【感想・ネタバレ】「ふつう」ってなんだろう 病気と健康のあいだのレビュー

あらすじ

「ふつう」に違和感があるすべての人へ――。

病気が教えてくれる、新しい「世界の見方」
自分と世界、身体と心、正常と異常……
目に映る景色をガラリと変える一冊!

【本書で考える問い】
●病気はどう「発明」されるのか?
●新しい病気が生まれるのは、いいこと?
●ゲームのやりすぎやごみ屋敷は病気のせい?
●生きづらさは連鎖する?
●どこまでが医学で、どこからがビジネス?
●命の優先順位はあるのか?……ほか

「私は以前から、「病や障害はマイナスなもの、できるだけ避けるべきもの」という医学での「ふつう」の考え方に、どこか違和感をもっていました。
しかし、もちろん、医学を否定しているわけではありません。頭が痛いときは薬を飲みますし、必要なワクチンもきちんと受けます。先日も、持病が悪化して入院し、治療を受けました。医学がたくさんの命を救っていることも、よく知っています。
医学は、病や障害をなくすことを目指しています。それは悪いことではありません。
でも、人間は生き物ですから、死を完全に避けることはできませんし、同じように、病や障害を完全になくすこともできません。病や障害とともに生きていくことを肯定することも必要です。そのときには、「ふつう」を見直す文系の考え方が、大きなヒントになると思うのです」――「はじめに」より

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Posted by ブクログ

■ため込み症とは違うものの似たところのある精神疾患ではないかと考えられているものに、「ディオゲネス症候群」がある。これは1970年代にアメリカで報告されたもので、高齢者が自ら孤独を望み、自分の身体の衛生にも無頓着になって、不潔な生活を送るという状態のこと。奇妙な収集癖を持ったり、支援されることを拒否したりすると書かれているので、現代のため込み症とよくにている。
■ため込み症はなぜ生じる
 今のところゴミ屋敷やため込み症になる原因は分かっていないが、精神医学の中では、いくつかの仮説が提唱されている。
 「巣作り」説によると、そうした人々は他人にとってはガラクタでも自分にとっては意味のあるものに囲まれていると落ち着くからため込みを行うとされている。動物で言えば自分の安全を守る「巣作り」と同じということ。
 「ハイパー視覚」説によると、そうした人々はモノの細部に注意が行く過敏な視覚能力があり、一つ一つに愛着やこだわりが湧いて捨てられなくなるとされている。こうしたハイパー視覚は発達障害の一つ自閉スペクトラム症の人々の一部にもある。
 「強迫性パーソナリティ」説では、ため込み症になる人々は頑固でケチで品物を捨てようとしない完璧主義者という人格が極端になった結果に過ぎないと説明する。しかし、ため込み症と強迫性パーソナリティには大きな違いもある。一つは、強迫性パーソナリティの人は乱雑にモノを溜め込んで片付けられないわけではないところ。むしろ整理整頓好きなことも多い。もう一つは、強迫性の人々の場合はそうしないと苦痛なのでモノ集めをしていて、ため込み症の人々のように、モノ集めそれ自体に熱中しているわけではない。
 「注意欠陥・多動性障害(ADHD)説」では、落ち着きの無さ(多動)よりも注意散漫になる傾向の強い人々は、持ち物を散らかし、無くし、忘れて、片付けることができず約束に遅れる傾向がある。この片付けられない症状が重度になったらため込み症になっていくというもの。
 「買い物依存症」説では、ため込み症は買い物のし過ぎで必要ないものを入手して家をモノで溢れさせることの結果だと考える。しかし、買い物依存の人々は買うことに執着しているだけで、手に入れたモノを他人にあげて手放しても苦痛ではないとされており、やはり、これもため込み症とは少し違う。
 「セルフネグレクト(自己放任)説」では、自分自身に極度に無関心になる状態が進行していくと、ため込み症につながると考える。セルフネグレクトは統合失調症やうつ病から起きることもある。
■HSP(繊細さん)はなぜ流行る
 「繊細さん」とは、色々な出来事に敏感で、周囲の人々に対して気を使い、ちょっとしたことにも動揺しやすい「繊細」な人。「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」と名付けられ話題になっている。心理学での専門的用語では、「感覚処理感受性(SPS:Sensory Procesing Sensitivity)」と呼ばれる。脳が外部からの刺激に対してとても敏感で、身体的刺激だけではなく、対人関係や感情的なことについても、その意味を深く考えた上で、その情報処理をする特性と定義されている。
 外部からの情報に敏感である結果、些細なことでも気が付き過ぎて、色々頭の中でその背景や可能性までチェックするために行動がフリーズしたり、感情的に酷く動揺したり、対応する前に深く考え込んでしまうというもの。
 心理学では、外から来た刺激を深く処理することが原因となって、刺激を受けやすく、感情的な反応が強く、人に共感しやすく、ちょっとしたことに敏感であるという性質があるからだと説明する。
■性格類型の心理学では、人間の性格を表現する五つの主要因子は「開放性」「誠実性」「外向性」「協調性」「神経症傾向」とする。
■繊細さやHSPの特性は、人を臆病にさせて社会生活から引きこもらせる場合もあれば、何気ない気遣いから信頼や繋がりを生み出す場合もある。
■身体完全性違和(身体障害者になることを望む病気)
 珍しい病気や奇妙な症状は人間の個性と同じように多種多様に存在する。中には「正常」や「健康」という当たり前に信じている価値観を揺さぶるものもある。
 その代表が自分の手や足が余分で不快な異物と感じられて、それを切り落とすことを心から望む、「身体完全性違和(BID:Body Integrity Dysphoria)」という病気。BIDは自身の身体が「完全ではない」と認識され、それを強い苦痛として経験すること、さらに身体障害者になることへの持続的で強烈な欲求として定義されている。
■躁状態の診断基準
①自尊心の肥大や誇大
②睡眠しなくても大丈夫という感じ
③しゃべり続けて止まらない
④次から次や色々な考えが湧いてでてくる
⑤注意散漫で直ぐに気がそれる
⑥社会的活動、仕事、学業、セックスに過剰に熱中したり、焦燥感を感じたりする
⑦トラブルになりやすい買い漁り、投資、セックスなどに後先考えずに熱中する

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2026年05月24日

Posted by ブクログ

医師が医療化について語っている数少ない本。

医師による医療社会学が読める。

ピロリ菌などについても役立つ情報があった。

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2026年01月27日

Posted by ブクログ

病気って呼ぶことで病気が作られ、薬が売れる、というカラクリがあることを覚えておこうと強く思いました。トリアージ、電子タバコ、安楽死などさまざまなテーマについて書かれていて興味深かったです。

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2026年03月15日

Posted by ブクログ

もっと、著者の考えが書いてあるかと思ったけれど、「あんなことがあります。」「こんなこともあります。」という羅列だと感じてあまり面白くなかったです。

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2026年04月24日

Posted by ブクログ


前半は、今ある病がどういう心理や背景から定められたの解説。
ゴミ屋敷、LGBTなどどこからが病気になるのかの問いがある。結合双生児も他者目線では障害としていても本人たちは普通に生活しているという認識の差を問題提起する。

終盤は動物の臓器移植、トラスジェンダーの子宮移植、安楽死、ゲノム編集動物など哲学的な内容があり視野が広がった。誰の何のためにそれらを行うの、その際の副作用は何かなど。特に食糧難解決に栄養価の高い米生産で、所得を増やして栄養価の高い食糧確保するのではなく貧困を隠蔽する的な話は深いと感じた。

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2026年04月21日

Posted by ブクログ

医療から「ふつう」とは何かを考えていく。
なぜそのような「ふつう」が形成されたのかを紐解きながら、考えなければならないことも提示されるため、共に考えながら読んでいけて面白かった。特に、5章が面白かった。

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2026年03月29日

Posted by ブクログ

いわゆる発達障害者の問う「普通」とか、精神疾患からみた「普通」に関する本だとばっかり思っていたけど、違った。楽しめたけど。

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2026年02月22日

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