容が頭に入ってくる。
つまり。
この作品は、山の書であり、冒険の書であり(実際、この作品は植村直己冒険賞を受賞している)、自然の書であり、人生の書であり、思索の書である。読みやすく、分かりやすく、深く、でもさっぱりしている。このすべてを的確に表したタイトルの妙に脱帽だ。
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この本を読むまで、高所登山について何も知らなかったし、特に興味もなかった。日本人初の8000m峰14座登頂という偉業すらも認識してなかった。
タイトルから連想するより遥かに読みやすい。
著者がなぜ高所登山をするようになったか、登山中の体験やプロ登山家としての意識などが語られる。そこにはもちろんプロとしての生き様も含まれる。登山をしているときも、然うでないときも、想像を超えるストイックさがあるのだと、読み終わりながら知り、冒頭での雪崩のなかで、著者がなぜ「腹が立ってきた」のか納得した。
読み手の視点次第で、どのようにでも楽しめると感じる。
私には非常に興味深い1冊になった。
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「登山の哲学」 日本人発の8000m峰14サミッターのプロ登山家である竹内洋岳の著書。愛読書としたい一冊です!
雪崩事故で大怪我をするが克服して高所登山を再開、組織登山からコンパクト登山に移行し14座を達成する。
高所登山のエピソードや仲間、気象など高所登山で登頂するかなり深い良い話です。
経験は積み重ねるのではなく、並べるものであるという著者の持論には私も賛同しました。登山は自力で下山するまでが登山と言われ、プロセスや局面を「創造」することが求められるとのこと。私の論の一つである「確率論」と似ているなあと思いました。
登山家は筋トレしてムキムキと思っていたが、高所登山に必要な筋肉はごくわずかで、余分な筋肉は重さが負担になるので身に着けないらしい。ガリガリ?
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大人数の組織登山から少人数のコンパクト登山への転換という思い切った手法にチャレンジした著者の実行力、決断力に感銘を受けた。山という孤独な世界で成功を収めた著者の考えが、この一冊に凝縮されています。
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先日、友人に教えていただいた本「登山の哲学」を読みました。とても面白かったです!
大きなことを成し遂げる人、新しいチャレンジができる人は、頭が柔らかくて創意工夫があり、その考えを実行する勇気と覚悟と行動力とセルフコンフィデンスがあるのだなと、思いました。
こんな生き方に、少しでも近づきたいなぁと思いました。
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8000m峰全14座登頂を成し遂げた日本の登山家による本。そもそもこういう記録があること自体知らなかった。冬山や高所登山ってやろうとは思わないけど、好きな人は好きなんだな。
登山用語に軍隊用語が使われていたのは英軍が高所登山やっていたからとか、高所登山と潜水との対比、山の天気予報をする猪熊さん、14サミッターである著者の身体が登山に特化し過ぎて他の体力はあまりないとかいなほ保育園の話とか面白い。そして、高所登山は想像のスポーツであること、経験は積み重ねるものではなく広げて並べておき、経験の積み木を想像力で埋めるという考え方は登山だけでなくいろんなものにも当てはまる卓見だと思う。
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Twitterで進めている人がいて、何も考えずにポチッて読んでみました。何か生きる活力を得られ、正月ボケでエネルギーを失っていた私をモチベートさせてくれるには最適な本でした。
著者は日本のトップクライマーらしく、その著者が幼少期から学生時代の山と出会いと山にのめり込んでいく話。就職からトップクライマーへの過程の話。それと、最後にやや考え(哲学?)の話。大きくは3つに分けることができます。
やはり、一番引き込まれるのは就職からトップクライマーへの過程の話です。登山に理解のある会社に就職し、長期休暇を多分に取得しながら8000m級の山々に登頂していく中で、2つのことがポイントとなります。
「山を通じて人との出会い」と「登山で発生するアクシデントの数々とその解決」です。どちらも、自分の会社員としての生活にも当てはめて考えられそうで、その辺りにモチベートさせられました。
ちなみに、私は登山はハイキングレベルです。なので、この方はどんな方かは全然知りませんでしたし、8000m級の山どころか日本の山々すらロクに知らないレベルです。そんな人でも何か活力が得られる内容でしたし、すごい部分ばかりの羅列ではなく、ダメな部分やサイドストーリーなんかも織り交ぜられており非常に嫌味感もなく、スラスラと読めるので、またモチベーションが落ちた時に読んでみようかとも思っています。
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洋岳さんとは昨年からよく顔を合わせるのだけど、すごい考えを掘り下げていて、話を聞くとスーッと入ってくる。でも本人は、そんなこと言ったっけ?って忘れてることが多いけど。
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登山が好きなので読んでみた。
哲学というより、著者のこれまでの体験をまとめた内容に近い。
14座の8000メートル峰を制覇するまでに死に直面する等、読んでいて驚くことが多々あった。
8000メートル峰を登るにあたり、酸素ボンベ無しで、かつコンパクト(人数、物資)なことが著者の登山の特徴。
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高所登山って凄さの程度が想像もつきませんが、無酸素で潜水していって底にタッチしにいく感覚っていう表現が分かりやすかったです。
それでは頂上でゆっくりしようなんて思わないですね。
そういう極限の状況で、やる事はストイックにやる。だけど、楽しむために山に行くっていうバランスの良さが印象的でした。
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世界には高度8000メートルを超える山が14座あり、そのすべてがヒマラヤ山脈と、そのとなりのカラコルム山脈にあります。ネパールだとかパキスタン、中国の境の山脈です。そんな8000メートル級の14座すべてに登頂したひとを、「14サミッター」と呼ぶようなのですが、日本人としてはじめてその「14サミッター」になられたのが、著者の竹内洋岳さんです(世界では29人目)。そんな竹内さんの半生を振り返りながら、高所登山の魅力や、彼なりの高所登山にたいする考えかたなどを綴っています。
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著者の竹内洋岳は1971年生まれで、2012年に日本人初の14サミッター(世界の8,000m峰14座の登頂者)となった世界的クライマー。
題名は「登山の哲学」と少々堅苦しいが、著者は「一人のプロ登山家として、少しでも高所登山の魅力を知ってもらいたい。そして、本来は誰もが持っているはずの「挑戦を続ける喜び」をもう一度取り戻してもらいたい」と願って書いたと言い、心臓疾患を抱えて生まれながら、学生時代に登山の面白さに目覚め、アルパイン・スタイルの登山を指向してプロの登山家となっていく半生、大雪崩などで生死の境をさまよった経験、登山についての様々な思いなどを、綴っている。
「私にとっての経験とは、積み重ねるものではなく、並べるものなのです。経験が増えれば増えるほど、数多くのディテールが知識となって記憶にインプットされます。そのディテールとディテールの隙間を埋めていく作業が“想像”です。だから、経験の積み木のすべてが見渡せるように、テーブルの上に広げておく。そして、並べてある位置を移動させたり、順番を入れ替えたりしながら、隙間を埋め尽くすほど想像を膨らませていく・・・想像できることが多ければ多いほど、登山は面白くなり、危険も回避できる」というフレーズは、数々の修羅場をくぐってきた著者の言葉として印象に残る。
(2013年7月了)
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何が別の本も読んだので竹内さんの本は二冊目。文章からは穏やかな人柄を感じます。
とんでもない高所での人間の極限の環境での反応はとても興味深い。富士山ですら頭痛くなるボクには酸素の薄さと寒さは想像出来ない世界です。
竹内さんには意思の強さと自由さを感じます。自分で決めるってとこが大事なことだなと。
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哲学とあるけれど本人も言っているようにそんな仰々しい書かれ方はしていない。
あくまでもプロ登山家を名乗る意味を分かりやすく冷静な視点で書いている、それでも雪崩事故のあと山に戻った時と14座登頂時は感情が読みとれてよかった。
自分はこの人が好きなので読んだが、そうでなくとも、ヒマラヤの知識がなくとも気軽に読めて学べるところも多いと思う。
生がない世界8000メートルより上の、瞬かない星空、シルバーモーメントと呼ばれる夜明けの瞬間は憧れる。
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まずは、ガッシャブルムⅡ峰での雪崩体験の話から始まる。雪崩にやられたことの話は色々と読んだが、想像力を刺激するものがあった。
日本人初の14サミッター(8000m峰)の本だけど、誇るというよりはむしろ淡々と語られる感じがする。あっというまに読み終るのは新書のせいだけではなかろう。
雪崩のあと、「自分の身のまわりに、本来使うべきものが使われずに置いてあることが、とても苦痛に感じられた」という。捨てる捨てる。スキーを捨て、自転車を捨て、自動車まで捨てます。登山の用具やウェアもほとんど処分したという。
長期入院から出た身体は、もはや以前の身体ではなくなっていた。用具から選び直すところに最先端を求める高所登山家の思想が現れます。
骨折した背骨にチタンのシャフトを入れたままガッシャブルムⅡ峰にチャレンジするプロ登山家の負けん気は読んでいて爽やかだった。
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高所登山との向き合い方
てな内容
知らない世界だけに刺激が多い
ただし日常生活で使える考え方にまで噛み砕いて説明して貰えたかというと微妙
経験してないから分からんのだろうけど。
とはいえ、学びは多い。
運が良かったから死ななかった。ではないんだ!
とか
高所登山にも様々な方法があって、思想自体が別物である!
とか
登り切るのが目的ではなくて、シンプルに登るのが楽しいと感じられる方法、思想の方が楽しめるらしい。
梅原大吾も同じようなこと言ってたな。
とても面白い本だと思います。
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登山の哲学はあるのか?そもそも哲学とはなんぞや?で、時間を費やしてしまいそうなのでもう少し簡単に考えよう。
自分にとっての登山とは何か?自分の場合だと、登山もするし、トレラン もするし、ハイキングもする。正しくは自分にとっての山とは何か?になるだろう。
山は、社会との、自然との、家族との、じぶんとのつながり。
山を通しての友人、コミュニティとのつながり。また山を通して見える社会、そしてつながり。
山の中では、そこ、それ、全てがリアル。人間の作った余計なものを全て削ぎ落としたもの、それらをありのままに感じることができる。
そして普段の生活と比較することで、ほんとうに大切なものが見えて来るような気がしてる。
家族とももちろん山で遊ぶ。一緒に山に行く。自分の経験をベースに家族に楽しんでもらう。どこに行けば楽しそうかなとか、この山ごはんはぜひ作ってあげようとか、ついつい山行中はかんがえてしまう。それだけじゃなく、山を楽しんでいる自分を楽しんでもらうようにできたらいいなと思ってる。
自分が自分につながる場所。考え事をしながら歩いてみたり、何も考えずに本能だけですごしてみたり、、、、みたいなこともそうだし、社会とのつながり、家族とつながり、そうしたいと思って、そうしていること自体が、自分とつながろうとしていることなのかもしれない。
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かつて登山は国家プロジェクト。軍隊の作戦だった。
登頂に成功すると「制覇」、
山頂を目指すことを「アタック」と言っていたが、
今はsummit pushと言わないと笑いものに。
大けがをして精神的に一番きつかったのは、お見舞いに来てくれた人たちの「運が良かった」という言葉。人生の生き死にまで運で片付けてしまうことはできない。
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14座までもう2座の2010年のチョー・オユー登頂の際、竹内氏にカメラを提供した。このとき、超低温下でカメラが動作しなかったと聞いた。運悪くなのか、良くなのか、悪天候で登頂を断念した時であった。申し訳ないと今でも思っている。
Posted by ブクログ
山男にとっては、山が人生そのものなのだということが分かる本。
2度も死ぬ寸前の体験をしていながらも、14座達成したことが、山がなくては生きていけないことを示している。
著者の人間性、山への敬意が伝わってきます。
文章力としては物足りないけど、登山家が何を考えているのかということがよくわかる。
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登山とは「想像する」スポーツであるという。
強靭な筋肉や特別な才能などはいらない。計画し、登頂し、自力で下山するまでのあらゆる状況を想定し、想像の輪を繋げること。
『雪は意外に光を通す。だから生き埋めになった時に明るさを感じることができれば浅い。また雪は空気を含んでいるので15分以内に発見されれば助かる可能性も高い。』
生死を分かつ過酷な状況をもいかに面白がれるかが登山家としての適性なのだろう。
自らを極限状況に追い込む先にあるもの。8000メートルを越えてしか見られない世界。夜空を埋めつくす星の光や銀色一色に染まる夜明け。
高山に魅せられたプロ登山家の心象が少しは「想像」できたような気がする。