あらすじ
貯金や投資をしても、お金の使い方に気を付けても、仕事でも日常生活でも不安が消えないもの。資産額や出費の額ももちろん関係ありますが、それ以前にお金との向き合い方に根本の原因があるのです。多岐にわたる研究から科学的に解明し、解決策を提示します
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Posted by ブクログ
ファイナンシャル・ウェルビーイングという考え方が、ぴったりと当てはまる本。、
心理学、行動経済学、脳科学など多様な学問的視点で、幸せってなんだろう?を解きほぐしている。
お金が中心にかかれているが、生き方の指南書として素晴らしかった。DIE WITH ZEROと共に名著。
▼不安通貨の正体
資産は増えているはずなのに、「足りない」「遅れている」「もっといい方法があったのでは?」と考えてしまう。
この不安は、お金が足りないから起きる心理ではなく、お金にできない役割まで背負わせているから生じる。
お金を幸せを生み出す道具ではなく、不安を打ち消すための道具として使い始めると、お金は不安通貨に変わってしまう。
手元に十分な貯蓄があってもお金の不安な人がいる一方で、収入が高くなくても安心して暮らしている人がいる。
金額の大小ではなく、お金を使うときの感情こそが、不安通貨と幸せ通貨を分ける鍵。
▼SNSによる不安通貨の蔓延
老後資金のために、NISAで資産運用を始めたとする。
最初は「少額でもいいから長く続けられればよい」と穏やかな気持ちで開始する。
投資情報を調べずに、毎日チャートを見る必要もなく精神も揺さぶられずに、貯金もできてなかった自分が自動的に投資に参加できる。
そして、きちんと少額の伸長がある。
ところがSNSを眺めると、
「この銘柄は将来性がある」
「こっちのほうが手数料が安い」
「◯◯で利益100倍に増えた。」
といった情報が次々に飛び込んでくる。
不安を減少させるために取り組み、安心するための最良の方法だとわかっていたのに
「その選び方、もう古いですよ?」と言われると、「自分の選択が間違っていたのか。」と不安に巻き込まれる。
口座残高は増えているのに、心の中は落ち着かない。
なんという本末転倒。これが不安通貨。
▼SNSが他社との比較を生み、比較が不安を増幅させる
現代は検索やSNSによって、大量の情報が手に入ります。
情報が入手できるのに、不安や迷いが消えない。それは知識が増えるほどに、他人の基準で判断する場面が増えてしまうから。
心理学では、自分と他者を比べることで、自己評価を行う心の動きを「社会的比較」とよぶ。
かつてであれば、比較は身近な友人や同僚にかぎられていた。
ところが現在は、スマホを開くだけで、年齢も職業も環境も異なる人々の「成功の片鱗」「上手くいっている断片」が目に飛び込んでくる。
それだけで自動的に
「自分はこのままでいいのか。」
「もっとやるべきことがあるのではないか。」
「この選択は正しいのか。」
というマインドになる。
コストがない思考に見えるが、実際には自己決定感を削り、満足感を下げ、不安をふやすという心理的なコストを絶大に支払っている。
本来はひとそれぞれで違う人生のはずが、同じ物差しで考えてしまう。
このような思考のなかで使われたお金は、自分の願いや価値観ではなく、他人との比較から生まれたお金。
安心をもたらずどころか次の比較を生み、次の不安を呼び込むことになる。
今日、誰かの投資成功談をみて焦ってお金をうごかしても、明日は別の誰かの華やかなとう高で心が蝕まれ不安が湧いてくる。
▼人間の脳は、そもそも安心より不安を優先するようにできている
人間の脳は進化の過程で危険を避けることを最優先に発達してきた。
プロスペクトやネガティブバイアスと呼ばれ、記憶にも感情にも強く残りやすい。
人間は、不安を覚えると自己確信が弱まり、他者の価値観、他者にとっての正解を求めるようになってしまう。
選んでいるようで、不安に選ばされている。不安を原動力とした選択ほど、安心を長く保てない。
不安をこれ異常増やさないために必要なのは、行動することでも、知識を積み重ねることでもなく、この不安を増殖する仕組みに気づいていることが大事。
・脳が不安を優先すること
・他者との比較が損失を生むこと
・正解探しが次の不安を生むこと
にである。
転職なども同じで、いまが大きな不満がないにもかかわらず、さらなる待遇や条件面を考えるということは比較から生まれていることが多い。
結果的に、本来は心配しなくてよいことまで考えなければいけなくなる。
▼自分で決めているという感覚が幸福度を高める
何を選ぶかだけでなく、どのように選ぶかが幸福を左右する。
お金に対する不安が消えないのは、決して個人の能力や正確ではない。
選択肢が過剰に与えられている現在社会において、誰もが自然に抱える構造的な問題である。
コントロールできていないという感覚そのものが、不安の根本にある。
反対に、自分でコントロールしている、自分で決めているという感覚が幸福度を高める要因として科学的に立証されている。
お金はいくら持っているかではなく、どう使うかが人生の幸福度を左右する。
なんとなく不安で使う、欲求を満たすために使うのではなく、自分の価値観で納得して選んで使うこと。
このようなお金の使い方を知って、自分で選択できるようになることが大事。
そもそも正解なんてない。自己決定感があり、コントロールしているという感覚があれば不安が増えることはない。
▼「最適」や「合理的」よりも「自己決定感」
1.自分の基準で選んだのか
2.不安を消すための支出ではないか
3.このお金は時間・経験・関係を増やすのか
人が前向きになる超簡単な条件「自己決定理論」。
やっぱり別の選択にしておけば良かった…となるのは自己決定感の欠如にある。
「最適」や「合理的」よりも「自己決定感」が強い安心を生む。
結局のところ、幸福度は数うじではなく、感じ方が決めている。
自己決定感にプラスして、3つのポイントを意識できていれば、安心してお金と付き合える人だと言える。
・お金の管理を自分でコントロール出来ている
・将来に対して、ある程度見通しを持てている
・予期せぬ出来事がおきても、なんとか対応できると思えている
これら全てが定量的ではなく、感じ方ということが注目すべき点である。
お金がいくらあるのか、資産がどれだけ増えたかという指標が中心にない。
自分で考えて、決定づけているという感覚が中心にある。
▼経験消費が幸福度を押し上げる
・物より経験にお金をつかったほうが幸せになる。
・物は比較の対象になるし劣化する。経験は繰り返し味わえ、劣化せず、比較されない。
・「お金って紙だから。紙がいっぱい残ってるか経験があるか。経験に換えていきたい。」。※石田ゆり子さんの名言
▼収入が増えるほどに比較が始まる
・お金本来の役割である生活を支える手段から、自分の価値を測る手段に切り替わってしまう。
・気づかないうちに「まだ足りない」「もっと必要だ」という感覚に追い込まれ、不安通貨に変貌する。
・「もっと稼いでいる人がいる」「SNSで同年代っぽいひとがもっと豊で楽そうだ」という無意味な比較に蝕まれる。
・これは自分が選んだ人生だ!という確固たる自分軸をもち、比較から解き放たれると楽になる。
・お金を増やす対象ではなく、整える対象にする。人間関係や健康、社会的繋がりなどを整えられれば充分すぎるはず。
自分より上を意識し続ける限り、安心は永久に訪れない。
今に満足できていること、それが一番幸せで、不安がやってこない秘訣。
▼自分軸を持つ
・苦しくなる理由はお金が足りないからではない。人と自分を比べるから。いくら持っているかでもなく,あの人と比べて自分はどうかを気にしている。
・「どんな状態の時に満たされているを感じるか」「なんのためにお金を使うのが心地よいか」を知り、自分の価値観でお金の使い方を決めるべき。
・迷わない人は不安にもストレスにも晒されにくいが、それは価値観があり、考えないでよい余地を先に決めているから。自分の価値観に基づいて、フィルターが自動的にかけられる。
完ぺきの追求よりも、充分だと思う力を養うこと。
自分にはこれで充分だと何度も何度も思えるようになると、比較の世界から抜け出せる。
▼科学が証明した幸せになるお金の使い方5選
①経験に使う
モノより経験。記憶・物語として残り幸福が長続きする
②人に贈る
利他的支出。つながり・感謝が生まれ幸福感が高まる
③時間を買う
時間節約の支出。ストレスを減らし余白と自由を増やす
④成長に投資
学び・挑戦・スキル。自己肯定感を高め未来の可能性を広げる
⑤未来への投資となる借金
お金の相談相手がいる状態で、不安を膨らませないようにしつつ、お金を「幸福を最大化するツール」と捉え直す。
幸福は「物質」ではなく、「人間関係」「時間」「成長」からもたらされる。
節約・貯金だけでは、生涯幸福は買えない。「いくら持っているか」より「どう使うか」が幸福を決める。
さらに、このなかでも自分の中での幸せを感じることに投資すれば、自分の価値観を再認識できることに加え、不安に陥らずに幸せ通貨を増大させられる。
自分の場合は、①と④である。
しかし1度決めて終わりではなく、人生のステージで変化する。
迷った時に戻ってこられる問いとしても、価値観を把握することは大切。
心を毎日満たしたいなら、1日1つの幸せ支出をすれば良い。
1,000円でだって、本当は幸せになれることを思い出せる。
▼お金の科学
・お金は直接幸せを作り出さないが、お金がない状態は幸せを遠ざける。
・年収があがるにつれて、幸福の伸び率は鈍くなる。しかし不幸の下限は低くなる。
・幸せお金会議をするなら反省をしない、数字を細かく見ないこと。「使いすぎた」「無駄だった」なんてのは不毛だし、次回の不安を生む。その瞬間から評価の対象になり、比較を生む。
→大切なのは反省ではなく、何が良かったか、何が幸せだったのか、心を満たしてくれたのかの価値観チェックをすること。そうすれお金の使い方が洗練され、自分にとっての幸せを増やせる。
習慣ができれば、幸せ通貨は自然に育っていく。