【感想・ネタバレ】英雄王太子が「孕ませて結婚する」と、田舎令嬢の私に甘く囁いてくるのですが!?のレビュー

あらすじ

あなたじゃないとだめなんだ

突然王太子に運命の恋人扱いされて!?

没落令嬢のリアーヌは、舞踏会で王太子クリストフに出会った途端、熱烈に求婚される。しかも「両親の許可を得るためにすぐに子どもを作らないといけない」と言われ!? 子爵家再興のチャンスだと兄に唆されるまま、クリストフに抱かれてしまう。情熱的に愛を囁かれ温かな腕に包み込まれて彼に惹かれるも、クリストフは初夜以降、彼女に触れてこず!?

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Posted by ブクログ

ネタバレ

没落した子爵家の令嬢・リアーヌは、舞踏会で出会った王太子クリストフから突然、熱烈な求婚を受けます。

初対面のはずなのに、まるでずっと探し続けていた相手をようやく見つけたかのように強く求めてくるクリストフ。家の再興にもつながると兄に背中を押され、戸惑いながらも彼との結婚を受け入れたリアーヌでしたが、甘く情熱的に想いを向けられた直後から、なぜかクリストフは距離を置くようになります。

その理由には、二人の前世が深く関わっていました。

クリストフは前世で愛した女性のことを覚えており、今世でもずっと彼女を探していた。一方のリアーヌには前世の記憶がなく、物語の終盤まで自分が誰だったのか分かりません。

前世から続く恋という設定自体はとてもロマンチックですし、「今度こそ結ばれたい」というクリストフの強い想いにも切なさがありました。

ただ、個人的には前世ものを読む時にどうしても気になってしまう部分があって、それが「ヒーローが愛しているのは今のヒロインなのか、それとも前世の彼女なのか」というところ。

今回もそこが最後まで少し引っかかりました。

リアーヌは、クリストフから自分の知らない女性の存在を感じさせられても、すぐに怒ったり責めたりするのではなく、彼の事情を理解しようとします。

とても寛容で、真面目で、相手を思いやれるヒロインだと思いました。

だからこそ、もう少しクリストフのほうからリアーヌに対して誠実に事情を説明してほしかったです。

特に気になったのが、前世の想い人を名乗る女性が現れてからの展開。

クリストフ自身は彼女を疑い、事情を探るためにあえて接触していた部分もあるのですが、そのことをリアーヌに説明しないまま行動してしまいます。

しかもリアーヌから見れば、夫となる男性が、自分の知らないところで「前世で愛していた女性」と何度も会っているように見える状況。

事情を知っている読者側からするとクリストフなりの考えがあることは分かるのですが、それでも「まずリアーヌに話そうよ……!」と思わずにはいられませんでした。

実際、リアーヌが傷つくような場面にもつながってしまうので、余計にもどかしかったです。

リアーヌがとても寛大な性格だからこそ、クリストフもどこかで「きっと分かってくれる」と甘えてしまった部分があったのかなとも感じました。

でも、相手を大切に思っているなら、大切だからこそ最初に説明してほしい。

そう思ってしまったので、クリストフの独りよがりなところには最後まで少しモヤモヤが残りました。

リアーヌが城を離れてしまった後も、もっとクリストフが自分の行動を振り返り、「自分のせいで彼女を傷つけた」と強く後悔する場面が見たかったです。

リアーヌを失うかもしれない恐怖や、自分の不誠実さに気づいて絶望するくらいの描写があれば、個人的にはかなり印象が変わったと思います。

その後の展開では、前世で二人の仲を引き裂いた存在にも大きな役割が与えられています。

今世ではクリストフを大切に育ててくれた人物として生まれ変わり、最後にはリアーヌを守る側に回るという流れには、前世から続いていた因縁がようやく解けていくような温かさがありました。

その人物にも救いが用意されていたこと自体は良かったです。

ただ、クライマックスでかなり重要な役割を担うため、個人的には少しそちらに物語の盛り上がりを持っていかれたようにも感じました。

リアーヌとクリストフの物語として読むなら、ここではリアーヌの傷ついた気持ちと、クリストフの後悔や謝罪をもっとじっくり見たかったです。

二人が元の関係へ戻るまでの過程も、もう少し丁寧に描かれていたら、より納得して読み終えられたのかなと思います。

一方で、クリストフのリアーヌへの執着そのものはかなり強く、前世からずっと彼女だけを探し続けていた一途さは魅力的でした。

最初から迷いなくリアーヌを求める勢いもすごく、「ようやく見つけた」という彼の喜びはよく伝わってきます。

また、前世の記憶を持つクリストフと、何も知らないリアーヌという立場の違いから生まれるすれ違いも、この作品ならではの面白さでした。

リアーヌ自身も、置かれた状況に戸惑いながら、少しずつクリストフに惹かれていく健気で可愛らしいヒロイン。

相手を信じようとする優しさや、大きな心で受け止めようとする姿には好感が持てました。

前世から続く強い想い、すれ違い、因縁の相手との再会など、物語として印象に残る要素がたくさんある作品でした。

その一方で、私はリアーヌへの感情移入が強かったぶん、「もっと彼女の傷ついた気持ちを大切にしてほしかった」「クリストフにはもう少しきちんと反省してほしかった」という思いも残りました。

前世からの運命の恋というロマンチックさを楽しみながら、今世の二人が本当の意味で向き合うところをもう少し見たかったな、というのが読後の率直な感想です。



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2026年09月14日

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