感情タグBEST3
Posted by ブクログ
エジプト革命に関する、最新の著作の一つ。
著者は日本中東学会の会長でもあり、エジプトの人脈も豊富で、様々な現地の活動を紹介しつつ、1952年の7月革命との比較を行っている。
歴史的な流れの中で、腐敗と抑圧がどのように生まれてきたのか。そして今後それらをいかに抑制しつつ社会を構築するのかというのが、大きな問題だ。
Posted by ブクログ
平凡社新書 622
エジプト革命
アラブ世界変動の行方
著:長沢 栄治
難書 けっこう読むのが大変だった。何回か目を通しました。
用語が統一されていなかったり、大きなテーマでの区分ではなく、総花的な解説であったり、時代を行ったり来たりで大変でした。
巻末にある年表に書き込みをしながら、イベントをおった。
しかも、エジプトというか、中東に絡むいくつかのプロットがあって、一筋縄では、理解が追い付かないのである。
当時の首相、大統領
エジプトの国政
干渉してくる大国(特に、アメリカの場合はその大統領
イスラエルと、イスラム周辺国の情勢、影響
①オーラビ革命以前 (~ 1881)
フランス・イギリスの植民時代
②オーラビ革命 (1881 ~1919)
イギリス領エジプトの時代
③7月革命(1919~1952)
エジプト王国 ナセルの7月革命まで
④修正革命(1952~1971)
アラブ連合共和国 ナセルの時代
⑤2011年革命(1971~2011)
エジプトアラブ共和国 サダトとムバラクの時代
⑥2011年以降(2011~2014、2014~現在)
エジプト革命以後
第1章は、①から⑥について概説と各時代の流れを総花的に
第2章は、③、④、⑤における内政、なぜ、革命にいたったのか
第3章は、⑤、⑥の解説
といった状況です。
本書の範囲外ですが、2013年クーデターがおきて、親米のアッ=シーシー政権に移行されています。
ひとことでいうなら、アラブ対イスラエルような、二元的な世界ではなく、地政学をふくめて、利害が複雑に絡み合う
中東における、親米国の1つの変動といったところでしょうか。
ちょっとむずかしすぎました。
目次
はじめに
第1章 革命の系譜
結束する声、言葉の力
革命か、騒乱か
起点としての一九六八年
冬の時代から革命の春へ
第2章 革命の背景
体制は打倒されたのか
革命への期待
抑圧と腐敗
腐敗のピラミッド
腐敗の歴史
抑圧の起源
第3章 革命の行方
ナセルの七月革命の再検討
軍は革命を管理する
ムスリム同胞団の迷い
憲法改正の動き―第二共和制への道
エジプト革命とパレスチナ問題
あとがき
エジプトとアラブ・中東の近代史と革命
ISBN:9784582856224
出版社:平凡社
判型:新書
ページ数:264ページ
定価:820円(本体)
発行年月日:2012年01月
発売日:2012年01月13日 初版第1刷
Posted by ブクログ
エジプト革命。
活動の中心になったのは、若者。
若者はFacebookを介してデモを行ったそうな。
今までは、そんなことは起こり得なかった。
Facebookの力(インターネットの力?)ってすごいですね。
Posted by ブクログ
アラビア語では運動を表す語がいくつかあり、サウラが「指導され、合意された特定の目的を目指す広範囲で激しい運動であり、馴染みのあるインティファーダは「時間的にも空間的にも制限されたサウラ」であると定義される。しかも、パレスチナの人々がインティファーダと自分たちの活動を称したのは、中東の独裁者が起こしたクーデターをサウラと名乗っていたことへの反発から来ているというのは面白かった。
エジプトの革命では、「腐敗」と「抑圧」が2本の柱となって、起こったとしているが、今の日本では「抑圧」はあまり感じられないが、「腐敗」は相当程度に進んでいると思うのは私だけだろうか。目立ってメディアが報道しようとしないだけであって、エジプトまではいかないが、相当ひどいものであろうと感じる。
全体を通しては、歴史的背景や過去の革命の説明だけで、あまり今回の革命についての説明がなかった。また、今回の革命の特色であろうfacebookについての記述がほとんどなかったのが残念だった。
Posted by ブクログ
職場の本屋の平積みからタイトルで購入。
アラブの革命は注意していたいから。
長沢先生は、東大の教授でこのご専門らしく、アラビア語も堪能。アラビア語のうんちくも多く、また、アラビア語でたぶんかかれた現地の文献の引用も多い。
しかし、今のエジプトの現状を知ろうとしたら、やはり、関係者の現場でのインタビューではないか。
その意味では、ちょっと、分析があまいような気がする。根拠がまったくないが、読後の印象。
(1)若者、民衆の立場を高く評価しているが、もしかしたら、軍部がムバラクを見限っただけで、軍部が中心なのは何もかわっていないのではないか。
(2)ムスリム同胞団やイスラム主義者が果たして、軍部と協調し続けるという前提で大丈夫か。
(3)勧善懲悪ではなく、冷静に考えれば、ガザを一部開放したエジプト政府と、ファマスとファタハが合意し、さらに、イランの核開発がすすんでいる時に、イスラエルがどういう対応をとるかの視点が重要ではないか。
専門書の紹介という意味もあるようなので、最終的な判断は、専門書を読んでからにしたいが、もっと実地に即した情報が必要だと強く感じだ。