【感想・ネタバレ】狼は呪われ少女の涙を拭うのレビュー

あらすじ

帝都に屋敷を構える華族・帯刀家の邸宅に暮らす少女・宇潮は、頭に小さな角と異能の力を持つが故に、「呪われ者」として家族からも虐げられ隠れるように暮らす毎日を送ってきた。そんなある日、町で暴走する自動車を、小さな両手で「受け止めた」宇潮は、その様子を見ていた軍人の天狼院要にその力を見初められる。要は宇潮を妻として貰い受け、宇潮の力を発揮するために軍に所属させることになるのだが、「呪われ者」を憎む勢力は、それを苦々しく感じていて・・・。妻として、部下として共に暮らすことで、冷徹な要の不器用な優しさに触れていく宇潮は、徐々に彼に惹かれていき、生まれて初めて穏やかな幸せを感じ始める。しかし、そんな日々も永くは続かず・・・・・・。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

幸薄系女子の宇潮が冷徹な軍人である要に見初められ、軍隊で働くことになる激動の数日間を描いた物語。
設定自体はよくある流行ものの幸薄系少女のシンデレラストーリーだが、物語の起承転結と伏線がしっかりしており読者を飽きさせない。

※※※以下、ネタバレありの感想※※※

主人公の宇潮の異能がフィジカル寄りなのが目新しく思えて、序盤の導入から面白かった。
「異能持ち幸薄系女子」という流行の属性持ち主人公だが、軟禁同然の暮らしを強いられてきたにも関わらずなんと身体能力がそのへんの軍人並みであるという「脳筋」寄りのスペックが面白い。
(かつ、表紙イラストにもあるように作中では軍服を着せられるので「軍服女子」の要素もある)

要から向けられる優しさを意識しつつも虐げられてきた辛い過去のせいで素直に厚意を受け取れない宇潮がその卑屈さ故に水緒子と仲違いしてしまい、自分の中にある嫉妬心や劣等感といった醜い感情と向き合うまでの流れが生々しくて良かった。

見所はなんといっても怒濤の伏線回収が行われ二人が過去を乗り越える決意を固める最終章。宇潮と要が互いに相手の存在をきっかけに心の傷と正面から向き合い乗り越えるという双方に救いがある結末になっている。

宇潮は精神的に追い詰められて絶望的な状況からその身に秘めた力を暴走させてしまうが、要の言葉で自分を散々虐げてきた世界の中に希望を見出し、力を制御する。
一方の要も宇潮と過ごす時間の中で自身が抱えていた心の傷が癒えつつあることを自覚し、宇潮に告白することで宇潮を元の姿に戻すことに成功する。

物語では(立場上)要に守られている宇潮だが、要や使用人など自分以外の人を侮辱された際は物怖じせず啖呵を切ったり、敵しかいない空間で水緒子を背中に庇ったり、ラストでは虐げられてきた過去と決別し人を恨むのではなく自分に与えられた役割を全うしようとする精神的な強さを見せてくれる芯の通ったヒロインへと成長を遂げる。※個人的にお気に入りポイントでもある。

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2026年07月18日

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