【感想・ネタバレ】逮捕されるまで 空白の2年7ヵ月の記録のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2014年09月25日

読んでいて、ここまで苦しくなる本ははじめてだった。
著者の記憶がここまで残っていて、文章で詳細に書ける記憶力が凄い。

時折、読んでいる私まで苦しくて涙が出てくる文があり、辛かった。

強く心に刺さるような一冊。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年10月27日

不謹慎かもしれませんが、結構面白かったです。
文章の構成や言葉の選び方が的確で、非常に読みやすかった。

市橋容疑者はきっと頭の切れる人物なのだと思います。
そうでなければ、この情報社会の中で2年7ヶ月も逃亡できるわけがない。本文中も割と自分自身を客観的に見ているし、警察の行動にも想像力が働くから、...続きを読むなかなか見つからない。

さて、この本に何を期待するかで読後感は変わってくると思います。
反省文を期待する人にとっては、絶対的に物足りないはず。時々、リンゼイさんに対する思いを吐露する場面が出てきますが、それも心からの反省という風には感じられませんでした。そもそも、反省していればとっくに自首していた訳で、その選択肢は市橋容疑者にはなかったのですから、反省文になりようがありません。

私は特に何も期待していない状態でこの本を開いたので、純粋にサバイバル本として、(改めて不謹慎だとは思いますが)面白かったです。国内にまだまだ、こんなにも身元がバレずに働ける場所があることや、離島で野草を食べて生きていたなんて、男子の冒険心をくすぐるところがありました。

青年がアイデンティティを求めて彷徨い歩くという意味では、ジョン・クラカワーの【イントゥ・ザ・ワイルド】に似ていると思いました。【イントゥ・ザ・ワイルド】の主人公クリスは「幸せは、分かち合えた時に現実となる」と理解しますが、時すでに遅く、餓死してしまう。市橋容疑者はおわりに「感謝」という言葉を出しますが、それはクリスに近い心情だったのではないかと思います。

人目を避け、長期間漂流していた市橋容疑者。その間に人との会話は全くありません。あとがきで香山リカさんが言っていた通り、おそらく殺害事件を起こす前の市橋容疑者も周囲の人間と深く関われなかったのではないかと思います。それが、漂流生活の末に土木現場で働くことによって少しずつ変わっていく。心を開くとまではいかないけれど、独善的な態度が少しずつやわらいでいく様子が読み取れます。

結局のところ、市橋容疑者は人との関わり合いが下手だったのだと思います。もし、彼がこの事件を起こす前に、アルバイトをしていたり、一人旅をしていたら、このような結末にはならなかったのではないかと。人間関係が下手だった昔の自分を思い返し、市橋容疑者の抱える闇は自分が過去に少し持っていた部分だったのではないかと、この本を読んで感じました。

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Posted by ブクログ 2015年03月12日

なんというか、まるでロードムービー的な小説のようだ。
「なぜ人を殺したのか」
「人を殺した人間のメンタルはどのようなものか」、
といったことはあまり描かれていないが、
逃亡中の生活やそこに関わる人々の暮らし、
捕まるかもしれないという切迫感はとてもリアリティがある。
本人は賢く、タフで、行動力もある...続きを読む
一般常識もわきまえ、プライドが高く、
かっと切れやすい性格も自覚している。
要はどこにでもいる人間だ。
殺人は加害者も被害者も人ごとではないということのようにも感じる。

話のおもしろさは★5つ、
懺悔という意味で書いたなら★2つ。
事実を正確に手記にしたようでありながら、
描写が妙に克明だったり、本人の美学が多分に
含まれていたりと、脚色はかなりあるように思える。
関係者にとっては、本人の点数稼ぎともとれる
この本の出版は複雑かもしれない。
個人的には満足した一冊。

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Posted by ブクログ 2013年09月20日

帯にもあるように普通の小説では味わえない不思議な読後感がある。リアリティがありすぎる。リアルな話しだから当たり前なのだが。
しかし著者が著者なだけに賛否両論はあると思う。
読み物としてはとても面白かった。一瞬で読み終わった。

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Posted by ブクログ 2021年07月15日

最後の森達也氏の文を読み、彼 (森達也氏) の人間としての器の小ささが、はからずもよくわかった本だったような気がする。

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Posted by ブクログ 2019年08月12日

賛否両論あり、内容も脚色されているだろうし、創作の部分もあるだろうが、本物の殺人犯が逃走した時の心理は興味深い。沖縄の島と大阪での土木作業を何度も行き来したようだが、いつか捕まることは十分わかっていたはずだ。なんとも後味が悪い本。でも最後まで読んでしまった。

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Posted by ブクログ 2015年09月06日

逃亡中の記憶をただ綴っただけの本。犯罪に至った経緯や考えなどは一切なく、ただ逃亡過程のみ。到底理解できない。書かれていることのどこまでが真実なのかもわからないけれど、優しさや人情に触れてもなお、逃げたいと思い死にたくないと願った彼の心はやはり、壊れている。後悔はあれど、反省はない気がする。

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Posted by ブクログ 2014年10月29日

市橋が裁判対策に書いている感の強い、ノンフィクションとフィクションの中間のような中途半端な文章。色々と嘘が含まれているような気がする。
記憶が妙にクリアすぎるし、自己弁護的な脚色と思われる回想が散見される。

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Posted by ブクログ 2013年10月02日

これが秋に映画化されるらしい。いろんな批評はあると思うけれど、映画化されるとたぶん、警察から逃げている様子がリアルで結構面白くなりそうだ。といっても見るつもりはないけれど。

最後に3名の方の講評が載っていた。彼のファンクラブが出来ていたらしい。確かにイケメンということもあるけれど、どちらかというと...続きを読む日本中を転々としながら、圧倒的なサバイバル能力を発揮して生き抜いた一人の男・・というところがいいらしい。

また森達也さんの指摘は鋭い。ホストにならないかと誘われた時に断った理由を市橋は「僕には泥で汚れた仕事がお似合いだ」と書いている。でもこれは違って、断った理由はホストとして働いたら一発で市橋とばれてしまうから。確かにこの前後には必死で変装して逃げ回っていることを記述しながら、相反した自己陶酔的な文章をあっさりと書いてしまう。とある。彼の中で断った理由がすり変わっている。確かに。

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