あらすじ
「北の富士らしく笑って死ね」――直筆の手帖にはこう書かれていた。
2024年11月12日、82歳での別れから1年。「第52代横綱」として、「千代の富士と北勝海、ふたりの名横綱を育てた九重親方」として、「NHK大相撲中継の名解説者」として、昭和・平成・令和と3代にわたり、土俵と人を愛し続けた北の富士勝昭。
大相撲中継で約25年間タッグを組んだ、元NHKアナウンサーである著者が書き残していた取材メモや資料、放送でのやりとりやインタビューなどを中心に、肉親である妹、50年来の親友、行きつけの居酒屋の店主と女将など、素顔の故人を知る人物たちにも新規取材。「昭和の粋人」、北の富士勝昭の魅力あふれる生涯と言葉を、書き残すノンフィクション。
解説者同士としてのやりとりも人気だった、舞の海秀平との特別対談も収録。
【目次】
はじめに
第1章 出会い/第2章 少年時代/第3章 出世/第4章 独立と初優勝/第5章 北玉時代/第6章 引退/第7章 九重親方/第8章 語りの天才/第9章 別れのとき
特別対談 舞の海秀平×藤井康生「北の富士さんのいない放送席で」
おわりに
【著者プロフィール】
ふじい・やすお/昭和32年1月7日生まれ、岡山県倉敷市出身。岡山朝日高校、中央大学法学部を経て、昭和54年4月、日本放送協会(NHK)入局。43年間のアナウンサー職を経て、令和4年1月、NHKを退局。大相撲は昭和 59年七月場所から約 38年間担当した。現在はフリーアナウンサーとして「ABEMA大相撲 LIVE」で実況を担当。公益財団法人日本相撲協会記者クラブ会友、JRA日本中央競馬会記者クラブ会友など多方面で活躍。
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Posted by ブクログ
大関貴ノ花の大ファンだった私にとって、北の富士は敵役。
なんといってもあの「かばい手」の相撲の印象がある。
昭和47年1月場所中日八日目千秋楽の一番。
はて、私はこの相撲、ライブで観ていたのだろうか?
当時まだ小学生、、、生の記憶なのか、その後何度も放送されるビデオ映像を、
あたかもその場で観ていたように記憶しているのか、、
いずれにしても北の富士は敵役だった。
そんな北の富士の言動を、NHK相撲アナウンサーだった著者、藤井康生さんが、
捕り続けていたメモをもとに、北の富士の自伝に仕立て上げたのがこの本。
北海道から上京、なかなか目が出なかったが、親方が代わったころから勝ちだし、
横関へ、そして横綱へ昇りつめる。
玉の海との出会い、別れ、そして貴ノ花との死闘。輪島、北の湖、、、
私が相撲を本格的に観出したころだ。
玉の海が急死しなければ、北の富士はもっと優勝しただろうし、
彼を尊敬していた貴ノ花も横綱になれたかもしれない。
たらればは勝負事には禁物だが、あまりに惜しい逸材だった。
その後九重親方として千代の富士、北勝海と二人の横綱を育て、
親方を辞めた後は解説者として人気者となった北の富士。
東京中日スポーツのコラムも粋だったな。
あ、この本のタイトルか。
そういえば、北海道生まれなのに「江戸っ子横綱」といわれてたっけ。
ニックネームといえば、玉の海(当時大関玉乃島)との会話で、
最近「貫禄大関」と呼ばれるようになったと喜んでいる玉乃島に、
それは9勝6敗しかできない「クンロク大関」と言ってるんだよ、と返したくだり。
玉の海はそんな天然だったのか、と唖然とした。初めて知った。
そのあと玉の海は発奮したのか、強い横綱になったのだけど。
かたや北の富士は「イレブン横綱」当時は辛らつだった。
今の横綱大関にはそんなニックネームすらない。
金星はやたら配給するし、すぐ陥落するし。
最後の方に書いてあったが、身体ばかりデカくなって、相撲が面白くない。
あっさり土俵を割るか、倒れるか。相撲中継はほとんど見なくなってしまった。
細身同士の豊昇龍 若隆景戦でいい相撲があった。そんな取り組みがみられれば幸せ。
変えていかなくては。
そういうことが言える人だった。北の富士。惜しい人を亡くした
はじめに
第1章 出会い/第2章 少年時代/第3章 出世/第4章 独立と初優勝/第5章 北玉時代/第6章 引退/第7章 九重親方/第8章 語りの天才/第9章 別れのとき
特別対談 舞の海秀平×藤井康生「北の富士さんのいない放送席で」
おわりに
Posted by ブクログ
昨年逝去された北の富士勝昭さんの半生を、本人や本人と縁の深い方々の言葉で綴った回顧録。著者の元NHKアナウンサーの藤井康生さんは大相撲中継で何度も北の富士さんとタッグを組んでおり、2人の並びは大相撲中継のお馴染みの光景だった。
北の富士さんが亡くなった時は本当にショックで、あの茶目っ気を含んだ軽妙洒脱で、時折辛辣に力士に檄を飛ばす魅力的な解説がもう聞けないのは悲しいが、藤井さんの綿密な取材と丁寧な書き口で北の富士さんの人物像がくっきり描かれていて、まるで北の富士さんの声が聞こえてくるようだった。横綱としても親方としても功績を上げた方でありながら、全く偉ぶらず周囲への気配りを欠かさない粋な人となりがよく分かる一冊。北の富士さんの解説をこれまで存分に楽しめてよかったと心から思う。
Posted by ブクログ
元横綱の北の富士さんのことを、長年一緒にNHKでご一緒した藤井元アナウンサーの視点で描いたノンフィクション。
語り口が北の富士さんそのもので、まるでその口調が頭の中で流れてくるような内容で良かった。
北海道から上京して、14歳で出羽海部屋に入門してから、大関、横綱、親方、引退、NHK解説者になったその人生の遍歴を味わうことができる。
豪放磊落な性格で、相撲と、遊び方も一流で、まさに「粋」という生き方をされた親方だったなあとしみじみ感じることができた。
九州場所を見にいった時に、動いている北の富士さんを見たことがあるけど、ダンディにシルバーのスーツを着こなして折られて、遠目に見てもカッコよかった。
NHKの解説も好き勝手言っているようで、見ているところはきちんと見ているところがすごかった。北の富士コラムも楽しみで読んでいたけど、なかなか既知に富んだ内容でとてもよかった。間違いなく相撲ファン皆から好かれていた存在だったと思う。
体重が重すぎる力士が増え過ぎて、ろくに動けない人が増えたことを嘆いて、体重制限の必要性を訴えたり、枡席の狭さから高齢者や海外の方向けに椅子席にすべきであると訴えたり。本当に相撲界のことを考えてあった親方だった。
最後まで粋でダンディな北の富士親方。ご冥福をお祈りいたします。