あらすじ
“寅ちゃん”より30年前に
「知」の門を叩いた女性がいた。
日本初の女子帝大生・黒田チカ。
彼女の研究は、百年後の私たちの健康につながっている。
学ぶことを選び続けた女性化学者の挑戦。
大正時代、日本の帝国大学は男だけの学び舎だった。
それでも彼女は、学ぶことを諦めなかった。
幼い頃から学問への熱い想いを抱いていた黒田チカは、学齢前に尋常小学校に入学、姉のクラスで授業を受ける。
佐賀師範学校、東京女子高等師範学校を経て、チカは東北帝国大学理科大学(現在の東北大学)へ入学を果たす。
女性初の帝大生のひとりとなったチカの研究テーマは天然色素。
世間の嘲笑と制度の壁を前に「知」を選び続けたチカは長年の研究で数々の賞を受賞、
なかでもタマネギの皮に含まれる〈ケルセチン〉の血圧降下作用――
それは百年後の現在も、私たちの健康を支えている。
彼女の名は若き化学者たちの後押しとなる「黒田チカ賞」としていまも残されている。
日本の化学史に刻まれた、ひとりの女性化学者の確かな挑戦の物語。
カバーイラスト:シシヤマザキ
【目次】
第一章 五歳の小学生
第二章 門をひらく
第三章 紫の結晶
第四章 色を追う日々
第五章 玉葱の力
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Posted by ブクログ
佐賀出身の黒田チカ,幼き時より向学心旺盛でその道を突き進む.彼女自身の優れた資質はもちろんだが,両親,兄弟をはじめ教師,学友に恵まれていたと思う.そして優れた研究につながるのだが,彼女自身がそれに値する素晴らしい人物だったのだろう.
Posted by ブクログ
日本初の女子帝大生であり、ケルセチンに血圧を下げる作用があることを発見した化学者・黒田チカ。これほどすごい人物なのに、この本を読むまで名前すら知らなかった。
5歳で飛び級して小学校に入学し、いきなり四年生のクラスに入ったというところからして驚異的だ。その後も衰えることのない向学心で学び続け、現在のお茶の水女子大学につながる学校を卒業し、さらに研究者として道を切り開いていく。その経歴を追うだけでも圧倒される。
また、女子が高等教育を受けることがまだ当たり前ではなかった明治時代に、女子にも教育が必要だと考え、進学を後押しした家族もすごい。
ケルセチンといえば、現在では脂肪を減らすのを助ける働きが注目され、トクホなどにも使われている成分として知られているが、その作用がこれほど昔から研究されていたことも今回初めて知った。日本の女性研究者の草分けとして、もっと広く知られていてもいい人物だと思う。