【感想・ネタバレ】「学力」と「社会力」を伸ばす脳教育のレビュー

あらすじ

効果が一生続く脳教育法は8歳までが勝負! 脳内格差解消!! 読み書き算盤+音楽で成功脳に! 子どもに最も必要な能力HQを育てる方法。社会的成功の裏には必ず幼少期の脳教育があった。誰もが幸せになれる「脳力」の秘密!

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Posted by ブクログ

著者、澤口俊之の脳研究を纏めた主論でもあり体系的にわかりやすく解説したものだと著者自身が述べるように、論点がハッキリしている。脳科学的見地においては、8歳程度の脳の育成における臨界期が重要だという事だ。分かりやすいが、もう取り戻せないではないか!と、ショックだが、この主張は著者の別著でも述べられてきたもので、今更、初見でもないのだ。

言語や視覚系、絶対音感。バイリンガルの子供や日系二世と親の英語能力の違いを思うと、著者の言う「学習容易期」は確かにあるのだと理解できる。この本では他にもサヴァン症候群の子に、一般教養を教え込む事で脳のリソースが取られ、突出した能力が損なわれてしまう例も紹介される。環境によって脳は柔軟に変容する。しかし、それは幼少期まで。また、遺伝にも左右される。

また、本著ではスポック博士による、自由な子育てが一部が誤りである事も示される。厳しく規律を教え込む事は意味がある。また、そうした実験結果からミスリードしてしまう疑似相関の罠についても解説する。

まさに本領発揮、というよりも時系列的には著者が教職を退いて間もない著作なので、まだ研究者としての勘も鈍らず、筆も流暢にという所だろうか。しかし、救われない。成人になってからでは遅いという論説にフォローは無い。

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2023年11月15日

Posted by ブクログ

脳科学の観点から育児について考察した本です。

育児本は沢山あふれていますが、惑わされないマインドが養われると思います。ただ、あくまで脳科学の観点からなので、実際とずれることも…。そのような時には、柔軟な解釈や他の専門分野の方の意見を適宜取り入れるとよいと思います。

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2011年09月12日

Posted by ブクログ

初めは、早期英才教育必要!なるべく早い時期に読み書き+音楽が必要であるという主張に見えたが、読み進めるうちにどうやら違うということがわかり、ホッとした。
早期英才教育は不要とはっきり書いてある。もっというと、人間性知能の発達のマイナスになる可能性がある。

「幼児脳育成ポイント」
2歳までの乳児期で伸ばすべき最重要な脳領域は脳幹。脳幹の発達にはカンガルー育児と母乳が大切。
3歳頃から「幼児脳」に移行し、それが8歳頃まで続く。この時期最も発達させるべき脳領域は前頭連合野。そして、この前頭連合野の発達に寄与するのが、下記の項目。5歳児を対象とした調査結果である。
 母親との接触時間が長いこと
 テレビ(バラエティ番組)をよく見ること
 公園などでの集団遊びの頻度が高いこと
 祖母と接触する頻度が高いこと
 魚をよく食べること
 箸使いがうまいこと
逆にマイナスなのは、
 よく泣くこと
 テレビゲームをよくすること
正直、結果自体は「うむ…」という感じ。特によくも悪くも思うところはない。テレビはなんとなく受け入れ難い気がするが、私も特に根拠もないのでコメントがない。
ちなみに「父親との接触時間」と「父親の育児参加」は全く影響しない。幼児での様々な問題に関係するのは「母親問題」であり、「父親問題」はさほど関与しない。ただし、小学生に上がると父親が関係してくる一方、母親との接触時間は無関係となる。

「偽りの相関について」
ある事柄には多くの「要因」が関係することが普通である。ところがそのうちの一つだけしか考慮してしないために、「真の要因」あるいは「最も重要な要因」を見逃してしまい、本来は関係ない要因がその事柄と関係するとみなされてしまうことが、「偽りの相関」。
私もこのことについてはいつも気にしていたので、文章としてまとめてあって有り難かった。
「母乳で育てるとIQが高くなる」
これは正しいか否か。母乳で育った子どものIQが高いことは事実である。ところが、そもそもIQが高い母親ほど母乳で育てる傾向があるのである。母親のIQと子どものIQは当然ながら相関する。
これらをふまえて改めて解析すると、「母乳で育てること」との相関はなくなり、「母親の高いIQ」が主な要因であることがわかっている。つまりは、「母乳で育てること」と「子どもの高いIQ」との相関は、偽りの相関に過ぎなかったという結論。(ただし、その後研究は進み、今では「母乳だけ」で「生後最低6ヶ月以上」という条件のもと、IQが高くなるという結果が出ている。)
これは私の感覚的な話だが、
「朝ごはんを食べる子は学力が高い(同一対象が朝ごはんを食べたら学力が向上したとは区別」とか「読書をしている子は学力が高い」も同じ話に聞こえる。朝ごはんや読書の環境を提供している母親のIQがそもそも高いのではと思っている。
たくさんの育児書がいろいろな方法をわたしたちに教示してくれているが、果たしてそれは本当に効果があるのか。今一度自分で考え抜くことが必要そうである。

「育児脳」
出産後、赤ちゃんが母親に抱かれること自体は、新生児のその後の発育にさほど大きな影響を与えない。
出産後、一時間以内に少なくとも20分間は新生児を肌に抱くことが、「母親」にとって重要なのである。臨界期がある。この20分抱く行為が「育児脳」に母親をシフトさせる。
母親の赤ちゃんへの愛情が増し、心が安定する。育児にも自信がつき、育児スキルが高くなる。母乳も出やすくなるのだ。こうした脳の状況が2年間続く。出産した時に、赤ちゃんをそのまま母親の胸に乗せるのは、赤ちゃんのためだと思っていたけど、母親の育児脳シフトのためだったの那、知らなかった。

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2024年10月06日

Posted by ブクログ

うちと同じで子が8歳以降なのに読んでしまった人へ
・言語能力は8歳を超えてもかなり習得可能
・概ね普通の環境で育てていれば伸ばすとか伸ばさないとか言うほど差が出るものでもないだろう(個人訳)
辺りはほっと胸を撫で下ろすだろう


全体として8歳以降は何しても無駄!といった内容ではあってそこはどうなんだろう?体感的にそんなこともないのでは?と話半分に読みつつも
・一般的な知能と社会力との脳における関係
・反社会的人格障害の説明
・よく小説などでも主題に上がりがちな「人はなぜ人を殺してはいけないのか」に対する答え
はなるほどと思った

突出した能力のある子の他の部分を伸ばそうとすると、突出した能力が消えることがあるのはなぜかと言う辺りもイメージが掴めた

今更かもしれないがお箸を使って魚を食べながらもモーツァルトを聞くぐらいはして足掻くのも悪くないかなと思いました!

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2024年05月28日

Posted by ブクログ

脳のそれぞれの能力はだいたい8歳頃までに成長の臨界期を迎える。
HQ(人間性知能)を伸ばすこと、育成することが子どもの将来のためには重要。そのためにはどうするか?

○乳児期(生後~2歳頃)
・生後6ヶ月までは母乳のみで育てる
・神経回路が発達する時期。豊かな環境、特にクラシック音楽を含めた多様な環境に触れること

○幼児期(3歳頃~8歳頃)
・前頭連合野が発達する時期。
・HQ育成サイクル「目的の設定→努力→目的の達成→より高いレベルの目的の設定→努力・・・」で未来志向的行動力を総合的に育成
・目的=子どもの好奇心・探究心から発生
・仲間同士での集団遊び(けんかも大事)
・母親、祖母と過ごす時間を増やす
・箸を使って魚をたくさん食べる

子どもが自分の力で考え、生きる力をつけられることを願って。

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2011年05月28日

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