あらすじ
ブラム・ストーカー賞受賞の蠱惑的なサスペンス
多額の借金を抱えながら、まっとうに生きたいと願うマリオが引き受けた最後の仕事。それはカルテルの現金輸送車を襲うものだった。だがその仕事を受けた瞬間から、彼が幼い頃に聞いていた幻聴――悪魔が罪の道へと誘い込むあの声がまたしても聞こえはじめ……
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Posted by ブクログ
現金輸送車の襲撃で一攫千金を狙え… 血なまぐさいサイコホラーな要素がヒタヒタと染み渡るクライムサスペンス
■あらすじ
白血病の幼い娘、アニータのために稼がなければならなかったマリオは、悪友のブライアンから違法な仕事を紹介してもらう。なんとか医療費を支払い続けるも、アニータは遂に帰らぬ人となってしまう。さらに妻メリッサとも仲たがいしてしまい、自宅から出て行ってしまった。
自暴自棄になりながらも、まともに生きたいマリオに、大きな仕事がもちかけられる。それは麻薬カルテルの現金輸送車を襲うというもので…
■きっと読みたくなるレビュー
テキサスとメキシコを舞台に、経済的に困窮した若者たちがぼろ儲けを企てる犯罪小説。さらに中盤以降は、 血なまぐさいサイコホラーな要素もヒタヒタと染み渡るという… キモ恐ろしい世界観も体験できます。
とにかく作品全体から漂ってくる退廃的な空気、もう絶望しかないの。カネ、カネ、カネ。とにかくカネに恵まれない男たち。現実を受け入れらずにドラッグに溺れ、泥沼の人生を歩んでいる。もうこうなるとカネに綺麗も汚いもない、反社会的な世界にどっぷりつかり、命をも危険にさらす仕事をせざるを得ないのです。
中南米のカルテルは恐ろしいとは聞き及んでいるけど、こんなにも生々しく書かれた犯罪描写はあまりない。血なまぐさい表現や、とてもじゃないけど映像化されたら目視できないようなシーンも多い。胃の奥がしくしくと縮んでしまいそうなんです。
本作メインの登場人物は3名、腐った社会で何とか生きのびている男たちです。
・幼い娘を難病で亡くし、妻に暴力をふるってしまい家を出て行かれたマリオ
・マリオの元同僚であり、闇の仕事を斡旋しているブライアン
・麻薬カルテルの運転手で、現金輸送車襲撃を計画するフアンカ
マリオとブライアンは可哀想な境遇であり、世の中や敵に牙をむいている。しかし彼らはどこまでも弱く、負け続けてきた人間。おそらくは幸せな人生を送れないと想像がつくような人物。対してフアンカはキレてるのよ… 何がヤバいって、神だの悪魔だのソレ系ですよ。
ストーリー自体は比較的シンプルで、この3人が現金輸送車を襲うまでが描かれてゆく。襲撃の準備をするにあたり、カルテルの卑劣さと悪逆な行為を見せつけられるのですが、さらにはあり得ないスプラッタホラーも味わうことになるのです。
果たして現金輸送車の襲撃は成功するのか? そして終わった後、彼らは何が得られたのか? 愛する家族のために、犯罪に手を染めた男に幸せは訪れるのでしょうか。
■ぜっさん推しポイント
神や悪魔に欲望を人間の欲望を押し付けると、どんなことになってしまうのか。痛いほど良くわかるお話でしたね。終盤の疑心暗鬼にかられる3人が、あまりに醜くてマジ反吐が出そうになった…
しかしこれが人間であって真理でもある。本作に出てきた異形も、人間の業なだけのような気がしました。