あらすじ
そのとき国際交渉の最前線で何が起きたのか
ウクライナ、ガザ……戦後国際社会が築き上げてきた秩序が溶解する今、前財務官・現アジア開発銀行総裁が、緊迫する国際交渉の最前線を明かす!
円安に対する為替介入やウクライナ侵攻に際しての対ロシア制裁決定の裏側を描き大反響を呼んだ『文藝春秋』での連載に加え、国際交渉の最前線で感じるかつてない危機感をこめた書き下ろし「人類は歴史的岐路に直面」を収録。近年の国際政治経済の裏側を描くリアルなドキュメントであり、日本の指針を説く提言書でもある。国際政治に関心のある人はもちろん、世界経済を睨む経営者、ビジネスマンも必読の書。
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Posted by ブクログ
最近、経済学への興味が高まり、経済に関する本を続けて読んでいる。アダム・スミスやケインズの考え方に触れる中で、その流れで、手に取ったのが神田眞人氏の『世界金融秘録』。どんな本だろう?
果たして、この本は私が想像していたような経済学の本ではなかった。経済理論を学ぶというよりも、世界経済の安定のために奔走する著者の仕事を描いた「お仕事小説」を読んでいるような一冊だった。世界銀行やIMF、G7・G20など、ニュースでしか聞いたことのない国際金融組織の裏側が臨場感たっぷりに描かれ、思ったのとは違うものの、これがなかなか面白い。
ロシアへの経済制裁や為替介入、スリランカの債務問題などのリアルな現場の裏側が興味深い。世界各国との信頼関係を築き、粘り強く交渉を重ねる姿が語られ、国際金融とは数字ではなく「人」が動かしている世界なのだと感じる。
また、この本を読んで、市場経済は自然に任せておけば常に安定するものではないことも改めて実感した。平時は市場メカニズムが機能する一方、危機の局面では政府や国際機関による介入や国際協調が欠かせない。まさにケインズが説いたような「政府が経済の安定に重要な役割を果たす」という考え方が、現実の世界でどのように実践されているかが描かれているように思えた。もっとも、私は経済の素人なので、現実はそんな単純な話でもないのだろう。
もし経済学を体系的に学びたいのであれば、この本は少し違うかもしれない。しかし、グローバル経済の最前線で繰り広げられる国際交渉や危機対応の、ヒリヒリするような現場感を味わいたければ、楽しめるはずだ。