あらすじ
話題書『心はこうして創られる』の翻訳・解説チームによる第二弾
コンピューター科学によって人間の知性の本質に切り込む、アメリカの俊英著者による話題作
数々の実験と簡潔な理論で、“知性の本質”に迫る!
人間は賢い。運動制御、知覚、予測、情報伝達、意思決定、推論……いずれにおいても、他の動物や下手なAIより、遙かに優れている。でも私たちはいつも、思い込み、決めつけ、見落とし、取り違える。
“愚かで賢い”人間の知性とは、いったい何なのか? この両義性の謎に、最新認知科学は驚くべき答えを示した。
「認知バイアス」が、知性にとって原理的に不可欠だというのだ。
ベイズ則という強力な理論的武器を駆使して、“脳という計算機”がいかに知り、判断し、行動するのかに迫る、
人工知能が高度化しソーシャルメディアが人を動かす時代に必読の書。
[訳者より]
人間はさまざまな間違いを犯すけれども、それは単に非合理とか愚かとは限らない。誤りはバグではなく仕様であり、むしろ健全な合理性の一部でありうる。この視座から人間の認知を一望に収めていくという、かなり野心的な取り組みである。
[本文より]
脳は客観的現実にアクセスできない。かたや、合理的かどうかというのは、五感から得た情報を脳がどう使うかという話で
ある。ならば合理的に誤ることは完璧に可能だ。つまり帰納バイアスという概念は、合理的な情報処理システムはかならず誤ると言っているに等しい。
*
筆者はこう信じる――認知のレベルで表れる計算原理が新たに見つかれば、そのときは必ず、神経細胞がどんな計算を行っているのかという私たちの理解も大きく飛躍するのだ、と。
[本書の内容]
訳者まえがき
第一章 ヒトは賢いのだろうか?
第二章 合理的な錯覚
第三章 帰納バイアスの構造と起源
第四章 人の振りみてわが振り学ぶ
第五章 よい質問とは
第六章 絶対に論破されない方法
第七章 パターンをみる
第八章 人は一貫しているか?
第九章 天翔けるティーポットと空飛ぶスパゲティモンスター
第一〇章 脳は節約上手
第一一章 言語を設計するには
第一二章 ランダムさを使う
第一三章
*本書は、Samuel Gershman, “What Makes Us Smart: The Computational Logic of Cognition,” Princeton University Press, 2021 の邦訳です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
1読目は、用語に慣れていないので意味がとれず、読むのにかなり苦労した。注釈やまとめ、言い換え、具体例が適度に入っているので、相当に親切なほうだと思うが、それらが挿入されるほど文は引き延ばされる。どこかで聞いた話だ。
いま2読目だが、面白いほどスイスイ理解できるその理由も、前に述べたところにあり、用語に慣れると好きなところで説明を読めばよくなる。
その結果、この本の述べる人間の愚かさと賢さについての理解が、教育の場面で生かされる予感がしているよである。
Posted by ブクログ
自分には難しかった
Fast&Slowみたいな人間のバイアスを解説する本。
バイアスがあるから人間は非合理的だよね、気をつけようね。
ではなく、むしろバイアスこそ知性という主張を展開するのがこの本。なんとなくその辺が新しい。
帰納バイアスと近似バイアスが根本的には存在する。
データの限界と計算の限界に対処するには必要だった。
どちらもバイアスによって間違うことはあるが、間違いからバイアスをアップデートするようにできてきる。
帰納バイアス→先入観。仮説、信念で現象を説明する
近似バイアス→サバを読む。
Posted by ブクログ
難しかったです。
人間のあらゆる認知にはバイアスが働いているが、その理由は脳という有限のリソースの中でほぼ無限の情報を捌いていかないといけないからである、という理解を得ながら読み進めました。
それだけならなんとなく聞くことですが、この本でおもしろかったのはそれらが全部数式化されているということです。
そして、人間のバイアスが数式化できるということは、それらは機械にもインストールできるということで、現代のAIにはすでにバイアスが実装されているというわけです。
真の意味で何かをフラットに捉えることは実質無理ということなんでしょうね。
私はそう思って生きる社会も悪くはないと思います。