あらすじ
公爵令嬢デルフィーナは、婚約者であるロルダン王太子にぞんざいに扱われ、その取り巻きの者たちからも毎日のように嫌がらせを受けていた。実の父からも疎まれており実家に帰る場所もないけれど、王太子との婚約を辞退する決意をし、王妃に『王妃の秘薬』を求めた。
それは、王妃教育の中で王家の秘密を知った王太子の婚約者が、王妃教育終了の過程で必要の可否を選択できる特別な薬であった。その秘薬を望めば、三日間だけ王太子の魂と入れ替わり、それまでの記憶を消した上で、婚約したことがなかったことにされる。そうして、新しい身分で人生を再スタートさせることができるものだった。
ただ、デルフィーナにはたったひとつだけ心残りがあった。
もう最後だと勇気をだして心残りを解決し、王妃の秘薬を飲み干した。
一方、秘薬の影響でデルフィーナと魂が入れ替わったロルダンは、これまで知らなかった『真実』を目にすることになり――。
デルフィーナの決意は、周りの人の人生を大きく動かし、自身も思いもしなかった結末を迎えた。
書き下ろしでは、入れ替わりを経験したあとのロルダンの心情と死の真相を書いています。
感情タグBEST3
ジーンとくる作品
心に沁みる、心に残る作品でした。
魂が入れ替わるという不思議な秘薬のおかげで、ヒロインは救われ、王太子は心を入れ替えた。
この作品で1番泣けたのは王太子。
彼のその後が切なくて哀しくて泣ける。
温かな人格者のもとで自然を相手に自分を見つめ直す時間は罰ではなく素晴らしいものとなったでしょう。
心を打ちました。
そして王妃殿下にご苦労さまでしたと声をかけてあげたい。
沢山の傷を負って最愛の人の復讐
あまりにも多くの罪と悪意に晒されて、全てを捨てる覚悟を決めたヒロイン。しかし最愛の親友の忘れ形見であるヒロインを守るために実の息子さえ切り捨てる孤高の王妃。母の愛の鞭をしっかりと受け止め運命を受け入れた長男。切なくて不憫で、でも若気の至りにしては酷い諸行でした。せめて王妃が、いつの日か空の上で少女の頃に戻って親友と手を繋げる事を願っています。
匿名
耐えたデルフィーナ、悔恨のロルダン
まさかそうくるとは…という顛末
最後はそれぞれおさまるところにおさまるものの
王妃は王の代役としてどこまで見ていたのか
恐ろしいほど
それだけに苦労の程が思われて
つらい人生だったろうと偲ばれます
親友の仇討ちができたことが唯一すっきり
できたことなのかもしれない
匿名
愚かな愚かな王子様の生き様に涙なくして読めない……
王太子は確かに愚かだったけど、こんなにも寂しい最期じゃないといけなかったのかなと思ってしまう。
生きてさえいれば、この先いろんな可能性があったのに。
薬を拒否した彼は、自分の立場の呪縛からは逃れられなかった。
それがとても悲しくて、寂しいです。
イジメは正義感から
愚かな思い込みが何をもたらしたのか、作者様の筆は力強く追求していきます。反省すべきなのは当たり前ですが、自身の行動がなにをもたらすのかを考えなければならない。彼女の辛さを考えるべきだった。単なるざまぁではないお話で、一気に読みました。
おすすめ
とても良い作品だったと思います。よくあるザマァな作品とは違い、読み応えがありました。完全なハッピーエンドではないと誰かレビューされてましたが、私はウンウンと頷ける終わり方でした。分冊版がセールだったけど、こちらを購入して良かったです。