【感想・ネタバレ】アルツハイマー征服のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年03月12日

素晴らしい本なのに、まだだれも感想らしい感想を書いていないことに驚いた一冊。(2024.3時点)こんなに読み応えのあるノンフィクションがあるでしょうか。アルツハイマー病の薬の開発を軸に、人間模様、科学の進展、会社の内紛などを日米欧をまたいで書いてあります。それをまとめた著者の取材力は驚異的です。その...続きを読む情報量は、途中ついていけなくなるくらいで脱帽しかありません。本書は福岡伸一のさんのようなサイエンスノンフィクション系の本が好きな方や、サピエンス全史のような壮大な話がお好きな方にささります。化学式などは出てこないので理系でない方も読めます。

■アルツハイマー病の苦しみがわかる
わたしの祖父もなりました。平日の昼間にスーパーに行くと、視点の合わない高齢者が歩いていた経験はありませんか?この病気は確かに移らない。でも、誰でもなるかもしれない。しかもそれが遺伝性の場合だったら?寿命以外に自分の認知機能は人より早い段階で失われるかもしれないと知ったら?本書を読んで遺伝性のアルツハイマー病があることを初めて知りました。そしてその苦しみも。アルツハイマー病の薬の開発がいかに望まれているかを知りました。

■何事も一筋縄ではいかない
アメリカはベンチャー企業が勢いあるとか優秀な人材が集まっているとか言われますが、そんなアメリカでも薬の開発はうまくいかない。研究者や製薬会社が悩み、時には不正に手を染める様子、日本のある企業が、猛烈な努力で開発を進める様子、でも、社内の人間関係に翻弄される様子。本書の読み所は薬を作る過程だけでなく、作る人間の話まで深く語られているところです。特に治験がうまくいかない場面では、時間がかかる治験を実施する一方で、うまくいかず時間だけがどんどん過ぎていき、関係者に焦りが生まれている様子がひしひしと感じられました。優秀な人が束になってかかっても開発しきれない新薬開発の難しさ。一筋縄では行きません。でもその開発過程で生まれた化合物を次の世代の研究者が引き継ぎ、形にしていく様子もみられ、こうして人の生活はより良くなるのかもしれないと感じました。

■文庫版書き下ろし新章がついた方を読みましょう
同じ名前の本が2冊あり、2023年8月に出版されている方に新章があります。レカネマブ(予測変換にも出るくらいです)の承認までの話が追記されています。

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