あらすじ
ピンク色は、今の日本では“かわいい色”“女の子の色”といわれるけど、それってほんと? 古今東西、多様多彩、魅力的なピンクがあることを、絵本の中で子どもたちに発見してもらえたら、とつくられました。著者のなかむらさんが、建築、植物染色、口承文芸、化学、服飾、美術、写真、色彩論……様々な分野の方に「ピンク」をテーマにお話を伺うルポタージュ。
*電子版には、折り込み付録の「ふしぎ新聞」および年3回の一枚絵付録はつきません。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
やっぱり色彩って面白い。
「かっこいいピンク」って、みなさん何か挙げられますか? 私はアイドルの髪色をぱっと思い浮かべました。
ページをめくるたびに目に飛び込んでくる華やかで綺麗なピンクたちを見るだけで、なんだか幸せな気持ちになってくる。不思議な色ですね、ピンク色。
ふりがなつきで、フルカラーのイラストてんこもり。厚みもぜんぜんないので、子どもでも読めそうな絵本に見えますが、けっこう専門的な視点からもピンクについて考えているので、小学生くらいでもきちんと理解するのは大変かも。
建物のピンク、海外のピンク、昔話のピンク、ピンクの歴史、ネガティブなピンク、などなど。興味のある方はぜひ読んでみてほしい。
ジェンダーや性と絡んでくる色彩であり、どうしても女の子のイメージがあるピンク。息子がピンク色の服を着たいと言ったら、おおらかな気持ちで否定せずに買ってあげたい。
ピンク色のイメージや使われ方が変化してきたように、これからの私たちのピンクへの向き合い方が、また新しい価値観を生むのだろうなと思った。
その人がその人らしくいられるような、ピンクが好きな人が周りから否定されないような、そんな世界が来たらいいな。
Posted by ブクログ
ピンクを切り口に文化を語る。花は桜、桃は中国では邪気を払う、ドイツの独房はピンク、インドのピンクシティーの上品なピンク。外や昔に目を向けると、決して女の色、性的な色ではない、商業の弊害だ。表紙の絵が素敵だ。さくら、もも、なでしこ、うめ同じピンクでも全部違う。
Posted by ブクログ
「孫の男の子がピンクのランドセルを選んだ」という新聞の投書をきっかけに、いろんな切り口でピンク色について調べた本。1000年前のピンク、いつからピンクは女の子の色になったのか、タイでは曜日ごとに色があること、インドのピンクシティ、投書の男の子にエールを送った男の人の話、などなど…たくさんのピンクにまつわる逸話を著者と追いかけるうちに、いろいろなことを感じ、考えさせられる本でした。
Posted by ブクログ
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イラストレーターのなかむらるみさんの作品です。
大ピンチずかんのイラストを描いている方のようです。
ピンクは女性のイメージがありますが、男の子がピンクのランドセルを選んだら…という投げかけからスタートします。
今作は文字が多く、なかなかに情報量が多いです。
・かわいいピンクか、かっこいいピンクか
・日本の建物にピンクが少ないこと
・ウガンダでピンクの制服
・桃色について
・ピンクはいつから女の子の色
・悲しいピンクの働き
などなど
なかなかに、考えさせられる部分がありました。
/_/ 感想 _/_/_/_/_/_/
本の見た目がいつもと違っていて、ピンク色で目立っていました。
昔、薄いピンクのYシャツを着ていて、「私ピンクのYシャツ着る人ヤダな」と女性に言われた記憶があります。その女性がだれだったかは忘れましたが、それからピンク系のYシャツは着なくなったのを思い出しました(笑)
ピンク自体は好きなので、ピンクの服は今でも着ています。薄い色ですが…
たしかに、ピンク色のイメージは、偏っている感じがします。少しずつ、そんなイメージも変わってきているんでしょうが、色の選択の自由度があがると、人生はより楽しくなりそうだな〜と、この本を見て感じました。
Posted by ブクログ
好きな色があることは、人生をとても豊かにする。それをとても思い知らされた。
男の子がピンク色のランドセルを選んだら、という新聞の投書を発端に、ピンクをめぐる話が色々でてきて、すごくおもしろかった。
色彩のことだけでなく、外国の文化のこと、平安装束のこと、色盲(というのはよくない言い方かもしれないけど)とか、いろんな研究者を訪ねてまとめていて、「へー、そうなんだー」という新しい発見が要所要所にあった。
特に、タイの曜日と色の話はとても興味深かった。
先日『赤の図鑑』を読んで、これはおもしろい…!と思ったばかりだったので、なんとなく自分の中でつながりを感じている。
つながり、といえば、同じく福音館書店からでている『こどものとも』年中向きの2024.3月号は、ピンクの帽子がお気に入りのブタくんのお話。「こぶくん」だし、「ぼく」なので男の子を容易に連想するのだけど、「ピンクの帽子」に私は何の違和感も持たなかった。
息子の保育園のクラス帽子が「もも組」にちなんでピンクだから、「わぁー、一緒だねー」と子どもたちも大喜びですっかり気に入った様子だった。
我が家は第1子が女の子で、第2子が男の子。ピンクのボーダー柄や、ピンクのズボンはお下がりで普通に着せている。
しかし、ランドセルだったらどうだろう。
息子がピンクのランドセルを選んだら…「おぉ、それいいね!」と言えるだろうか。「こっちもいいんじゃない?」とか言って、他の色を選ぶように誘導したりしないだろうか…。
そういえば、年長クラスの保護者の方と立ち話で、「いよいよ卒園ですねぇ、ランドセル何色にしたんですか?」と聞いたことがある。
「赤にする!とか言ったら男の子なのにどうしようかと思っていたら、結局、青地に赤のステッチが入ったもので落ち着きました」みたいな内容が返ってきた。
もしかして浦和レッズファンのご家庭なのかな、と勝手に思っていたので、赤を選んだら「We are REDS!」と大喜びになりそうな話なんじゃないか、と思っていたこともあって、咄嗟に言葉に詰まってしまって「それもいいですね」みたいな曖昧な答え方をした気がする。
うーん。思い込みとか刷り込みって怖い。
赤が女の子のランドセル、という思い込みは経験上わかる。自分自身がそうだった。
だけど、「やっぱり赤は女子の色ですよね」と同調するのもちょっと違うかな、と思ったりしている。
いっそのこと「レッズファンのご家庭だと勝手に思ってて、てっきり赤を選んだんだと思ってました!笑!」みたいな話をすればよかったかな、と、ちょっと後悔している。
今度、赤いランドセルを持つ男の子と出会ったら、「ひょっとしてレッズファンなのかな」とか、ピンクならば、「ひょっとしてセレッソのファンなのかな」と思えばいいんじゃないかと思っている。
もちろん、それ以外の理由でも全然構わない。
好きな色のランドセルを選べる。よい時代になった。
本書の後半、新聞記事の続きで、ピンクのランドセルを尊重した親にエールを送った、と紹介された男性の話がとてもいい話だな、と思った。
いろんな国のピンク。いろいろな文化のピンク。
「こうでなくては」を、自分の中でもひとつひとつ「これもアリなんだな」に変えていきたい。
Posted by ブクログ
ピンクのコンバースを履いていると、9歳の娘に「それ、お父さんが履くの嫌だ」と言われる。やはり「男性がピンクを身につける」ということに、違和感があるようだ。ひとまず、これを読ませてみたが、まだピンときていない様子。そのうち、伝わるといいなあ。
Posted by ブクログ
ピンク。
20代半ばまで苦手だった。
10代では、かわいい子が着るものだと思っていたし、大して魅力的でもない私だから、わざわざそんな媚びた色を選びたくなかった。
ピンクの服といえば、モテ系(死語だね)、めちゃモテ、みたいな甘い服ばかりだったし全然似合わなかった。
職場の制服のブラウスはいくつか選べるうち、ピンクを着ると客に舐められる気がして着たくなかった。
若い女がピンクを着ると、男は上からものを言う気がして(実際のところ少なくはない)同等にみられないことが腹立たしかった。
ふとある日、ピンクは可愛いというのは思い込みでは?と思い至った。
桜の花に男女があるか?人の体の色としたら健康な証拠で、それは可愛いとか可愛くないではないよね?
子供が生まれた。
男の子だからこそ、ピンクを着させたいと思った。
でも当時はほとんどなかった。
かっこいいピンクってどこにあるの?私も探したくなった。
本書によるとウガンダの小学校はピンク、緑、黄色などが採用されている。
当然男女共に、だ。
ウガンダの人の肌の色との差、汚れが目立ちにくいなどの理由があるらしい。
あくまでも日常の色の一つであって、女の子っぽい、なんてイメージは彼の地にはないそうだ。
日本だって平安貴族は「ピンク」を着ている。
男女の別なく、きたって良いじゃないか。
じゃあどうしてピンクは女の子の色、なんてイメージが日本ではできたのか…それは本を読んでのお楽しみ。
ピンクはジェンダーの問題も孕んでは、いる。
けれど、著者が言うように、ピンクは「ただの魅力的な色」なのだ。
男の人はみんな黒や紺ばかり。
もっと本当は好きな色があるんじゃないかな。
私の息子は赤や黄色、オレンジ、そしてずっとピンクが好き。
誰もが自分の好きな色を好きなように着られるような社会であってほしい。