【感想・ネタバレ】この会社、後継者不在につきのレビュー

あらすじ

自分が引退しても、我が子のように大切な会社には末永く続いてほしい――経営者の願いも虚しく、中小企業の後継者不足が問題となって久しい。

二人の息子のどちらかに会社を継がせたい、洋菓子店の二代目社長。
社内に目ぼしい人材がいないとボヤく、ワンマンバッグメーカー社長。
社長の急な逝去により外国人オーナーのもとで働くこととなった、刃物メーカー社員。

会社の行く末に三者三様の悩みを抱える人々に、型破りな中小企業診断士・北川は、前代未聞の経営改革案を提示する。
『県庁の星』著者がおくる、痛快お仕事エンタテインメント!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。
珍しく中小企業診断士が活躍する物語。一般的には中小企業診断士というよりコンサルティングといった方が伝わりやすいと思うが、あえて中小企業診断士とすることに作者のこだわりを感じる。

取っても食えないとバカにされがちな中小企業診断士の資格であるが、その仕事ぶりがわかるお仕事小説。純粋に中小企業診断士が活躍する話はほかで読んだことなかったので、素直に嬉しい。

物語は3つの短編からなる。それぞれに問題を抱えた会社が舞台になっている。後継者を長男にするか次男に悩むパン屋、無能な部下しかいないと悩むバックメーカー、先代社長の急逝により外資系企業に買収された包丁製造業。型やぶりな中小企業診断士である北川が、ちょっとしたアドバイスを与えながら、それぞれの問題の解決の手助けをしていく展開の仕方である。ただし、直接的な解決策の提案はしない。こんなことをやってみてはどうですか?とアドバイスするが、それにより、社長や社員自らが大切なものを気づいていく。結果的に課題の解決につながっていく。

今まで見えていなかった自分の子供たちの能力や得意な部分、無能だと思っていた社員の会社への熱き思い、自社の誇るべき職人の技術、社員の誇りなどなど。一面的な見方により気づいていない良い部分に、別角度の見方により見えてくる大切なもの。それに気づかされていく展開が、読んでいて心地よい。
そう、中小企業診断士は気付きを与える仕事なのだ。面白い。

中小企業診断士の北川が型破りの提案を行なっていく展開はいくらでも描きようがあるので、続編を期待したい。
全中小企業診断士が読むべし。良書。

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2024年02月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

真面目だけど商売のセンスがない長男を後継者にするか、ちゃらんぽらんだけど新しい試みができる次男を後継者にするか悩むケーキ屋さん、3人の後継者候補を出したものの誰も気に入らないバッグメーカー、社長の突然死でM&Aされることになった包丁メーカーの3話からなる作品。

どの話も前向きな結末で読後感が爽やか。
ケーキ屋さんの話では、それぞれの後継者候補に、一年間自分の店を作ってもらい、立地決めから経営までをさせてみるという驚きの方法。
後継者を決めるだけでなく、2人の兄弟がどう働いていくのが適性にあっているのかを考えるきっかけになったのが面白い。

2話目は、感情的で独善的な現社長からの目線なのもあり、社員のアイディアも一刀両断してしまう姿勢にモヤモヤしながら読み始めた。
でもいざ会社が危機に瀕した時の対応は素晴らしいし、同じ考え方ができる人を後継者に据えたことですっきりした。

3話目の、断るのが苦手な主人公が、他の人の立場に立ってみる研修を受けてから、自ら行動した話も読んでいて気持ちよかった。
言い方って大切なんだなと改めて感じたし、どうしたらその力を手に入れられるのか…。

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2024年06月26日

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