あらすじ
聖なるものへの覚醒とはなにか。エロチシズムとはなにか。熱き情念に突き動かされながら、人間の思考のあり方を問い、その限界の彼方を指し示した人、バタイユ。ヘーゲルを頂点とする西欧文明における理性の体系に対し、「非-知」「好運」を看板に掲げて果敢に戦いを挑みつづけた。現代のヨーロッパはいまだ彼が投げかけた問いの内にあり、そこにまたバタイユの思想を問う意味がある。「死とエロチシズム」の思想家の活動の全貌を新たな視点から明快に解き明かす入門書。
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Posted by ブクログ
皆さん、推し作家は居ますか?
では、推し翻訳者は?
私は酒井さんのバタイユ翻訳本がなにかと好きです。
なので訳者あとがきも毎回楽しみにしています。
本作はその推しが書いてくれたバタイユ入門!
酒井さんとバタイユ哲学のドラマチックな出会いから始まり、サクッとバタイユの過去経歴・そこから考えられる思想・そして人生の流れと共に変遷していく表現とその作品たち……と順に説明してもらえます。
とても良かった。
とても嬉しい。
本人の著作じゃわからない部分(バタイユと父親の関係とか)がわかるのとても助かる。
哲学者ってどういう生活してどんな活動してるのか、いまいち本読んでるだけだとわかってなかったんですよね。
バタイユさん、私の想定の10倍は活動的で、色んな組織を作って潰れて作って潰れてしている人だということが知れて良かったです。
というかお兄さん居たんだ、ジョルジュ・バタイユ。知らなかった。
自分で作った組織内儀式として人身御供を計画し、自分が生贄に立候補したけど誰も執行しなかったんだ、ジョルジュ・バタイユ……。
面白い男だ……。
第二次世界大戦周りのヨーロッパ情勢の知識が多少必要だなぁと感じましたが、丁寧に説明はされているのでざっくり理解するのには問題ないと思います。
本作のあとがきが酒井さんによる「おすすめのバタイユ翻訳本!」なの、自分の推しを布教するオタク仕草に見えたんですが入門書の慣例としてそういうのがあるんだろうか。
……(手元の本を確認)
特に慣例ではなさそうだな。
■最後に
「著者」と「訳者」って違うので、本の内容がものすごく好きでも訳者と解釈違いしていて驚愕、みたいなことが起こりうる。
貴方はどうしてこの解釈でこの訳文になったんだ。
そんな風に思いを馳せるのも海外の作品を読む楽しみです。
Posted by ブクログ
五つ星の評価は、
著者の酒井氏への綿密な研究成果に対してです。バタイユ自体には、たいした興味はありません。こわいものみたさの好奇心だけです。バタイユの思想や評論は面白いものがあると思いますが、プラス・マイナス=ゼロと言ったカンジでしょうか。
この書籍の端々に、海外で、マイナーな思想家を研究することの大変さがうかがえます。
Posted by ブクログ
難解と言われるバタイユについての解説本である。平易でわかりやすい。
バタイユの著書が難解なのは彼の視点で者をした見れない。見るのを拒んでいる我々側の問題である。
少なくても中期までの彼は評価どころか誤解されていた。文章が難解、書いていることが過激。これらは生い立ちや彼が見えていたものから考えれば素直なアウトプットであると言える。
バタイユとて唯我独尊でいたかった訳ではなく社会とつながるため、自分から見えていたものを素直に著しただけなのだと思う。むしろ中期、後期になると彼がそもそも信じていない、頭や理性に訴えるような著作を残している。
アニメのキャラにホシノ・ルリがいる。口癖のひとつが馬鹿ばっかり。彼からの他人はそんなものだったと思う。