【感想・ネタバレ】経済成長という病 退化に生きる、我らのレビュー

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Posted by ブクログ

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「実感の無い景気回復」と言われたのが数年前でしたが、それを実現させたのが所謂「泡銭」で、出資と経営の分離云々が叫ばれて、やがて至上資本主義が暴走を始めた…
これから先は経済成長に囚われることなく、「地に足をつけた社会にしましょう」と謳う著者。
それを敷衍して秋葉原の事件や人口減少の前途を「経営者」の視点から述べています。数々の偽造事件の主犯は、恐らくは家族想いで立派なお父さん。であっただろう。人間一人が善悪を持ち、どちらかに傾倒している人はいない云々ははっとさせられました。
あちらこちらに「なるほど」と思わせる箇所があり、その思考は瞠目に値します。
が!後半にある人口減少の節。
「今までが異常であるため、人口減少して落ち着いてくるのが妥当」「経済成長のために出生率を上げる等と言う政府のはいかがなものか」云々ありましたが、前者に対しては全体人口のバランスが肝要であり、人口ピラミッドが総崩れしている現状には触れていないこと。そして後者に対しては経済成長を主軸に据えて発しているが、一番考えなくてはいけないことは「生みたくても生めない経済力の現状」にその問題の根底があるように感じます。何の本だったか忘れましたが(笑)、現在日本の出生率と経済力には相関関係が見られるという統計もあるようです。その箇所が一番腑に落ちませんでしたが、総合的には良書と言えます。尚、この本は論題がやや漠然としているので、 それを詰めて具体論を展開している、広井良典著「定常型社会」を併せて読むと曙光が見えてくると思います。また山岸俊男著「安心社会から信頼社会へ」では 平川さんの「商倫理」節に関して深く鋭く入り込めるようになると!
思いますた!

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2011年09月07日

Posted by ブクログ

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エマニュエル・トッドら人口学者らの調査の中で、民主化の進展と識字率の上昇によって女性の社会進出が旺盛となり、同時に出生率が低下していくことが指摘されている。即ち際限なく人口が減り続けるということはなく、必ずどこかで止まる。社会の適正人口で均衡するということである。また、出生率が低下し人口が減少していく社会は決して暗いものではなく、寧ろ社会の適正人口に向かい出生率が自然回帰するプロセスであるともいう。経済もその社会に応じた適正規模というものがあるのであって、必ずいつかはその右肩上がりが止まる時が到来する。今こそ我々は経済成長という呪縛を解き放ち、右肩上がりが止まった後の社会の作り方を冷静かつ具体的に考想しておくべき。経済成長を至上命題とし飽食した市場に商品を投入し、その結果として、人々が過剰消費、過剰摂取に明け暮れる光景は滑稽を通り越して悲惨なものがある。経済成長が社会の発展プロセスのひとつの様相であれば、経済均衡もまた社会の発展プロセスのひとつである。均衡段階において無理やり経済成長を作りだそうとするその様は珍妙奇天烈以外のなにものでもない。

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2012年07月07日

Posted by ブクログ

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この本の注意すべきところは、経済成長そのものを悪だといっているわけではないということ、また現実的な代替案を述べているわけではないということである。

経済を成長させるといったことを前提に議論を続けることにいったん疑問を持つ。そもそも経済成長を妨げる要因に市場の縮小であったり少子化があげられたりする。だがこれは原因と結果が逆転してはいないか?経済が成長し社会が成熟してきたからこそ少子化が進んできたのではないだろうか。そうであるなら人口減少していくのは当然のこととしてこれからの社会の設計をすべきではないか、というのが筆者の主張である。

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2011年04月16日

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