あらすじ
「そなたの婚姻が決まった」
レヴァーゼ王国・第六王女ウエンディは、姉の身代わりで『野蛮』と揶揄される国へ人質のように嫁がされることになった。
生まれてから15年間、存在ごと忘れ去っていたくせに?
放置しておきながら、『呪われた子(無能の駒)』扱い?
だから前世の記憶があるウエンディは憤り、決めた――祖国をぶっ潰すと。
「これが復讐とは――誰も気づかないでしょうね」
無能王女を演じ、登場人物すべてを驚愕させる復讐譚、開幕!
感情タグBEST3
匿名
読み応えのある復讐譚
読み進めていきながら、Web版よりも物語に厚みが増しワクワクが増え、その奥行きもさらに深くなり主人公への哀切さも増して涙し、とてもとても大満足な読了でした。ありがとうございます。R指定シーンはないけれどもめちゃくちゃ痛快です。そしてその背景に横たわる虚ろさが哀しくて堪らない物語です。お勧めです。
Web版と大きく異なるのは、主人公が毒を服薬しようとするクライマックスシーンの展開でしょう。書籍版はWeb版よりもドラマチックになっています。どっちの展開も好きです。 主人公のうつけっぷりは戦国のあの武将を、そして表紙絵の鳥はメーテルリンクのあの物語を想起させてくれて、さらに深みを感じられました。
あとがきで作者様が担当編集者様へ感謝の言葉を綴っていましたが、一読者(いわゆる読み専)としましても、心からの感謝を。本当に佳き編集だったかと(偉そうにすみません)。何と言うか、久々に作家さんと担当編集さんの二人三脚で作り上げた良書と感じられました。惜しむらくはWeb版で書かれた生国の宰相のエピソードが書籍に収載されていないことです。
誤字脱字すらろくにチェックされず書籍化に伴い文字数増のみを求められそれを番外編で嵩増しし本編は物語の展開の検討すらされずに販売されたであろうと推察される書籍が散見される昨今、紙本で育った者からすると、本書は書籍として販売するという矜持が感じられて大変好ましく嬉しかったです。さすが出版の雄、ありがとうございます。
そして挿絵も物語に合っていました。初めての絵師様ですが、綺麗なタッチで好きな絵です。構成や構図も良かったです。王家の家族の肖像画と主人公の姿絵(一人)との対比が、その色遣いから物語の先を予見させられます。さらに登場人物の紹介が、コミックではかねてからある紹介の仕方を本書では取り入れているようで、それも良かったです。