【感想・ネタバレ】入管ブラックボックス 漂流する入管行政・翻弄される外国人のレビュー

木下洋一

2023年入管法改正！ 何が変わり、何が変わらないのか。

大村収容所サニーさん餓死事件、名古屋入管ウィシュマさん死亡事件……。
強大な裁量権を持つ入管と、生殺与奪権を握られる外国人たち。
さまざまな問題が指摘される入管。
18年間の入管勤務で体験した、”ブラックボックス”の内側とは？
入管行政改革を自由に考えるための必読の書！

[ブクログ · ★★★★☆]

入管とは何なのかについて一から学ぶことができ、
全件収容主義、入管の裁量権などにより多くの外国人が難民申請を行い、送還されずに日本で暮らせるようにしている。
日本の難民認定率の低さに驚き、日本に家族がいるなどの理由があって送還忌避する人に対して厳しい状況(長期収容など)で接していることに苦しい思いになった。
ノンルフールマン原則(帰ったら命の危険があるところには帰さない)があるにも関わらず、入管や政府の考えで在留特別許可を与えないために強制送還したいという行動はシステムを今一度見直す必要があると思う。
2023年新たに入管法改正が行われたが、今後も入管法のアップデートについて見ていく必要があると思った。

[ブクログ · ★★★★☆]

入管問題がメディア上に踊るものの、リベラル的なイデオロギーの主張に口上としてはそうなんだろうけど、といった距離感で問題自体を辿ることがほとんどなかったように思う。

行政の一機関としての入管における諸問題については、人権を金科玉条に奉ずれば一定の解答に落ち着くのではないかと等閑視していたが、「元入管職員」という筆者の経歴だからこそ詳らかに明かされる内情を見るにつけ、
議論を進めるにあたっても「元」という狭間の存在からでもないと、建設的な形で進めることが難しい複雑さを感じた。