あらすじ
大学生の春木初は、失踪した恋人・有森夏希の訃報を知る。突然のことに整理がつかないまま、初は東京を飛び出し彼女の遺影と対面。しかし、そこに写っていたのは恋人とは全くの別人だった――。
自分は彼女のことを何も知らなかった……。打ちひしがれる初に、夏希の親友を名乗る忽那冬佳は冷酷に告げる。
「あなたの恋人は今も生きています。本物の夏希から全てを奪って」
彼女の正体は? あの愛は本物だった? 二人は真相を探す旅に出る――。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「どうせ、この夏は終わる」という作品が面白かったため購入。
付き合っていた彼女が実は別人でした。じゃあ彼女はいったい何者?という「謎」を追うミステリもの。といってもミステリ要素はかなり薄めで、そもそもジャンル分けしづらい構成となっている。
この「ジャンル分けしづらい」と思った点がイマイチポイントで、なんというか、恋愛でもないしミステリでもないし、、といった感じでパンチが弱い作品だと思った。
それでも文章はお上手でとても読みやすく、ひとつの作品としての完成度は高いと思った。ただ、もうすこしワクワクさせてくれるような展開が欲しかったかなと。
というわけで⭐︎三つ。
Posted by ブクログ
失恋したのにすぐ次の恋を見つけてしまった春木のことも、彼の恋人のことを一方的に忌み嫌う冬佳のことも、最初はなかなか受け入れられなかったが(冬佳のことは終盤になるまで無理だった)段々と真相が見えてくると、そして段々と春木くんの覚悟が決まってくると物語に引き込まれた。
そして、より冬佳へのヘイトが溜まる。
すまんよ……
「夏希」の目的は途中から想像がつき、そして想像通りだったので意外性はなかったが、そこからどうこの物語が着地するのか気になって読み進めた。
特に春木くんがどんな選択をするのか、そして「夏希」もどんな選択をするのか、二人はちゃんと再び交われるのか気になって。
ラストの場所はちょっと意外だったが、これから希望を持って生きていける終わり方だったので、本当によかった。
ベニクラゲのように、とまではいかないかもしれないが、ここで彼女は生まれ変わったのかもしれない。
これからは、誰かの道標なく生きていってほしいと切に思う。