あらすじ
2007年4月から3ヶ月にわたり「ほぼ日刊イトイ新聞」で連載された「ほぼ日」の就職論。そのきっかけは糸井重里が書いた「面接試験の傾向と対策のつまらなさ」というコラムに就職活動中の学生だけでなく、多くの社会人のみなさんからも、たくさんの熱のこもった意見が届いたことから始まりました。
『はたらきたい。』には人材のプロフェッショナルやキャリア論の研究者だけでなく、組織に就職しなかった人たち、つまり漫画家、お笑い芸人、ミュージシャン、さらには「矢沢永吉」なんて人も登場します。
ふだん、書店の「就職対策本コーナー」では見かけそうにないひとたちも含めて、「今、この人の考えを聞きたい」という人たちにそれぞれの立場から、それぞれの口調で本音のところでの「はたらく論」「仕事論」を語っていたただきました。
書籍化にさいしては、過去10年にさかのぼる「ほぼ日」のアーカイブからこの内容に関わりのありそうな128の言葉を抜き出し、挟み込むように掲載しました。
版を重ね、今も静かにロングセラーを続けている一冊です。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
就活中にこの本と出会っていたら…と思ったが、就活を無事に終えて現在働いている自分にも響く一冊だと感じた。
内容は糸井重里氏(一部ほぼ日社員)と長年人事に携わった方や大学教授、漫画家、個人事業主、ミュージシャンとの対談形式で構成されており、その対談に関連したコラムも収録されていて興味深い。
就活において重要なのは面接ノウハウを頭に叩き込んで臨むのではなく、自分の人生において『何を大切にしているか』を深く考え、それを相手に伝えることであるとどのインタビュイーも直接的・間接的に述べている。大切にしているものというのは時間・家族・お金・熱意等色々とあり、本人にとって大切なものであればどんなものでも良いのだという。
思えば私の就活もやりたいことができる仕事という『大切にしたいこと』を意識していたと感じる。本を読んだことで何年も社会で働き忘れかけていた大切にしたかったことを思い出すことができた。今日からの仕事にどう向き合っていくか立ち止まって考える機会になったと感じる。
【印象に残った言葉】
・「すべての枠を取り払うと、やっぱり、どこかでパターン化してしまう。枠の中での自由のほうが、闇雲な自由よりもずっとかっこいい。ほんとに好き勝手やってるだけでは、つまらないんです。」
・「自分にとって、本当に大事なことってなんだろう。自分にとって、本当に大切な人って誰だろう。このふたつを、本気で思っているだけで、いい人生が送れるような気がする。」
Posted by ブクログ
「憂鬱じゃなければ仕事じゃない」が
あまりに強烈な仕事論だったので、
糸井重里パパインタビューによる
平易なことばの「働くこと考」で中和したくなりました。
やっぱりLOVEです。
仕事を自分の手で、
作っていくという道を選んだわたしには、
この表紙の樹のように、どっしりとした根を張ってくれることでしょう。
途中途中で出てくる、みうらじゅんさんのコーナーが
ひどくバカバカしくて、これぞ息抜き。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・糸井さんがやってきたことのひとつは、「こんなにいいものがあるけど、知ってる?」ということだと思うんですよ/河野晴樹(採用のプロ)
・河野:新卒の面接をやる場合、「君がさ、これまで大切にしてきたことって何?」という、ものすごく概念的な質問で十分なんですよ。「本当に大切にしてきたことは何?あるのないの?」って。「それは、言葉になってるの?」そういうことですね、聞きたいのは。
糸井:面接官がそう思ってるんだって知ったとき、「聞いてもらえた!」といううれしさと、「やばい、聞かれた!」というあせりと、どっちかの反応しか、ないですよね。
・高校生までウソつきだったけど、大学生になってからはとにかく愚直に、目立ちはしなかったけど、ウソをつかずにやってきた。できるだけ、誤魔化さないようにしてきた、これって、答えとして全然OKですよね?
・「市場をつくる」のが、仕事ですから。それ以上、何があります?/糸井重里
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・基本的に、間違ってても言ってくれないですよ、フリーの人には。そんな優しい人、いないですね/天久聖一(漫画家)。
・ディズニーが「絵を描かない」と決めた判断力はすごかった、と僕は思います。なぜならそのことによって、ディズニー自身が、「自分で描いてることの狭さ」から脱出できたのですから。/高畑勲(スタジオジブリ)
・人が「バカだ、バカだ」って言うことをやろうとする人たちがやっぱり不可能を可能にできる。
ぼくも、映画監督になるって言って親戚中に大笑いされましたから。李相日(映画監督)
・さぞ、えらそうに永田(照喜治・永田農法創始者)さんに命令した人はいっぱいいたでしょうし、バカにした人たちもいっぱいいたでしょう。そこで、永田さんは、何をしていたか?植物としゃべっていたんです、いつも。
過酷なところで育ったミカンがなんでうまいのか?「そういうこともあるよな!」ということではすまさないで、ずうっとミカンとしゃべり続けたんだと思います。/山田玲司(漫画家)
・こつこつ、こつこつ、やってるのよ(笑)/糸井重里
・あのね、なくしたものも、ものすごいから。窮屈なのも、ものすごいから。「矢沢」辞めたいと思ったこと何度もあるからね。「矢沢」なんか、ヘドが出ると思ったことあるよ。/矢沢永吉
・10年間、毎日ずうっとやって、もしそれでモノにならなかったら、俺の首、やるよ/吉本隆明(詩人・思想家)
・春になったら、いろんな現場に
新人たちが新しいことをするために向かって行くと思う。
何もできないことを知るために、これからの一年がある、と言っても過言ではない。かっこよく「何もできないやつ」になろうね。/糸井重里
Posted by ブクログ
就職することを独自の視点をもつ人たちに糸井重里が直接話を聞き、さまざまな考えを得ることができた。自分にとって大切なものは何かを考えてみたいと思う。
Posted by ブクログ
しりあがり寿
上の人が「これ、ほんとに大丈夫なの?」って聞いてくることありますよね。そのときって、もう理屈とか裏づけとかじゃなくて、上の人は「任せてください!」って言ってほしがってるわけですよね。
Posted by ブクログ
「働くこと」についての対談集。
冒頭の、「あなたが大切にしていること」が大事というのは確かにそうだなと。自分を振り返ってみても、確かに思いつくんだけど、果たしてそれが就職活動、ひいては会社という組織の中でどう評価されるのかについてはあまり自信がなかったりする。
他者の評価なんて気にする必要はないという意見もあるだろうけど、それが会社と合わなかったら「サヨウナラ」で本当にいいのか、それで結局どこにも就職できなかったらどうするのか……等と考えてみると、就活生としては割り切れないところがあると思う。
「熱い男」と一般に思われているYAZAWAさんが、実は真面目で考え深い人ということも、恥ずかしながら初めて知った。メッセージ性が強いのは、やっぱり自分の頭でよく考えているからこそなんだろうなあ。