あらすじ
ウクライナに続き中東、そして次は?! 地球上で戦争がやまない。兵器は絶望的な段階にまで達しているのに、なぜなのか? そもそもの原因は人間の本性か、宗教・民族の対立か、覇権国家と弱小国家がたどる運命なのか? 根源的な要因を人類誕生の時代から考察し希望の光を探る。国連本部で研鑽を積んだ俊英の渾身作。
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Posted by ブクログ
20世紀は戦争の時代と言われるが、人類はかつてない程、多くの人々が命を失う二度の世界大戦を経験した。飛行機が戦争に登場し、遥か上空から爆弾を投下できるようになった事は、攻撃側の心理的恐怖を軽減するのと反比例する様に、一度に多くの命を危機に晒し、地上に展開する兵士やそこに住まう市民の恐怖心を増大させた。そして太平洋戦争終結の一因となった広島、長崎への核爆弾の投下は、無辜の市民の命、10万以上を一瞬で消し去るまでに至った。
人々は今も戦争をやめない。ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルとイスラム諸国の戦い、アメリカによるイラクへの攻撃など、世界中のニュースを日々騒がせる争いだけではない。アフリカやアジア各地では内戦が続き、今この瞬間も砲撃や爆弾で沢山の人が死んでいる。私が学生時代にもニュースでは必ず戦争に関する報道があったし、私が読書を続ける一つの理由になっている。幼い頃から超が付くほど本好きだった母親の影響もあっただろうが、16、17歳の年頃になるとその読書のエリアが戦争関連の書籍に集中していた。兎に角戦争に関連しそうな本ばかり読み漁っていた。その中でずっと消えずに残る疑問として、何故人は戦争を起こすのか。私の中にその疑問が残るから次々と本を読む、その繰り返しをただただ何十年も続けた。けれどその答えには辿り着けないし、一つ一つの戦争の要因は解っても、そこに向かう根本的な原因はわからない。そして途中で気付いていた。原因に辿り着くのは絶対に不可能だということ。だからそれを何となく心の片隅に置いて、見ないようにして、それでも疑問に対する答えを探す事を原動力に本を読むという行為を続ける。それは今も変わらない。
その様な私に対して、本書の様なタイトルは読みたい、魅力的だ、興味を惹くというレベルではなく、義務的に読ませるものだ(理解しながら買ってしまうのだが)。内容としては期待通りだ。戦争を引き起こす原因を多角的に捉えながら、筆者も同じ様に、戦争というジャングルの中を星を頼りに風を頼りに出口を探しながら歩いている様な感じがしてくる。
原始の時代から他人との関係の中で、人類が社会を築き上げ、調和のための制度を作り、満足を得るために技術を発達させてきた。社会、制度、技術の変化、進歩は新たな欲求を人々の中に生み出し、またそれらを更に別の形へと進化させていく。その過程で他者からものを奪ったり、逆に分け与えたりして、人と人との関係、国家というものを成り立たせていく。そこには様々な考え方があるから社会主義や資本主義、権威主義に民主主義などその考え方を括る言葉が生まれ、それに従い社会をまた発展させる。その考え方の違いは時に摩擦を起こし、どちらが正しいかという明確な答えのない中、力と力のぶつかり合う状態が続く。人類はそうして何度も戦争を起こす、続ける。これらは一見すると原因の様なものがあるかもしれないが、それは大半がここの指導者の資質、国民の熱狂、誤った政治の判断、他者の干渉、偶然発生した気候の変化や病原体の発生など、「発生させた一つの要因」に過ぎない。不穏な空気の中で、民衆のうちの誰かが叫べば一気に暴発するかもしれないが、不穏な空気を作り出した原因を探すのは難しい様なものだ。一人一人が何をその時感じ、どうしたかったかは人それぞれだ。国家レベルでそうした議論をするなら、ナショナリズムなどにも触れなければならないが、偶然の積み重ねが戦争を生み出したと言っても過言ではない。微妙なバランスが維持できなくなり、何かが台の上から転がり落ちる様に、それさえなければ、あの時反対方向に曲がっていたならと、戦争の原因を辿るというよりも、一つ一つの要因を回避できなかった理由を探す迷路に迷い込む。それが戦争の原因を探すことに近い。だから私の中で絶対のゴールはなく、辿り着けない事も受け入れている。
話はだいぶ冗長になったが、本書を読むのには時間がかかった。新書だから(読むことに)集中すれば数時間で終わる文量だ。だが私にはその道筋をまっすぐ歩く事ができなかった。ページを巡っては自分の考えてきた事と照らし合わせ、かつ自分の中の別の記憶に置き換えて考えてみる、といった行為を繰り返すものだから、一向に先に進まない。「戦争を起こす原因」という目的地に向かう道路があるとすれば、本書はその道沿いにヒントとなる様々な標識を立ててくる。筆者が終わり書きに記載する通り、触れられないものもたくさんある中で、新書サイズで十分な時間を掛けさせる為の道標を置いてくれる。
また10年後の世界や社会、技術も人心も全く変わっているだろうから、その頃もう一度手に取ってみたい。頭が疲れたし目も疲れるが私をそういう状態に引き込み、十分に考えさせてくれた点で、私にとって良書だ。
Posted by ブクログ
戦争の原因について、その根本的なところを解説、考察するという内容で、非常に分かりやすく、多くの人に読んでもらいたい本です。
自分は、戦後の平和な日本に生まれ、他者から命を奪われる危険を感じることなく、その有り難みに感謝しながら生きてきた一方、他国で繰り広げられる戦争の惨禍に慄然とした思いを持って来ました。
そういう思いから、その戦争、紛争の個別具体的原因を知っても、さらに根源的なところを知りたくて本書を手に取りましたが、まさに知りたかったことが書かれてましたし、今まで自分なりに漠然と考えていたことが掘り下げられた感じがしました。
著述の仕方も、手当たり次第にあれこれ解説するのではなく、本書の序章で最初に触れているように、「人間(の本性)」、その人間が集まった「社会」、更にもう少し具体性を持たせて、大規模な戦争の主体となる「国家」、その国家が併存する「国際社会」という4つの視点で順番に考察してあり、文章も平易で
政治や社会に関心があるなら、高校生くらいからでも読めると思います。
著者は今回、「戦争の原因」について考察したが、
「平和の条件」についても書きたいとのこと。
平和の条件とは、戦争にならないようにすること
だと思いますので、ぜひ、読んでみたいです。