あらすじ
分断された社会で、「私たち」は成り立つのか?
イギリス映画が描く階級の物語から、新しい連帯のかたちを探る。
排外主義、新自由主義、ケア労働……。それらと結びつく、令和の日本ではもはや他人事でなくなった「階級」や「サッチャリズム」の問題を、映画や文学から学べる必読書。冴えわたる批評に刮目した。——小川公代(英米文学者)
階級ではなく格差という言葉が選ばれることの多い日本社会。格差という言葉が選ばれるとき、何が隠蔽されているのか? 「階級先進国」イギリスの映画および文学を読み解いていくことで、格差が隠すもの、そして階級のまだ見ぬ可能性を探る。
本書は階級を軸に、イギリスの近・現代史や、現在の新自由主義経済下の社会を批判的に捉え、労働や家族、成長(観)、ギグ・エコノミーなどさまざまな変化や問題を浮き彫りにする。そして、日本の作品や社会状況とも比較しながら論を展開することによって、現在日本において「私たち」を作り出す萌芽を見出していく。
ケン・ローチ作品をはじめとするイギリス映画だけでなく、19世紀の古典『大いなる遺産』や作者の死後発表された『モーリス』など、多彩なイギリス文学も扱う本書。階級についての思考を深めるだけでなく、新しい視点からイギリス映画や文学を楽しむための一冊となっている。
【本書で扱う主な作品】
『キングスマン』『わたしは、ダニエル・ブレイク』『ジェイン・エア』『大いなる遺産』『リトル・ダンサー』『さらば青春の光』『モーリス』『トレインスポッティング』『ケス』『家族を想うとき』『サンドラの小さな家』『パレードへようこそ』『オールド・オーク』『万引き家族』『あのこは貴族』『パラサイト 半地下の家族』『バーニング 劇場版』『ノマドランド』『パブリック 図書館の奇跡』ほか
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
話題の(?)河野真太郎さんの新著。やっと読んだ。
いや~おもしろかった。やっぱりいまの社会の情勢を「階級」を抜きにして語るのは無理があるし、そこを抜きにしたままで連帯はできない。
それは生きることと密接に結びついていて、逃れることはできないから。
そしてこれはマジで個人的なものなのだが河野真太郎さんの著書はいつもテーマが興味深くて、今までも何冊か読んだけど難しくて眉間にしわを出現させながら読んでいたんだけど、今回はもともとがWeb連載だったということもあってか、すごく読みやすかった。
著作内で取り上げられていた映画もおもしろそうで、いくつか配信サービスで見られそうだったのでマイリストに追加しておいた。
イギリスにおいて排外主義者が労働者階級というイメージで語られがちだけれど、かつて労働者階級はコミュニティとしての機能も有しており、むしろ連帯していた歴史からなるというのは知らなかった。
日本の作品だと『あのこは貴族』と『プリテンド・ファーザー』を取り上げていて、そのどちらも私は知っていたこともあり、そこに描かれていた横たわる階級を横断するように連帯する内容はイメージがつきやすかったし、河野氏が提言した共通のなかの差異と差異のなかの共通こそが階級によって分断されがちな我々が連帯するための重要なポイントであるということは納得したし、やっぱり私はこの社会情勢のなかで連帯を諦めたくはない