あらすじ
この党が日本の政党で最も長い歴史をもっていること、知っていますか?
戦前、戦後の歴史、世界史の流れのなかで果たした役割、開拓と苦闘の歩みを、日本の今と未来を見つめながらまとめました。
様々な勢力から非難や攻撃を受け、それを打ち破りながら、鍛えられ、自己改革の努力を貫いてきた真の姿を語ります。
〈目次〉
第一章 日本共産党の創立と戦前の不屈の活動(一九二二~四五年)
(1)党創立と初期の活動(一九二二~二七年)
(2)“ここに日本共産党あり”の旗を掲げて(一九二七~三五年)
(3)次の時代を準備する不屈のたたかい(一九三五~四五年)
(4)国民的な苦難の経験と党の不屈のたたかいの意義
第二章 戦後の十数年と日本共産党(一九四五~六一年)
(1)敗戦後の政治体制の変化と党の発展(一九四五~四九年)
(2)スターリンの干渉と「五〇年問題」(一九五〇~五五年)
(3)六一年綱領の決定と自主独立の立場の確立――「五〇年問題」の教訓(一九五五~六一年)
第三章 綱領路線の確立以後(一)――一九六〇~七〇年代
(1)綱領路線にもとづく各分野での開拓的な努力
(2)ソ連、中国・毛沢東派の干渉とのたたかい
(3)日本共産党の「第一の躍進」――一九六〇年代末~七〇年代
第四章 綱領路線の確立以後(二)――一九八〇~九〇年代
(1)「オール与党」体制とのたたかい――一九八〇年代
(2)覇権主義とのたたかいとソ連・東欧の支配体制の解体
(3)一九九〇年代の政治状況と日本共産党の「第二の躍進」
(4)世界の平和秩序をきずく課題と野党外交のはじまり
第五章 綱領路線の確立以後(三)――二〇〇〇年代~今日
(1)「二大政党づくり」とのたたかい――二〇〇〇年代
(2)「第三の躍進」とかつてない統一戦線の発展――二〇一〇年代
(3)世界と日本の激動のなかで――二〇二〇年代
(4)むすび――党創立百周年を迎えて
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Posted by ブクログ
日本の反体制政治闘争を知る上で、ヘタな先入観を持たないで読めば、本書は益すること大であると見込まれる。
お節介かもしれないが、世の中、何事も「中庸の精神」「バランス感覚」「自己対象化」等が大切である。「自己対象化」とは、簡単に言えば、「オレは間違っているかもしれない」という視点のこと。従って、本書だけでなく、並行して下記の書籍なども読むとよいと思う。どれを読むかは、各人の好みである。あえて「耳に痛いこと」を書いてある本も加えたのは、「自己対象化」を涵養する一助たらんとしたためである。
●中北浩爾『日本共産党 「革命」を夢見た100年』(中公新書 2695)
●立花隆『日本共産党の研究』(全3冊、講談社文庫)
●佐藤優『日本共産党の100年』(朝日新聞出版)
●有田芳生、森田成也、木下ちがや、梶原渉『日本共産党100年 理論と体験からの分析』(かもがわ出版)
●有田芳生、池田香代子、内田樹、木戸衛一、佐々木寛、津田大介、中北浩爾、中沢けい、浜矩子、古谷経衡 『希望の共産党 期待こめた提案』(あけび書房)
●産経新聞政治部『日本共産党研究――絶対に誤りを認めない政党』(産経新聞出版)
●松竹 伸幸『シン・日本共産党宣言 ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由』(文春新書 1396)
●筆坂 秀世『日本共産党』(新潮新書 164)
●松崎いたる『日本共産党 暗黒の百年史』(飛鳥新社)
すでに化石のようになった世代だが、猪木正道や勝田吉太郎の本も、ワールドワイドでの共産主義の栄枯盛衰を知る上で参考になると思う。
以下、取り留めのない話。
インテリジェンスの大家で、何故か創価学会を高く評価している佐藤優氏によると、「しかし共産党は大きく舵を切った。『正しい戦争』があるという論に踏み込んだのだ」とのこと。それがほんとうならば、日本共産党を「戦争絶対反対」の党と思っている純真な私はショックである。
日本共産党は旧ソ連の覇権主義を厳しく批判してきたが、2022年以降ウクライナに侵攻しているプーチン・ロシアも厳しく批判している。奇しくも日本の親米保守右翼と同様に旧ソ連とロシアを毛嫌いし、その結果、プーチン・ロシアが暴発することを承知の上でNATO東方拡大工作を執拗に続けているアメリカ/NATOと足並みを揃えているように見える。ウクライナを支持することは立派な見識だが、それはプーチン・ロシアから見れば敵対行為になるから、日本共産党にはロシアと戦争する意思があると見なすわけだ。これが佐藤優氏が指摘する「『正しい戦争』があるという論に踏み込んだ」に関連があると思われる。違うかもしれないが。
さらに話は逸脱する。長年日本共産党を支持している友人に、NATO東方拡大を推進するアメリカ/NATOを批判しているエマニュエル・トッド氏の説を紹介したら、「お前はプーチンを擁護している」と厳しく叱られてしまった。私はただ「ケンカ両成敗」と言いたかったのだが、うまく伝わらなかった。このトラブルを聞いたかつて全共闘シンパだったという団塊世代の知人は、「そういう唯我独尊、無謬信仰、非寛容はスターリニズムにつながるのです」と宣った。「スターリニズム」という死語を耳にして私は驚いた。
とにかく、日本共産党におかれては、「戦争絶対反対」を堅持し、プーチン・ロシアだけでなく、アメリカ、EUなどの覇権主義国諸国にも徹底的に反対してほしいと思う。釈迦に説法であるが、現在、中国、ロシアをはじめとする専制主義の国々は、貪欲な欧米資本による独占的な支配を恐れている、という内情も十分考慮してあげたらよいと思う。