あらすじ
「そしていつのころからか、本当にいい人、のめり込んでいきそうな人、本当に大事だと思う人からは、できるだけ遠ざかって、キラキラしている思いだけをずっと持っていたいと考えるようになってますね。卑怯なんですかねえ。(略)ちょっとした瞬間、昔よく聞いた曲とか、立ち止まった景色とか、目をつぶって思い出すとジンとしてくることがあるんです。」(本文より)素敵な体験を綴る初エッセイ。
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Posted by ブクログ
高倉健が どこで 心が動き
感謝し、怒っているのかが よくわかる。
『空がからっぽになってしまって、
空気さえないみたいに、太陽ばかりが光り輝いています。』
落日を拾ひに行かむ海の果。檀一雄;ロカ岬。
海を汚さないと言う青年 由五郎君。
旅とは、何か別れを決意させたり、新しい感動に出会わせてくれる。
日本人って、いいなぁと思われる生き方をしたい。
夢は夢のままにしておく。
怒りの火のようなものが、身体からぼわッと発する。
この頑固さが自分を支えている。
『昨年中はありがとうございました。
こんなに気ままに生きて、
昨年はまたしかじかの人の心を傷つけてしまいました。
反省します。』
行動は感情を規制する。
『ある研ぎすまされた感性と、感動させるための、
ものすごい天性、そして更なる修練、プロとしての精進。』
槍錆。
お心入れ。
サバイバルフロムブラックレイン。
一の太刀 残心。
さすらえることの幸せ。
無私の愛。
思いを込めてつくる。
旅をしなければなりたたない男。
『士は己を知るもののために死す。』
嵩高くなくて、やさしくすてきな人。
偏屈さ。そして 性急さ。
『愛するということは
その人と自分の人生をいとおしく想い、
大切にしていくことだと思います。』山田洋次
あなたに代わって、褒めてくれる人を誰か見つけなきゃね。
薄汚れた心の垢を
ごしごしと 洗ってくれるような メッセージ。
ありがとう。
健さん。
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1993.8.25発行の作品です。高倉健さん62歳のときのエッセイです。「あ・うん」が1989年(58歳)、「鉄道員(ぽっぽや)」が1999年(68歳)の時です。第13回日本文芸大賞エッセイ賞受賞作品です。23の珠玉のエッセイがおさめられています。そして、その最後が「あなたに褒められたくて」です! ---母は明治の女だった。頑固で、優しくて、そして有難い母だった。自分が頑張って駆け続けてこれたのは、あの母に褒められたい一心だったと思います。---
高倉健さん(1931.2.16~2014.11.10)の「あなたに褒められたくて」、1991.6刊行、1993.8文庫化です。健さん60歳の時の作品、初エッセイだそうですね。健さんの人生が詰まってます。そして、お人柄が行間に滲み出ています。何度読んでも感動します。西表の青年由五郎君、内蒙古の赤ん坊、小田先生のこと、お心入れ、兆治さんへの花、あなたに褒められたくて!
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あなたが誰なのかは、読む前から察しがついていた。
稀代の大スターも、人間であることには変わりない。一人の日本人の男性だ。
いろんな作品に出演し、いろんな人々に出会い、いろんな旅をしたことがこの本に詰まっている。
高倉健さんのようには行かないだろう。
けれども、私も貴女も、人生という旅をしている一人の日本人であることには変わりない。
どんなにお金を儲けても、どんなに有名になろうとも、人はみんな一人で死んでゆく。
高倉健さんは、世の中にはそっと別れを告げられた。
ちょうど、鉄道員で、主人公が定年間際に極寒の職場である駅のホームで帰らぬ人となったように。
私たち日本人は、心の故郷のような高倉健を喪ってしまった。
けれども、高倉さんが出演した映画作品はずっと残っていく。
彼の生き様に涙する人々が、世界の何処かに存在する限り。
ありがとう、健さん。
この本を読んで、また沢山の映画を観たくなりました。
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高倉健さんは、とっても素晴らしい感性の持ち主だとおもうのです。だからこそあれほどに研ぎ澄まされた演技ができたのでしょう。この本から、そのことがひしひしと伝わってきます。ありがとう「健さん」。
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健さんの人柄にそっと触れることが出来るような気がする。なんだか、一緒にコーヒーを飲みながら語りかけてくれているような? そんな不思議な気持ちになります。仕事で出会った人たちのエピソードや人と人との繋がりを大切にしてきた。健さんならではの話や題名にある。『あなたに褒められたくて』の母との思い出話はとてもじんわりと暖かくそして切なく…。テレビや映画とは少し違う健さんの魅力があふれています。
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高倉健さんのお茶目な一面が、垣間見れました。もちろん本のタイトルになっている一編には、お母さんへの気持ち、お母さんの健さんへの気持ちが感じられて、しみじみとしました。小林稔侍さんとのエピソードも、よかったです。
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「褒める」という言葉に目が吸い寄せられて購入。一般論として、世の中は「褒める」ことが上手な人が少ないように思う。けっこう近しい相手でも「あなたのこういうところが素敵です」って、ちゃんと伝えている人が少ないのではないか。そんなことを思っていたところ、本屋で出会った。いくつかのエッセイで構成されていて、「褒める」ことについてはそのうちの1つだけで、あとは他の話題なのだけれど、とにかく良かった。何が良かったって、高倉健さんの愛情がたくさんつまっているところ。人が好きなんだなって、がんがん伝わってくる。人好きの僕としてはたまらない。そうなんだ、人っていいよなぁって。人生で出会える人なんて、そう多くはない。そりゃあ、ウマの合わない人だっているけど、せっかく出会った縁だもの。基本はみんなを好きになりたい。好きになるのはこちらの都合なので、見返りは求めない(見返りも欲しいけどさ)。好きをたくさん集めたら、何だか楽しい人生になりそうだ。
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ドキュメンタリー「健さん」を観たら読みたくなって30年ぶりに再読。健さんの温かいお人柄と、独特のめんどくささが味わえる。文章もおそらくご本人が書かれていると思われるモノローグ風の文章で味が出まくってます。
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高倉健の魅力を本人の自筆で書いたエッセイ集。映画スターの魅力とシャイな一面を書いている。高倉健の評論は何冊か読んでいるが本人が書いた高倉健のエッセンスがちりばめられている。
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おこがましいのは十も百も承知なのだが、まるで健さんが私に語りかけてくれているような、ずっとそんな錯覚に陥って読んでいた。心に染み入るようなエッセイで、素敵な読書タイムでした。
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高倉健が今までの人生でまた会いたくなった人々を綴ったエッセイ。
母に褒められたくて一生懸命生きてきたと知り、純粋に頑張れる人は素晴らしいと思った
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2014年11月に亡くなった名優・高倉健によるエッセイ集。飾り気のない文体で読者に語りかけるように綴られる23の小品は、時にいじらしく、時に寂しげに、時に嬉しげに、時にいじわるに、時に優しく、著者の人間味を浮かび上がらせる。本書のタイトル「あなたに褒められたくて」は亡き母への思いを綴った最終章の小品から。
とにかく高倉健が素敵すぎる。こんな俳優さん、これからの時代には出てこないと思う。飾り立てることなく、言葉に誠実で自分に正直。それほど高倉健の映画を観たことがあるわけではないが、名優として陰影に富んだ演技をされるの理解できる。同じ男として憧れてしまう程。
素敵な生き方をする人のもとには素敵な人が集まる。それを高倉健の眼で見て、高倉健の心で感じ、高倉健の言葉で綴る。そんなエッセイが素敵じゃないわけがない。
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名著、と言われていたけどやっと読めた。
高倉健、という人に対するイメージを改める部分が多かったなぁ。
古きよき時代を象徴するような役者さん、というごくありきたりな印象しか持ってなかったけれど(作品も任侠、みたいなイメージだった汗)
瑞々しい感性と豊かで鋭い筆致に、気持ちよく論破された気がした。
シンプルにいい文章だなぁ、と。
こんな風に、可愛らしく豊かに孤独に生きていきたいものです。
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「十二支のコンパス」
スタッフ達の頬がげっそりと削れて行く頃、撮影が終わる。
みんなと別れる淋しさがやって来て、また群れを離れてさすらう日々のしんどさを思うと、仕事はうまくいったのに、なぜか沈んでしまう日が待っている。
次の仕事からは、気持ちなんか入れずに鼻歌まじりで口笛吹いてやるぞ、と思いながら、また次の仕事も、きっとクランクアップがつらくなるような人達との出会いを求めてるんでしょうね。
「お心入れ」
思いが入ってないのにやろうとするから具合が悪いので、本当に思いが入ってるのに、入ってないそぶりするところが格好いいかもわかんないですね。
その他にも、、、
ウサギのお守りはチエミさんからのプレゼントだったのかな、とか、大スターであってもお母様にとっては健さんははいつまでたっても踵のあかぎれを心配させる息子であったんだな。とか。
訥々と緩やかに語られる中に滲む、周囲の人々との熱い温度。
私もじんわりと、ぬるく装いながらも心では熱い愛情で相手を思いやるそんな人間でありたいと思った。
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故高倉健さんの、エッセイがあるとは知りませんでした。
語りかけるような文章で、健さんが話しているような感覚です。
俳優仲間の名前は、数人だけしか語られず、あとは出会った一般人の、魅力ある人たちを回想されている。
エッセイからもユーモアのある俳優さんだったのが、わかります。
健さんの映画は、『海峡』や『八甲田山』『駅』などを観に行きました。(ヤクザ路線は観ない)
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以前から読んでみようと思っていた高倉健さんのエッセイ集。亡くなったのを機に手に取った。
「兆治さんへの花」は、如何にも健さんらしい。
「お姫様の腰かけ」なんて、ほほえましくもある。
「あなたに褒められたくて」は、健さんの心の奥が心がのぞけるようで、こちらの心もホッと温かくなる。
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先日お亡くなりになった高倉建さんが
ロケ地で出会った人々との思い出を書きつづったエッセイです。
長い俳優生活の中で
いろいろな人々との出会いがあり、
そのたびに人とのふれあいや絆を教えられたと綴っている作品が多く、
謙虚な高倉さんの性格がどの話にも溢れ出ていました。
特に私の印象深い2作を上げてみます。
●内蒙古の赤ん坊
1990年夏、高倉さんは仕事で中国の内モンゴル自治区へ行きました。
そこである女性から一枚の赤ん坊の写真を貰います。
当時の中国は一人っ子政策中。
その女性にとっては、自分の子どもの写真が宝物中の宝物でした。
「一番の宝物を見せるから、見たら返してほしい」との
内容の手紙も添えられていました。
自分にとって一番の宝物は何だろうと深く考えた高倉さん。
親子の絆と母の子供を思う気持ちにうたれる作品でした。
●あなたに褒められたくて
映画スターになっても
高倉さんの身体のことを一番にきにかけていた高倉さんのお母さん。
子どものころの思い出に始まり、スターになってからも、
お母さんにとっては
いつまでも世話のやける子供だったのです、あの高倉さんが。
高倉さんはがむしゃらにお仕事しますが、
それもこれも理由はただひとつ、
?お母さんに褒められたくて″の気持ちからと書かれてあり、
本当に不器用な男性の本音なんだなとホロリとしました。
先日お亡くなりになった高倉健さん。
後年の映画作品の頃しか知りませんが、
私の中では、「八甲田山死の彷徨」が一番となっています。
その人柄は映画の中の人物そのものといった感じでしょうか。
無口でもじんわりと温かみが感じられる人柄。
それこそ、高倉健さんが皆に好かれる理由だったと思います。
ご冥福をお祈りします。
Posted by ブクログ
短いエッセーの短篇集で、息抜き的にリラックスして読めるし読みやすい。
無骨で不器用…でもシャイな男児…子供の頃のエピソードが健さんの自分の言葉で書いてあって、微笑ましかった。
「あなたに褒められたくて」は一番最後に綴られている。
他の誰も気付かない、その人だけが気付いてくれる、ある事…。ほっこりしました。
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故・高倉健氏のエッセイ。
仲間とふざけあったりした過去や、大事な人への想いは、どんな人でも変わらないのだろう。
本の中には人間・高倉健が確かにいた。
Posted by ブクログ
20171227 人柄だけで読める本。少し違和感があったのは健さんらしくなくイジメとかしてるように思った時。よく読めば必要な展開だと納得できるが無くても良かったかも。
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健さんが本当に優しい人だったということが感じられる本。「うさぎのお守り」と「あなたに褒められたくて」がとても切なくて、大切なひとへの思いに溢れていた。
Posted by ブクログ
寡黙で不器用なイメージの役柄が多かったように思うのですが、この本を読むと細やかな神経を持った社交家のようでしたね。北条得宗家に極めて近しいご先祖様が居たり、檀一雄が住んでいたポルトガルの住居を訪ねたり、村田兆治の引退セレモニーに感動してさして付き合いもないのに手紙に華を添えて自身で届けたりと、意外な面が多くてびっくり。昭和の大スターの知らなかった魅力を今更ながら認識しました。
Posted by ブクログ
俳優高倉健のエッセイ。
健さんの思い、考えがつづられていて興味深かった。村田兆治氏とのエピソードや題名にもなっている実母への思いをつづったものが印象に残った。
Posted by ブクログ
うさぎのお守り が言葉では言い表せない気持ちになり
ただただ「高倉健」という人に頭が下がる思いでした。何故とか理由もなく涙が出て仕方なかった。
Posted by ブクログ
誰かしらに焦点もしくは宛先にしているエッセー集。
今まで知らなかった高倉健という俳優の人柄に触れることができます。
(メディアでよく言っている印象としてではなく、)文章だけでもものすごく、まっすぐで、筆まめな人だったんだろうなぁと想像ができます。