あらすじ
正月の風物詩・箱根駅伝では、100年の歴史の中で数々の名勝負が繰り広げられ、
瀬古利彦(早稲田大)、渡辺康幸(同)、柏原竜二(東洋大)らスター選手、
澤木啓祐(順天堂大)、大八木弘明(駒澤大)、原晋(青学大)ら名監督が生まれてきた。
今やテレビ中継の世帯視聴率が30%前後を誇る国民的行事となっている。
なぜここまで惹きつけられるのか――。45年以上追い続けてきた著者・生島淳がその魅力を丹念に紐解く「読む箱根駅伝」。
100回大会を境に「中央大・順天堂大の時代」が来る――!?
99回大会で「史上最高の2区」と称された
吉居大和(中央大)、田澤廉(駒澤大)、近藤幸太郎(青学大)の激闘の裏には、
名将・原晋が思い描いた幻の秘策が隠されていた――。
入学時からマインドセットが違った絶対的エース。
柏原竜二(東洋大)「勝負は1年生から」
大迫傑(早稲田大)「駅伝には興味はありません」
渡辺康幸(早稲田大)VSマヤカ(山梨学院大)
竹澤健介(早稲田大)VSモグス(山梨学院大)
田澤廉(駒澤大)VSヴィンセント(東京国際大)
留学生の存在がもたらした「箱根から世界へ」
箱根史を彩る名選手、名監督、名勝負のエピソードが満載。
【目次】
はじめに
第1章 箱根を彩る名将たち
第2章 取材の現場から1
第3章 取材の現場から2
第4章 駅伝紀行
第5章 目の上のたんこぶ
第6章 メディア
第7章 箱根駅伝に魅せられて
おわりに
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Posted by ブクログ
第100回記念大会の前にタイミングよく読めた。
年末にでる陸上競技の専門誌の別冊特集も、今年は100回記念ということで、歴史を振り返るような記載が多いが、各エピソードに関連する人物との対談だったり、それぞれライターが違ったりで、見どころはありつつも、全体を俯瞰したものにはなっていない。
その点、本書は著者ひとりが70年代ころから実際にラジオ中継を聴いていた体験、テレビ中継が始まったころの驚きから、職業としてスポーツライターとして携わってきた経験が活かされた、一気通貫で歴史を眺めた壮観さがある。
特に第5章。著者自身もあとがきで記すが、「目の上のたんこぶ」という、ライバル校の存在の変遷を時代を追って解説したものが、はからずも箱根駅伝の戦後史を浮かび上がらせており面白い。
日体大の初優勝が1969年だったのは、ベビーブーマー、いわゆる団塊の世代が大学に進学した時代で、地方から教員免許を取って故郷に錦をという学生が日体大に集まることになり、日体大のひとつの黄金期を築いたと著者は分析する。
また、テレビ放送が開始され、箱根での活躍が大学の人気につながり、受験生の増加に繋がるのは、見ていても分かるが、その頃から、箱根出場を大学の知名度UPに使おうと出場してくる学校のユニフォームの特徴が、大学名が漢字でフルネームで書かれているというのも、面白い分析だと思う。真偽のほどは定かではないが、さもありなん。
然様に、箱根駅伝は、話題性、ドラマ性に富み、参加する者は勿論、観る者、関わる者を魅了し続けるコンテンツであることが本書を読んでいても良く分かる。
さぁ、100回目という節目の大会。どんなドラマがまた誕生するか。おだやかな新年の、熱き戦いを、また楽しみに拝見するとしよう。