あらすじ
バカになっていく実感、衰えゆく体力ーー
あらがい、もがき、盤上に向き合う
朝日新聞将棋記者・村瀬信也が書いた、
50代プロ棋士・木村一基の軌跡
頭脳・体力の自己認識から若手棋士への気持ち、
AIに対する感触、将棋への思いまで、赤裸々に描くーー。
「退化している部分があるかもしれないが、全体の進歩の速さに追いつく伸びがないのかもしれない」
「『精一杯やっている』と思う自分と『もっと時間をつくって将棋に取り組めるはずだ』と思う自分と」
「記憶力とか読む量の衰えとか、自分がバカになっていくのを実感するのがたまらなく嫌ですね」
「経験が生きることを強引に見つけるとしたら、苦しくなったときに辛抱できるようになったことぐらいじゃないでしょうか」
「カーテンを閉めていいなんて、言わなきゃよかった。藤井(聡太)さんが焼け焦げてひからびるのをじっと待っていればよかった」
「(永瀬九段を)以前は強烈な人だな、と思っていたけど、今は憧れに近い気持ちを感じています」
「やっぱり、やっていて面白いです。研究が活きて勝った時は研究したかいがあったと思いますし、夜戦は自分の子どものような年代の人とケンカするようなところがあって、とても興奮します。この生活を少しでも長く続けたいです」
若き天才たちが躍動する将棋の世界で、
衰えゆく頭脳と体力 、進むAI、時流の変化 、
そして生まれる不安とあせり ――。
彼の抱える苦悩は、多くの働く中高年が
直面しているそれと重なるのではないかーー。
先の見えない時代の中で、下りゆく自分と向き合い、
もがきながら、あらがいながら、
「それでも、やるしかない」 と歯を食いしばる、
そんな人たちのための一冊です。
将棋好きな人も、そうではない人も、
本書を読めば、明日からもう一度戦うための勇気が湧いてくる!
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Posted by ブクログ
私は将棋は殆ど分からないが、50代で、知的集約的な仕事(海外経営アドバイス)をしており、さらにその分野がAIの発展において大きく変化しようとしているという共通点を感じて購読。
経営アドバイスの仕事に比べて勝利要因が将棋はさらに知力の運用が結果の大半を占めるのでAIの影響は甚大ですでにAIにプロ棋士が勝つことは相当に困難であることを知ったのは驚きだった。そして私とほぼ同年齢の木村棋士が率直に年齢による考える力の衰え、知的持久力の衰えを認めていることには、これほどの方でもそうなのかとしたくなかった方の確信を抱かざるを得なかったが、それでも、その中で自分の役割や成長できる方法を探し続けている木村棋士の姿に「よし、俺もがんばるぞ」と勇気をもらったのは間違いない。