あらすじ
不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢(あつれき)や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。無縁だった3人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。比類なき犯罪小説、待望の文庫化! (講談社文庫)
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Posted by ブクログ
それぞれに苦しい日々を送る三人の人生が、次第に交錯していく物語である。作中に出てくる「犯罪は家族に後遺症を残す」という言葉が強く印象に残り、読み終えたあとも胸に突き刺さっていた。物語の構成の巧みさだけでなく、奥田英朗が選ぶ言葉一つ一つにウィットが感じられ、自然と物語に引き込まれた。個人的に最も共感した人物は川谷である。家族や仕事、お金といったすべてを投げ出し、いっそ死んでしまいたいと思ってしまう気持ちは、実際に経験したことはないのに、なぜか理解できてしまった。