【感想・ネタバレ】カット・イン/カット・アウトのレビュー

あらすじ

【松井玲奈が4年ぶりに贈る待望の新作小説】

あの日、フィクションのような人生が始まった。

著名な劇作家・野上が主宰する劇団の新作公演初日まで、残り3週間。
晴れてヒロインに選ばれた元国民的子役のアイドル・中野ももは、
野上の厳しい指導に応えることができず、徐々に追い詰められていた。
どうにか端役を手にしたとある中年の女優は、中野ももが憔悴していく様子を気に掛ける。
そして、やってきた公演初日。
幕が上がった瞬間、二人の人生は大きく変わる!

俳優としても活躍する著者が3作目の舞台に選んだのは、「演劇」の世界。
ふたりの女性が織り成す関係は、ゆっくりと、繊細に、絡み合う。
現実にうちひしがれる絶望、強運を手にして舞い上がる歓び、突然やってくる予想外の衝撃。
幾つもの感情を抱えた先の終着点で、それぞれが決断した選択とは――。

「演じる」とは何かを問う、唯一無二の物語。


【著者略歴】
松井玲奈(まつい・れな)
1991年7月27日生まれ。愛知県豊橋市出身。俳優・作家。
2019年『カモフラージュ』で作家デビュー。その他の小説に『累々』、エッセイに『ひみつのたべもの』『私だけの水槽』がある。本作『カット・イン/カット・アウト』が、3作目の小説となる。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

坂田まち子、52歳の舞台俳優。仲間たちからはマル子と呼ばれている。舞台では脇役ばかりだったがあるときヒロインの代役をすることに。その演技が素晴らしいと話題になる。
中野ももはアイドルグループスピンズに属している元子役。舞台のヒロインに抜擢されるが体調不良で降板する。
話に引き込まれた。よくある表現だが、つづきが読みたくてページをめくる手が止まらないとはこれの事だ。
アイドルから俳優となった松井玲奈さんだから書ける作品ではないか。
今作も食べ物の描写にこだわっているように思えた。出てくる食べ物みんな美味しそう。

全6話構成。1話は坂田まち子、2話は中野ももファンの大学生、3話は中野もも、4話は坂田まち子のマネージャー、5話は舞台降板から2年後の中野もも、最終話はその後の坂田まち子の視点で描かれている。

みきちゃんがまち子さんと呼びたいと言ったシーンがよかった。かめちゃんは亀の子たわしなのか。
人の悩みの解像度が高い。

p.212、まち子に対するアゲハのことば
「大丈夫ってなんとなく迷惑をかけたくなくて口にするじゃないですか。でも言われた方はそこから手の施しようがなくなってしまう。力になりたくても、大丈夫って言葉が自分に無力さを突きつけてくるんです。俺、頼りないですか?」
刺さった。

最後はよかったーとウルっときた。
映像化してほしい。

0
2025年09月11日

Posted by ブクログ

全然売れなかった舞台女優が代役を演じて有名になり、子役から活躍していたアイドルが挫折から這い上がる様などリアルで感情移入しやすく途中で止めたくなくてどっぷり浸かった。
有名になっても余裕ある時間がなければ心が病んでしまうのだなぁ。そしておいしく食べる事が生きる力になると教えてくれた一冊。

0
2025年05月25日

Posted by ブクログ

文中に出てくる物の例え方であったり、心情の表現の仕方が繊細で上手だなと思いました。
読んでいて綺麗な文章を書くんだなと思いましたし、これまで芸能人が書かれた本はリアリティに欠けてリタイアすることも多かったのですが、こちらの本は読み進めていくことができましたし、読みやすい本でした。

0
2025年04月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ


国民的子役だったアイドルと売れない中年舞台女優の話。
松井玲奈さんが書いたとのことで、「これがきっと芸能界のリアルなのかなぁ、、、」と感じながら読んでいた。

売れるたびに「本当に自分がやりたかったことってなんだろう」と感じたり、身体がボロボロになっても仕事をしなければならなかったり。
きっと著者も大変な思いをして、今の地位まで登り詰めたんだろうなぁと。

辞めどきを自分で決めたり、自分でやりたい方向を決めることって本当に勇気がいること。でもそれをせずずっと偽りの自分でいるといつかは限界がくるよね。

最後ももが演出助手として、劇団に戻ってきてくれたのは嬉しかった。まる子さんも、自分のやりたいことを再確認して、自分のペースで働けるようになって良かった。優しい終わり方でほっこりしました。

0
2025年12月01日

Posted by ブクログ


二人の女性と、それを支える人たち。
読みやすいながらも、自分の軸がブレることへの外と中の欠落していく過程が丁寧に書かれていたと思う。
はっきりとした前向きさがあるわけではないが、それは私たちの人生と同じで、小さな灯火のような核が持つエネルギーの大事さを感じた。
面白かった!

0
2025年09月29日

Posted by ブクログ

SKEトップアイドルで、誰よりも結果を重視した松井玲奈氏が、こういう本を書いた心境の変化が気になる。亀ちゃんの結末は。

0
2025年08月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 最後の最後まで展開が見えなくて、最後はビックリしました。
 代役を演じるとはどういうことかを改めて考えさせられました。
 この本を読み進めていくと、アイドル女子と中年世代の女性との人間模様がわかりやすく描かれていました。アイドルがヒロイン役を務めることが難しいことだと、改めて思いました。
この本を読み終えて、アイドルと女優についていろいろと考えることが増えて、面白い作品でした。

0
2025年07月26日

Posted by ブクログ

役者さんの裏側を知ることができて面白かった。
登場人物は皆、相手を思いやる優しい人が多くてこれは作者の願望なのか、それとも芸能界には本当にこういう人が多いのかと、ふと疑問に思った。

日々さまざまな芸能ニュースが流れてくるけれど、芸能人も私たちと同じ“人”なんだよなとあらためて感じた。
仕事の悩み、人間関係の葛藤、そういうものから逃れられないのは芸能人でも一般人でも誰でも同じ。
キャパオーバーになると、心も身体も壊れてしまうことがあるし、自分ではなかなか気づけない。

役者という仕事についての知識はなくても、感情の機微が繊細に描かれていたおかげで、すっと物語に入り込めた。

0
2025年07月17日

Posted by ブクログ

松井玲奈さんの小説3冊目。今回は長編小説。章ごとにそれぞれの主要な登場人物の目線で描かれます。最初は短編なのかなと、何気なく読んでいましたが、クライマックスに向けて全てが1つに集約する見事なまとめ方です。すっかり作家さんになりました。最後に、ももちゃんが報われて良かったです。

0
2025年07月07日

Posted by ブクログ

装丁が素敵で思わず手に取った。
カバーを外したハードカバーの部分もかっこいい。

いわゆる中年の域に入った一人の女優。
目立たない役でも、自分の役割を考えて。全体が良くなることを考えるマル子。
突然倒れた主役の代役。マル子はどう考えて演じていたのか。
1人の人間のかっこいい生き様を見せてもらった気分

0
2025年07月05日

Posted by ブクログ

松井さんの作品は初めて読みましたが、繊細できれいな文章を書かれる方だなと感じました。癖がなくとても読みやすかったです!

元子役のアイドルと舞台俳優の中年女性の運命が、ある舞台をきっかけに大きく変わっていくストーリー。
元アイドルの松井さんだからこそ、リアルに書けたのかなと思ったりしました。

0
2025年06月22日

Posted by ブクログ

元アイドル、現在は俳優で作家として活躍する松井玲奈さんの最新作。

「私は誰のために」
「僕は何のために」
「みんなのために」
「あなたのために」
「オーバーラン」
「カット・イン/カット・アウト」
六話で構成された作品。

メインとして描かれるのは元国民的子役のアイドル・中野ももと、売れない中年女優・マル子(坂田まち子)

自分の居場所を模索し葛藤する二人の女性の心情が丁寧な筆致で綴られる。
一話のラストで衝撃を受けこの物語から目が離せなくなった。

演劇界を舞台に繊細な描写が光るエンタメ小説。

対照的な二人の行く末を見届けて欲しい。

0
2025年05月18日

Posted by ブクログ

れなっちの本でなかったら、この本を手に取っただろうか。と第一章をよんでいる間中、ずっと頭に引っかかっていた。SKEでは珠理奈推しだった私にとって、「じゃないほう」のマツイだったれなっち。でも、小説を書いたり、海月姫での演技は素晴らしく、大好きになりました。役者おばさんの話かあ、52歳って、こんなにばあさんに思うのかね。実際、舞台では50代の女優さんなんて、ヒヨッコみたいにされてたのを見たことがあるんだけど。私が、元アイドルに期待する小説は、斜線堂有紀の「愛じゃないならこれは何」のばねるりみたいな、アイドルの内面とか、佐原ひかりの「スターゲイザー」みたいなものだった。でも、きたりえの「めだか荘」は結構好き。だからアイドルが書いても別にアイドル話でなくても良いのだけど。ダラダラ話になってしまった、結論はやっぱり好き。劇団潮祭で、また書いて欲しいです。スピンズもアゲハくんも、社長も長瀬くんだって、スピンオフ見たいです。そして装丁、装画が美しくて素晴らしい。れなっちの書いた本でなくても、手にとって読んでいたことでしょう。ありがとうございました!

0
2025年04月22日

Posted by ブクログ

松井さんの文章は馴染みやすくてスラスラ読み進められる。特に食べ物や生活の描写は、その情景がありありと伝わってきてほっこりする。

ストーリーでは、紆余曲折ありながらも置かれた立場で咲く登場人物たちが描かれている。
各人物の心の根っこを照らす灯りが、様々な環境変化や周囲の言葉で時に消えたり、新たについたりしているような印象を受けた。

0
2025年11月19日

Posted by ブクログ


元子役のアイドルと長く下積みを重ねてきた
50を過ぎた舞台俳優

正反対の二人が一つの舞台で出会った
束の間の関わりから、互いの立ち位置が
ガラリと変わっていく。

若さ、年齢、実績、経験、伸びしろ、
あるものと無いものがライトの光を受けて
交錯する。

演じることに魅入られた人たちの物語。

0
2025年11月04日

Posted by ブクログ

登場人物の名前をハッキリ書かないので、モヤモヤした。食事や料理の場面が浮いている。
登場人物がみんな同じ雰囲気なのが残念。
ももは、松井玲奈を投影しているのかもしれない。
モヤモヤしたストーリーでした。

0
2025年07月09日

Posted by ブクログ

脇役の舞台女優と、主役のアイドル。どんどん成功していく舞台女優が羨ましかった。努力を続けてチャンスを掴めということかな。なかなか面白かった。

0
2025年06月13日

Posted by ブクログ

想像以上に重くて暗い。けど読みやすかった。

売れない50代の劇団女優と、子役出身で演技が怖くなったアイドルが、もっと絡むかと思ったらそこまで絡みがなくて、でもその2人を色んな視点で見守る…みたいな感じだった。
アゲハくんがすごい好きになった。気遣いの人や。かっこいいなぁ。
みきちゃんの株も私の中であがった。

松井玲奈のインタビュー記事を読んだら、
「マル子さんにはモデルになった俳優がいる」そうで、
誰なんだろうなぁ。めっちゃ気になる。

『立ち止まっても、そこから一歩進めばそれが新しいスタートになる』

終わり方は結構すきだった。
カメちゃんの正体も面白かった。

『推しの子』とか『推し燃ゆ』とか、視点が変わるのは『人魚が逃げた』とか好きな人は、これも好きかも。

《勝手にキャスティング》
マル子さん しゅはまはるみ、池谷のぶえ
スピンズ フルーツジッパー

0
2025年04月14日

Posted by ブクログ

芸能界の事は全く知らない小生としてはマアマアこんなものかなと思いながら読み終わった。もっといろいろ展開が欲しかったかな。

0
2025年04月10日

「雑学・エンタメ」ランキング