【感想・ネタバレ】舞姫のレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年01月01日

やっと読み終わりました。川端康成は本当に人間関係のリアルを描写するのがうまいなと感心いたします。
この「舞姫」はバレリーナである波子とその愛人竹原の逢引シーンから始まりますが、そこで波子がお堀の中でじっとしてる白い鯉を見つめるシーンが危うげでとても象徴的です。そこで竹原は彼女に「およしなさい。あなた...続きを読むはそんなもの、目につくのが、いかん。」と言いますが、この言葉が波子の危うげかつ妖艶さを引き立てているなと感じました。
この「舞姫」は波子とその愛人竹原、娘の品子と息子高男、そして波子の夫である八木を中心に話が展開しますが、決してドロドロした人間模様にはなりません。あくまで人間のリアリズムを川端独特の表現で追求した作品に仕上がっています。
三島由紀夫が巻末の解説にも述べていますが、川端氏の「息切れの早い、ほっと息をつきながら、何度も足をとめるような文体」が波子とそれ以外の登場人物の繊細な心の機微を読者にリアルに伝えます。
この小説は他の川端作品の中でも登場人物がとても多い作品です。中でも私がとても印象的に感じたのは波子の夫八木。妻の心が自分から離れてる事実を実はもっとも客観的に受け止めている人物。そんな彼はとても自虐的で辛辣な言葉を妻はもちろん娘や息子に対してまで放ちます。母と娘のバレエはセンチメンタリズムにすぎない、と言い放つ八木の言葉に人間の悲しさが表現されていると思いました。
「魔界には、感傷がないのなら、僕は魔界をえらぶね」は作品の終盤での八木の言葉。これほどまでに人間の悲哀を表現した言葉があるでしょうか。
それでも人間は感傷的にならざるをえない。それが川端が書き残した人間のリアリズムとはどんなものかという問に対する答えなのではないでしょうか。
川端作品は古典とは思えないほどその表現が色褪せることがなく、現代のトレンディドラマを見ているかのような錯覚に陥りました。とにかくすごい作家だと思います。そして何がすごいのかってせつないストーリーなのに読後感がとても爽やかなんです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2011年03月27日

ゆっくりと物語が進んでいく。
夫の狂気に包まれて少しづつ身動きが取れなくなってしまう様子が真綿で首を絞められてるようだった。
川端康成が描く女性は、気高いけれども弱い存在で、今の時代からじゃとても考えられない。

結局は最初と最後で外からみた状況は何も変わっていない。けれども、登場人物一人ひとりの信...続きを読む念や考えを、本当にその人がいるかのように描写して、一般的には曲がっているかもしれない考え方を、一本の筋としてまとめ上げるところは、時代を超えても受け入れられる文章力なんだろうな。繊細すぎて大好きです。

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Posted by ブクログ 2023年02月17日

戦後日本の家庭の物語。登場人物それぞれが無力感を抱え、悩みながら生きている。最終的に各人の苦しみが解消される場面は描かれず、この先どうなったのか気になる終わり方。戦後日本の価値観、男女の葛藤、経済的転落が描かれる。

波子さんは綺麗な人なんだろうな。矢木は嫌な感じのする男だが、その背景には結婚生活で...続きを読むの彼なりの葛藤があったのだろう。

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Posted by ブクログ 2023年02月13日

1950~51年にかけて「朝日新聞」に全109回で連載。
終戦5年後におけるインテリ、比較的上流に近い家庭の、父ー母(ー過去の恋人)ー娘ー息子の関係が描かれる。
父母世代は40歳前後、子世代は20歳前後。
てことは親世代は性的にまだお盛ん、子世代はむしろ性的には開花直前の趣き。
川端康成は当時50歳...続きを読むくらいなので、干支ひとまわり下世代を想定しているのだろうが、例の如く自分を反映させなければ書けなかったバタやんだから、矢木は半分は作者自身だろう。
作品全体は新聞に連載されただけあって昼ドラ的な通俗小説。
新時代のご婦人の内面ってこうですよー、とか、上流階級の「お不倫」ってこうですよー、とか、子世代のちょっとしたモヤモヤってこんなんですよー、とか。

深いか浅いかと二分するならば、決して深いわけではない。
と思うが、個人的には思うところがいくつかあった。

まずは川端が30代から40代にかけて書き継いだ「雪国」にて、視点人物島村はダンスの評論家だったというのが、本作に繋がっている。
というか川端は徹頭徹尾オンナを視覚的に愛でるのが好きで、舞踏やダンスは興味の先に自然に存在したのだろう。
(視覚芸術への耽溺は澁澤龍彦を連想させる。)
(エドガー・ドガのバレリーナの絵「踊りの花形」で、奥のほうにタキシードの男の顔を除く身体が描き込まれているのも、連想。)

次に、波子と夫の、内面の書き込み具合。
川端は非マッチョな、むしろ当時としてはキモオタな視点で執筆していたと思うが、そんな中にある家父長的な視点はどうしても、ある。
が、本作ではむしろ家父長たる矢木の内面を、ほとんど記述しない。
謎のままにしているのである。
この矢木、経済的にも妻に依存せざるを得ず、家庭生活においても大国柱とはなれず、じゃあどうするかといえば、浮気しているかもしれない妻に対して、息子娘の面前で皮肉を言うしかないのだ。
この造詣の情けなさ……他人事じゃないと感じてしまった。
川端自身は文豪だし社交も如才ないが、底の底にはひねこびた、分断内でもマッチョを発揮している周囲の面々に対する屈折した思いがあったろう。自身で孤児根性と採り上げるくらいだし。
以下twitterよりコピペ。

新年の二日には川端家では賀客を迎へるならはしである。皆の談論風発のありさまを、一人だけ離れて、火鉢に手をかざしながら黙つて見てをられる川端さんに向つて、故久米正雄氏が急に大声で「川端君は孤独だね。君は全く孤独だね」と絶叫するように云はれたのをおぼえてゐる。-1956年4月「永遠の旅人」

このへんに川端康成の魅力があると思われる。キモオタなのだ。
私自身も妻に対して真正面から対立できず、皮肉を放って唇の端を歪めることでしかコミュニケーションできていないので、全然他人事じゃない。
また、矢木は、今は戦争と戦争の間に過ぎないよ、と言う。
ポストモダン世代にとっては、予期につけ悪しきにつけ長い戦後を暮らしているが、1899年生まれは思春期に第一次世界大戦を見聞きし、中年期に第二次世界大戦を体験した。
そりゃ自身ではどうにもならない戦争が、いつ降りかかってもおかしくない「間近の災厄」と思われて仕方ないのだろうな、と想像できる。
中井英夫三島由紀夫澁澤龍彦は思春期に第二次世界大戦を浴びた世代だが、その上には太宰治が、川端が、さらにいえば夏目漱石や森鷗外やがいたのだ、と、思いを馳せるきっかけにも、なった。
世代論はいくらでも思いつくし、芯を食っていなくてもそこそこ形が整えられるので便利なものだが、たった10年しか年の差のない太宰治の「斜陽」の直治を、どうしても対にして考えてみたくなる。
(例の太宰の手紙辺りなら、「上がらんとする先輩」と「上がり切れぬ後輩」という構図かしらん。)

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Posted by ブクログ 2020年11月08日

まず舞姫というタイトルが良い。物語は、舞台の夢を諦めた波子とその娘の品子を中心に描かれているが、時に冷たく、時に切なく、様々な苦悩が入り混じった読み応えのある作品だと思う。

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Posted by ブクログ 2019年10月12日

後期作品でたびたび描かれる「魔界」をはじめてモティーフにした川端作品。そのタイトルが示すとおり、過去にプリマ・ドンナだった波子と、その夢を託された品子の母娘を中心に物語が進行するが、登場人物のなかで印象的な存在は、なんといっても波子の夫にして品子の父である矢木元男。いまの言葉でいう「モラハラ」を地で...続きを読む行く性格で、重松清『疾走』のように、DVなどによってわかりやすく家庭が崩壊する様子は描かれていないが、静かに家族がバラバラになってしまう。あるいは「サイコパス」とまでいってしまって良いかもしれない。とにかく矢木が憎らしく、不倫を肯定するわけではないけれども、竹原と密会を繰り返す波子よりも、どうしてどうして矢木のほうがよほど鼻についてしまう。そのような人物像を的確に描いているあたりは、ノーベル文学賞作家の面目躍如といったところ。ただ、本作の結末はあまりスッキリしない。2人が離婚するかといえばそこまでは行っていないし、なんだか途中でブツ切りになったような感じがある。それでも消化不良、未完結といった印象を与えないあたりもさすがで、そのことも含めて著者も読者も含めて「魔界」の一員であるのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2019年09月12日

戦後の日本では貴族(華族)制度が撤廃されたため
かつての貴族たちは、世襲財産保護の特権を失うことになった
中でも、芸術などに夢を見て
まともな生活能力を身につけなかった者たちは
贅沢に慣れた身ゆえ、浪費をあらためることもできず
とりあえずは家財道具を売り払って食っていくしかなかった
こういう没落貴族...続きを読むを題材にした小説には
太宰治の「斜陽」や、三島由紀夫の初期作品のほかに
この、川端康成の「舞姫」などがあげられるだろう

芸術評論家の矢木元夫と、舞踏家の矢木波子は夫婦である
しかし戦争が終わってからというもの、その関係は冷え込む一方だった
上流家庭に生まれ、贅沢が当たり前になってる妻と
もともと書生あがりの入り婿で、ケチな性格をしてる夫では
まあ合わないのも当然なんだけど
それであんがい、日本が戦争に負けるまで
黙ってさえいれば家庭内のバランスは上手くとれていた
戦後、家計が苦しくなるにつれ
互いに抱えた夫婦の不満も、徐々に噴出してくるのだが
そこでまず明らかになったのは、家族観の違いである
たとえバラバラになっても、家族は家族だという夫に対して
妻は嫌悪感をつのらせることしかできなかった
そこに露呈されたのは
自由平等を建前とする社会に隠蔽されてなお存在する階級意識であり
また、異なる階級の考え方をけして認めない人間というものの
ひとつの原理であった
そういう現実にひざまづき、受け入れることを仏の道と呼ぶならば
それに逆らうことはたしかに魔道と呼べるわけだ

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Posted by ブクログ 2018年11月24日

少しずつ少しずつ変わってゆく、歪みが明らかになる、広がっていく家族模様を静かに描いている。
最後の、三島由紀夫の「解説」まで、じっくり丁寧に噛み締めて読めた一冊。

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Posted by ブクログ 2017年05月18日

「結婚はみんな、一つ一つ非凡のようですわ。……平凡な人が二人寄っても、結婚は非凡なものになりますのよ。」

 戦後という価値観がひっくり返ったような世の中でも、離婚というのは簡単に許されない。愛情よりも嫌悪で結びつく家族は不気味でもあるけれど、いやにリアルだった。

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Posted by ブクログ 2016年07月19日

本作品のテーマを敢えて見い出せば、家族という緊結する者同士の無気力化や無関心化であり、在る面でこの後の高度経済成長期に迎える核家族化による関係性の変質を予見している。作中でも語られるように、バレエが西洋的な外の動きであるのに対し、日本舞踊が包み込むような内に向けた動作であり、日本女性へのバレエの流行...続きを読むは戦前戦後の女性像の変容ともいえよう。プリマドンナを「舞姫」と題した意図に川端康成氏の感性を感じさせる。

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Posted by ブクログ 2015年01月02日

波子は言う。
「結婚はみんな、一つ一つ非凡のようですわ。・・・・平凡な人が二人寄っても、結婚は非凡なものになりますのよ」

気怠く鬱々とした物語だった。
戦争が終わった平和な世界で、一つの家庭がキシキシと音を立てながら崩れてゆく。

波子も、娘の品子も、想う人がありながら踏み出せずにいる。無心...続きを読むに舞うことができない。
矢木は不気味だ。妻のことも娘のことも見下している。プライドだけが無駄に高い生活力のない男。
家族に毛嫌いされている沼田は、それほど嫌な人物だとは思えなかった。

「雪国」や「古都」よりも、現実的で生々しい。
生々しく、それでいて淡々としていて、心の奥底に沈殿していく。
余韻が長引きそうだ。

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Posted by ブクログ 2014年02月14日

川端作品らしく艶っぽくもあり、むなしさもありという作品で、戦後の社会を実感できると思う。文章は会話が多くて読みやすく、「俳優なら誰かな?」と想定しても楽しめる。三島由紀夫が解説を書いているところもなかなか面白かった。

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Posted by ブクログ 2011年10月04日

「舞姫」は、プリマドンナを目指す品子、もとバレエをやっていた波子を題材にした家庭の不協和音を川端節で描いた物語。
物語の最初から不倫など、家庭の歪みで始まり、波子の夫である矢木の甲斐性なさを物語ながら、じりじりと深みに陥っていく。そんな作品。
文章の壮麗は、さすがとしか言えません。
無力、虚脱、諦念...続きを読むなどを、女目線で描きながら、それを否定し美を求める。

解説では、みずうみとおなじく三島由紀夫ですので、二度楽しめるような作品です。

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Posted by ブクログ 2011年04月26日

雪国より、伊豆の踊子より、好き。

登場する女性に、しずしずと文章が寄り添っている感じ。

「抒情歌」に通じる幻想的なところがあって、
ひやりとする冷たさもあって、
ひりひりと引き込まれた。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

夫、矢木の無力さに抗えず、かといって恋人の竹原のもとに行くこともしない波子。
この波子の持つ、2人への微妙な距離感は、川端の描く人物に共通してあるもののように思う。
家族であっても伝えきれない、それぞれの持つ孤独が、美しい描写の中でグッと迫ってきます。

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Posted by ブクログ 2023年04月20日

矢木の気持ち悪さがよかった。
矢木状況不利かのように描かれていると思いきや、矢木の内的苦労もわからなくもない。波子の危うさ・弱さがそれを一層引き立てる。

よくわからないけど面白かった

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Posted by ブクログ 2022年08月11日

まず最初に感じたのは、主人公である波子が自分の夫を「矢木」と苗字で呼ぶのに違和感があった。
読み進めて行くうちに登場人物の熱量は感じるものの、どこか用意された展開のような不思議な感覚がつきまとう。
直前に読んだのが「金色夜叉」だったからとみにそう感じたのかもしれない。

他の感想にも書いてあるけれど...続きを読む、是非最後の解説まで読んで頂きたいと思う。

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Posted by ブクログ 2021年02月16日

何をどう間違えたか雪国と誤って読みました。バレエのお話かと思いきや、崩壊していく家族のお話。
一人一人にほの暗い所があるなか、矢木の陰湿さは異常でした。解説をみるまで、本編に1度も香山が出てこないことに気づかなかったし、松坂の美しさの描写も少ないにも関わず余すことなく伝わってきた。登場人物像を描くの...続きを読むがとても上手だなと思いました。波子や品子の過去にはあまり言及されていないが、それでいて奥行きのある作品でありました。
戦時中の方が家族の絆が固く、敗戦してからはそれは脆くなってしまったというのは、倫理で勉強した自由からの逃走が思い返されました。

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Posted by ブクログ 2019年07月06日

昭和二十五~二十六年、朝日新聞に連載された小説である由。
実は『雪国』さえ読んだことがないのに、なぜか代表作とは言い難い本作を読んでしまった。

資産家の娘で、バレエ教師でもある波子と、今バレリーナとして売り出し中の娘、品子。
親から譲り受けた家を売って、バレエスタジオを作ろうかと思案する。
これが...続きを読む妙になまめかしい中年女性。
結婚前から恋仲だった竹原と相談するが、肝心の夫とはなかなか相談できないでいる。
夫で大学教員の矢木は、もとは妻の家庭教師だったが、どこか彼女へのコンプレックスを抱き続けていて、波子の財産で養ってもらっていながら、自分は給料を家族に秘密の通帳にため込んでいる。
息子高男は、父を崇拝していたが、父のへそくりの一件を知って、父から離反していく。

こころがバラバラになっていく家族の話。
戦争中は大変だったけれど、家族が一つに寄り集まっていたのに…という嘆きに、少しハッとする。
家族離散の物語は、今に至るまでいやと言うほど生み出されてきた。
そのはしりの頃の作品、なのか?

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Posted by ブクログ 2019年05月03日

美しく深い日本語の物語を読みたくなって、この本を手にとった。始めは内容に入りづらい感があったけど、波子と竹原、波子の家族、友子たちが、薄氷の上を歩いるように危ういかと思えば、氷が割れることに目もくれず大胆な行動に出たり、とても目を離せなくなった。

上流階級の方々の言葉使いや振る舞い、繊細な物の考え...続きを読む方、虚弱な感じ、などなど、新鮮でした。

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Posted by ブクログ 2013年09月10日

「舞姫」とはいえ、波子の浮気がメインテーマのような川端康成らしい作品。同名の作品が別の多くの作家にみられるのは、何か伝統であろうか。

作品全体に、戦後まもない状態の日本が横たわっている。戦争に影響を受けた人々の悲劇でもある。妻の波子に頼って生きてきたらしい夫の矢木(本当にそうなのだろうか?)は、戦...続きを読む前と戦後の暮らしぶりの変化でより一層魔界の住人のようになって波子の魂を喰らう。それは波子や品子の描写の影で間接的に示されるか示されないか程度で忘れるぐらいだろう。波子は浮気相手であり真の愛情を抱く竹原になびくわけだが、それへの矢木の嫉妬も静かに醸成されていて、最後には一家四人である種の修羅場を迎える。その夜に、20数年の夫婦生活ではじめて波子は夫を拒むのだが、矢木はよくもまああそこまで言っておきながら誘えたものである。

川端康成でなければ、普通のドラマなら、波子と引退して廃人のようになった香山とが再び舞台で共演するようなエンディングまで描くだろう。そこには、香山(※男らしい)への品子の淡い憧れがかげって微妙な味わいになるかもしれない。また、そこまで想像してはじめてこの「舞姫」というタイトルの妥当性も感じられるのかもしれない。そうでなければ、ただたまたまバレーをやっている母子のいる浮気のドロドロした物語のようにしかならなそうだ。「舞姫」が完結するのは、かかれなかった結末まで射程に含まなければならない。しかし、川端康成がそこまで書いたとしても、香山と波子が舞台で共演するようにはならないだろう。野津と品子の線を追うかもしれない。あるいは、妻子がいる男のためにストリップ劇場でお金を稼ぐ友子の線を追うのか。

バレー、踊りがメインテーマではないので、それを期待すると、あまりに川端康成的なドロドロした人間関係が描かれているという作品。別にバレーではなくても良かったかもしれない。

ところで、始まりから竹原と波子の会話から始まる。何の説明もないままなので二人がなんのことを言っているのかわからない。何となく想像できるところとできないところがあるが、その隙間は読み進むうちにだんだん埋まっていく。このような会話表現にしてもそれ以外にしても、簡潔でくどくどしていない。重々しいことを描いているのに、質量が感じられない。幽霊なのかもしれないという印象は全作品を貫くらしい。

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Posted by ブクログ 2012年10月31日

前半は退屈に感じたが、波子の中で「恐怖の発作が愛情の発作であると云々」あたりからなにやら我が家と重なる部分があって一気に読んでしまった

八木にしろ高男にしろ、裏表紙のあらすじから想像するものとは異なっていた。特に八木の「夫婦共倒れ理論」は納得した。
八木と高男視点で話を追いかけるとまた違う印象を受...続きを読むけるのだろう

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

2006. 11. 22.
戦後高度経済成長期によくあったような冷たい家庭の話。
こういう話は夢がないわー。品子も波子もきっと自分で切り開く力はない女性。矢木も小さい男。そんな中で高男は独りけっこうカッコイイ。

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