【感想・ネタバレ】逮捕されるまで 空白の2年7ヵ月の記録のレビュー

あらすじ

警察官を振り切って自宅マンションより逃走した日から逮捕されるまでの二年七ヵ月、どこでどのような生活をし、何を考えていたのか。北は青森まで、そして四国、沖縄、関西、九州の各地を電車、船、バス、自転車、徒歩で転々と移動した。英国人女性殺人事件で逮捕・起訴された市橋達也が「逃げた後、捕まる」までを綴る。拘置所からの、懺悔の手記。

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Posted by ブクログ

意外なほどこちらの評価が低いのにびっくり。他の方の感想で、何を求めてこの本を読むかによって評価が分かれる、とあって、なるほどなと思った。確かに事件の経緯を知りたくて読むと、そこには一切触れられていないので苛立ちを感じると思う。

著者の裁判記録を読んだが、殺意の有無については何となく疑問が残った。著者は殺意はなかったが、殺害したのには変わりがないため弁明はあまりしたくないという感じだった。この本で事件そのものについて触れられていないのはそのような気持ちがあったのと、簡単に触れられる内容ではないため、逃走の記録のみに割り切ったのではないかと思った。

個人的には犯罪ノンフィクションや冒険記が大好きなのでとても興味深く読んだ。どこまで本当なのかという問題もあるけど、記憶にムラがあるのがリアルな気がした。発達障害者には時々カメラアイを持つ人がいるというが、著者もそれなのではないかと思った。ちなみに酒鬼薔薇聖斗の絶歌はナルシズムが凄くて、文章は上手いけど何かなあと思ったけど、こちらの本は淡々と書かれているのにも好感を持った。

これ系の本の何が面白いかというと犯罪者でも普通の感性を持ち合わせているのが分かるところ。著者は自分のキレやすい性格も自覚しており、反省しつつも恐怖心から逃げていた。とても繊細な感性を持ち、頭が良い方というのも分かった。このような素質や文才を今後活かすことができないのは残念だと思った。

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2025年04月07日

購入済み

読みやすい

短い文章で、どんどん進んでいくので、サクサク読めました。
読んでいるうちに著者に感情移入してしまい、一緒にハラハラしたり焦ったりしました。
それにしても恵まれた生活をしていた著者が、事件を境にサバイバル生活を送り、いろんなことを考える。
しかもリアルなので引き込まれました。

#深い #シュール #怖い

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2025年01月04日

Posted by ブクログ

読んでいて、ここまで苦しくなる本ははじめてだった。
著者の記憶がここまで残っていて、文章で詳細に書ける記憶力が凄い。

時折、読んでいる私まで苦しくて涙が出てくる文があり、辛かった。

強く心に刺さるような一冊。

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2014年09月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

不謹慎かもしれませんが、結構面白かったです。
文章の構成や言葉の選び方が的確で、非常に読みやすかった。

市橋容疑者はきっと頭の切れる人物なのだと思います。
そうでなければ、この情報社会の中で2年7ヶ月も逃亡できるわけがない。本文中も割と自分自身を客観的に見ているし、警察の行動にも想像力が働くから、なかなか見つからない。

さて、この本に何を期待するかで読後感は変わってくると思います。
反省文を期待する人にとっては、絶対的に物足りないはず。時々、リンゼイさんに対する思いを吐露する場面が出てきますが、それも心からの反省という風には感じられませんでした。そもそも、反省していればとっくに自首していた訳で、その選択肢は市橋容疑者にはなかったのですから、反省文になりようがありません。

私は特に何も期待していない状態でこの本を開いたので、純粋にサバイバル本として、(改めて不謹慎だとは思いますが)面白かったです。国内にまだまだ、こんなにも身元がバレずに働ける場所があることや、離島で野草を食べて生きていたなんて、男子の冒険心をくすぐるところがありました。

青年がアイデンティティを求めて彷徨い歩くという意味では、ジョン・クラカワーの【イントゥ・ザ・ワイルド】に似ていると思いました。【イントゥ・ザ・ワイルド】の主人公クリスは「幸せは、分かち合えた時に現実となる」と理解しますが、時すでに遅く、餓死してしまう。市橋容疑者はおわりに「感謝」という言葉を出しますが、それはクリスに近い心情だったのではないかと思います。

人目を避け、長期間漂流していた市橋容疑者。その間に人との会話は全くありません。あとがきで香山リカさんが言っていた通り、おそらく殺害事件を起こす前の市橋容疑者も周囲の人間と深く関われなかったのではないかと思います。それが、漂流生活の末に土木現場で働くことによって少しずつ変わっていく。心を開くとまではいかないけれど、独善的な態度が少しずつやわらいでいく様子が読み取れます。

結局のところ、市橋容疑者は人との関わり合いが下手だったのだと思います。もし、彼がこの事件を起こす前に、アルバイトをしていたり、一人旅をしていたら、このような結末にはならなかったのではないかと。人間関係が下手だった昔の自分を思い返し、市橋容疑者の抱える闇は自分が過去に少し持っていた部分だったのではないかと、この本を読んで感じました。

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2013年10月27日

Posted by ブクログ

なんというか、まるでロードムービー的な小説のようだ。
「なぜ人を殺したのか」
「人を殺した人間のメンタルはどのようなものか」、
といったことはあまり描かれていないが、
逃亡中の生活やそこに関わる人々の暮らし、
捕まるかもしれないという切迫感はとてもリアリティがある。
本人は賢く、タフで、行動力もある
一般常識もわきまえ、プライドが高く、
かっと切れやすい性格も自覚している。
要はどこにでもいる人間だ。
殺人は加害者も被害者も人ごとではないということのようにも感じる。

話のおもしろさは★5つ、
懺悔という意味で書いたなら★2つ。
事実を正確に手記にしたようでありながら、
描写が妙に克明だったり、本人の美学が多分に
含まれていたりと、脚色はかなりあるように思える。
関係者にとっては、本人の点数稼ぎともとれる
この本の出版は複雑かもしれない。
個人的には満足した一冊。

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2015年03月12日

Posted by ブクログ

帯にもあるように普通の小説では味わえない不思議な読後感がある。リアリティがありすぎる。リアルな話しだから当たり前なのだが。
しかし著者が著者なだけに賛否両論はあると思う。
読み物としてはとても面白かった。一瞬で読み終わった。

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2013年09月20日

Posted by ブクログ

最後の森達也氏の文を読み、彼 (森達也氏) の人間としての器の小ささが、はからずもよくわかった本だったような気がする。

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2021年07月15日

Posted by ブクログ

賛否両論あり、内容も脚色されているだろうし、創作の部分もあるだろうが、本物の殺人犯が逃走した時の心理は興味深い。沖縄の島と大阪での土木作業を何度も行き来したようだが、いつか捕まることは十分わかっていたはずだ。なんとも後味が悪い本。でも最後まで読んでしまった。

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2019年08月12日

Posted by ブクログ

逃亡中の記憶をただ綴っただけの本。犯罪に至った経緯や考えなどは一切なく、ただ逃亡過程のみ。到底理解できない。書かれていることのどこまでが真実なのかもわからないけれど、優しさや人情に触れてもなお、逃げたいと思い死にたくないと願った彼の心はやはり、壊れている。後悔はあれど、反省はない気がする。

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2015年09月06日

Posted by ブクログ

市橋が裁判対策に書いている感の強い、ノンフィクションとフィクションの中間のような中途半端な文章。色々と嘘が含まれているような気がする。
記憶が妙にクリアすぎるし、自己弁護的な脚色と思われる回想が散見される。

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2014年10月29日

Posted by ブクログ

これが秋に映画化されるらしい。いろんな批評はあると思うけれど、映画化されるとたぶん、警察から逃げている様子がリアルで結構面白くなりそうだ。といっても見るつもりはないけれど。

最後に3名の方の講評が載っていた。彼のファンクラブが出来ていたらしい。確かにイケメンということもあるけれど、どちらかというと日本中を転々としながら、圧倒的なサバイバル能力を発揮して生き抜いた一人の男・・というところがいいらしい。

また森達也さんの指摘は鋭い。ホストにならないかと誘われた時に断った理由を市橋は「僕には泥で汚れた仕事がお似合いだ」と書いている。でもこれは違って、断った理由はホストとして働いたら一発で市橋とばれてしまうから。確かにこの前後には必死で変装して逃げ回っていることを記述しながら、相反した自己陶酔的な文章をあっさりと書いてしまう。とある。彼の中で断った理由がすり変わっている。確かに。

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2013年10月02日

Posted by ブクログ

あの市橋達也が獄中で書いた逃亡生活の手記である。

手記の中には被害者に対するお詫びの記述が散見されるが、殆んどが逃亡生活に関する記述が中心であり、自らの犯罪については一切触れていない。

まるで思い出話のように淡々とつづられた手記であり、この辺りに違和感を覚えた。獄中からの手記を書いた意図が理解出来ない。

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2013年09月29日

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