あらすじ
世界がおぞましく”歪む”、因縁と執念のオカルティックホラーミステリ
高校生は百々花は夏休み、親戚で住職の天明紫織を手伝っていた。
ある日、オカルトティストの清水陽陰が建てた奇妙な館「二魚亭」のお祓いを依頼される、
奇妙な館を調査すると、秘密の扉の向こうで遺体を見つける。
その調査を進める中で、百々花がふと目にしたホラーゲーム実況の写真がリンクしてく――。
世界がおぞましく”歪む”、因縁と執念のオカルティックホラーミステリ
●目次
【一日目】
【二日目】
【三日目】
【四日目】
【五日目】
【六日目】
【七日目】
【七十七日目】
●著者
1983年徳島県生まれ。奈良女子大学文学部卒。
2017年『奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い』で第24回日本ホラー小説大賞優秀賞を受賞しデビュー。近年は「異形コレクション」(光文社)や「幻想と怪奇」(新紀元社)への寄稿など、ホラージャンルで活躍している。
著書に『能楽師 比良坂紅苑は異界に舞う』『世界一くだらない謎を解く探偵のまったり事件簿』『屍人探偵』(マイナビ出版)「奇奇奇譚編集部」シリーズ、『美食亭グストーの特別料理』『ゴースト・テーマパークの奇跡』(KADOKAWA)、『ホテル・ウィンチェスターと444人の亡霊』(講談社)がある。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
これは面白かった!
怖さもちゃんとあって、なおかつ、ずっと引き込まれるストーリー。
ダレることなく駆け抜けました。
約300ページというボリューム感もちょうど良かったです。
特筆したいのは、紫織さんの死生観というか思想というかなんというのか分かりませんが、それが良かったです。
具体的に言うと、「善人も悪人も死んだら即成仏する。だから悪霊は存在しない。呪いなどの類は、生きている時の負の念、感情が残っていて、それに触れた者に悪影響を与えているだけ」という考え方です。
実はこれ、私の考えと100%合致しているんです。だから痺れました!
地縛霊は、場所に対する激しい念、感情が強く残っている状態。だから、霊そのものはその場所にいないんです。
生き霊は、生きている人の激しい念、感情が作用している状態。これも、霊そのものは存在しない。
という感じに考えています。
自分の考えを代弁してくれているような感覚になり、すごく嬉しかったです。
あと、登場人物の思考と私の思考が合致しているのも良かったです。
これってあれと繋がってんじゃないの?って私が気づいたらすぐに登場人物がその話をしてくれるのが心地よかったです。
よくあるのが、明確にあの件と繋がってるじゃんっていうのが分かっているのに、登場人物たちは全然気づいてなくて、後々になってから「実はあれとあれが繋がっているんだよ(ドヤ顔」っていうやつ。これ、個人的に冷めるんですよね。それが本作には無くて、すごく読み心地がよかったです。
あと、登場人物の言葉遣いの使い分けが絶妙でした。台詞の前後に誰がそれを言ったのかが書かれていなくても、言葉遣いで誰が言ったのかが分かるんです。
最後の方で、百々果の口調がたこつぼと一緒になるところとか最高でした。
口調がキャラクターごとに違うから、脳内で台詞が再生される時、声色もイメージできちゃうんですよね。あと、話すスピードとか。
素晴らしいテクニックだと感心しました。
ということで、ここまでベタ褒めしてきたわけなんですが、なんか本作ってまだまだ続きが書けそうな感じですよね。
登場人物も魅力的だし、しず子は生きてるし。
続編出て欲しいなー、シリーズ化して欲しいなーと思っています。
Posted by ブクログ
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読んでいる途中でも哲学的だと思っていたし、読み終わっても思う。これは存在意義というか、生きていること自体を否定された少女たちの叫びみたいな物語だ。オトナのエゴで存在を否定され呪物そのものになってしまった少女の、どこにも行けないどこにも繋がらない独りぼっちだったのが、世界に拡散される呪いとしてSNSに写真が載せられてしまう。その写真をみた主人公の百々果もまた存在感を否定されてきたような少女でそこに悪意のない呪いが絡んでいく。深く考え出したら難しくて登場人物は少ないのにぐるぐる目眩みたいな作品で好みだった。時間をおいてまた読み返したい。
Posted by ブクログ
仕舞い屋という死んだ人の染みついたものを片付ける住職と、そこに居候する少女と近所に住む男とで、呪いの解体?をするホラー。
幽霊は出て来ず、人は死ねばあの世へ行き、呪いなりこの世に染みついたものが人に悪影響を及ぼす、という考えが根底にあり、作中でも汚染という言葉を使っていたがまさにそれで、残穢がまず思い出された。
独特の思想が信仰になった時、家庭も金も縛りにならなければ狂った歯車のまま猛烈に進んで歪んでいく、サンプルのようなこの建築家というか思想家という。信仰が呪いの一つだとよくわかる。
キャラクターの書き分けも面白く、この世にどうにか片足がついてる住職と、この世にしがみついて生きている男と、この世と別の世界の間に立って幻視をする少女、それぞれの役割が周りながら話を進めるので会話も展開も突然ではなく、汚染されていく様もすんなりと読める。転げ落ちる狂気と、情緒を含むラストがうまく落ち着いたのは、途中途中で地の文で書かれる詩的な表現が繋がりになっているからだろう。
さかさまの意味も面白かったけど、写真に関しては楽しんでしまい、末路が想像できてしまう。
この三人で別のものが見たい。