【感想・ネタバレ】梅雨物語のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

幻想・ホラー・ミステリーを混ぜたようなお話が3編入っている小説。
タイトルの通り、どの話も雨が降っている描写があってしっとりとした雰囲気。
自分好みの話ばかりで面白かった!どれも好きだけど、一番好きなのは"ぼくとう奇譚"かな。

皐月闇…一番目の話。俳句の意味を解き明かしていくストーリーで暗号解読のようなミステリー要素と、ちょっとしたどんでん返しもあり楽しめた。女の執念は怖い。

ぼくとう奇譚…二番目の話。こちらはミステリーではなく、幻想とホラー(怪奇?)を混ぜたような感じ。昭和初期の時代設定のおかげで遊郭の雰囲気が幻想的で美しい。でも逆にそれが恐ろしい。
日斉さん普通に有能やん。最後の真相を語るところは鳥肌ものでした。日震さんは何者なのだろうか…。
タイトルの"ぼくとう"はラストの方で意味が分かって、あ、そうなんだ?と思った。あと女の執念は怖い。

くさびら…三番目の話。なぜかキノコが見えるようになった男の話。実際想像するとキノコが部屋にビッシリって気持ち悪いと思うけど、キノコという単語のおかげなのかそこまでホラー感はなかった。頭のおかしくなった男の話で怪奇小説か?かと思ったけど、最後の方は流れが変わり、ちゃんと(?)探偵が活躍してミステリーの話となり、真犯人を追い詰めるところがあってよかった。まさかキノコの話からいい話で終わるとは思わなかった。
キノコの種類がいっぱい出てきてちょっと勉強になった。女の執念(というより思念か?)がなせた業。女の執念はすごい。

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2023年07月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ホラー:ミステリ:スピリチュアル=5:3:2くらいの短め中編3編。

面白かった編
・「皐月闇」
俳句ミステリ?「こんなんで何が分かるの?」「何これ読めねぇルビ振ってくれよ~」と思った所からまさかの!ドヤ顔解説の前提が崩れて反転する構造にすっごい転がされた。と同時にこんな形の復讐って空しくならないのかな、でも小鳥を捕らえる蜘蛛に歌を見出しちゃう娘だから、嬲ることそのものが半分娯楽化してるのかな、というかそっちも闇が深くてあっちもこっちもタイトル通り無明じゃーん…。

面白かったけどもっと絞ってもいいかと思った編
・「ぼくとう奇譚」
普段なるべく知らない単語が出たら検索するようにしてるんだけど、絶っ体コイツは画像見たら寝られなくなる奴!って確信するくらいキモさ爆発のスリルでした。
惜しかったのは直前の「皐月闇」と身勝手な記憶喪失と性癖が被る所、洋風の呪いと和風の幻惑とをキチキチに詰め込んだ所。あれもこれも入れたい!気持ちは分かるけど、何時代の話だったか混乱するので本命以外はバッサリ切ってもよかったんじゃと思ったりしなくもなかったり。

総評
最後の「くさびら」以外は因果応報よね~、と思いながらも悪意の不気味さおぞましさは流石でした。毎度怖くて上手い。類作??の「秋雨物語」もあるみたいなのでそっちも読んでみようかな。

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2024年05月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

生者と死者をつなぐホラーミステリ三編がおさめられた一冊。

俳句を読み解いていく「皐月闇」は、解釈を聞いているうちにだんだん怖くなってくる。記憶に問題がある主人公と、丁寧だけれど妙なところのある元教え子。元教え子への視線が気持ち悪いと感じていた。徐々に導かれていく真実に納得。

黒い蝶の呪いを書いた「ぼくとう奇譚」は、昭和初期の時代の雰囲気を存分に味わえた。過去の罪により呪われていると知っていても、夢の中で妓楼に通い馴染みの花魁を選ぼうとする愚かさ。不気味に朽ちていく妓楼も悪夢でしかなく、何が起きるのかと惹きつけられた。

庭に生えてくるキノコの恐怖を書いた「くさびら」は、主人公が妻子を殺したのかと思っていたら、非常に切ないお話だった。オカルトじみていたけれど、愛する家族に守られていたというラストが良かった。
どれも面白かった。

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2024年04月17日

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ネタバレ

俳句の解釈の違いやアルツハイマーの人への復讐の仕方など驚きと恐怖が共存していて面白かった。最後の親子愛がキノコの胞子となり犯人逮捕のきっかけになったのは驚かせれました

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2023年10月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ホラー作家が怖いと言ってたので、ホラーを期待したけどそうでもなかった。SF風。

「皐月闇」
認知症の老害男の思考を読まされるとは。主人公視点だとそこまでではないけど、あなた呼びはなんか気に障ったし、たぶん、端から見たら、偉そうでイラつくのかもしれない。
テーマは俳句。貴志祐介すごいな。
しかし、オチは読めてしまうのが残念。認知症だからこそずっと苦しめる。暇だな。
俳句の読み解き方は面白かったけど、仮説をたてていき、それをどんどん破っていく手法はやっぱり好き。

「ぼくとう奇譚」
夢の登場人物の元ネタが虫達で面白かった。
自業自得のオチなので、最初から共感出来ずに、とりあえず展開を追うのが面白かった。

「くさびら」
元ネタがあるとは。キノコの話は面白かった。
これもやっぱりオチはわかってしまうけど、やり方がリアル。ガレージの仕掛けが恐すぎる。
従兄弟の医者には見えず、それ以外の人間には見えていた、というのも面白かった。

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2023年09月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【皐月闇】
語り手の元に現れた自殺した兄の俳句集を持ったかつての教え子。
その俳句にはおそろしい秘密が隠されていて。
兄が犯した罪の告白であれ?そんなもの?と思わせておいてから語り手へのどんでん返し、さらには認知症すらトラウマによる局所的な健忘であるというオチ。
とても面白かった。
随所に伏線があって、なおかつ読み進める度に伏線は分かりやすくなる(次第に思い出しはじめているという描写かな?)ように書かれているのが細かい。
さらに認知症というピースがいい仕事をしてた。語り手が犯人であるパターンって割と知っているはずの出来事を無視して違和感になってしまうことが多い気がしてるけどこれなら忘れているから説明が着くし納得出来る。語り手が本来は全てを知っている犯人でありながら読者と同じくまっさらで何も知らない立場での語りを許される。
ただ強いて言うなら本当にまっさらな読者には「兄が自殺した」「兄と瞳の婚前旅行」「婚前旅行で失踪、死んでしまった」という前情報が逆に余計な思い込みを生んでしまってアンフェアな気もする。
いや、それこそ「というのも実は嘘でミスリードです」という部分を省いた連用止め……ってコト?!
ミスリードにしては断定情報だとおもわせすぎかな、とは思った。
ホラー要素:ミステリが1:9くらい。


【ぼくとう奇譚】
昭和感がまたホラーの恐怖、不気味さを引き立たせていてよかった。
それでいて登場人物の正体やどんでん返し、伏線などもしっかりしていて雰囲気だけではなく楽しめた。
キャラも引き立っていてこれはシリーズとして読みたい。
不気味な感じもあったしおどろおどろしさもあったけど読後感はすごい爽やか。
ホラー要素:ミステリ要素は8:2

【くさびら】
妻と息子が家でをした家で実在しないキノコが現れる。従兄は精神病を疑うし探偵や義母まで現れて。
正直語り手が犯人だと思ってた。従兄だけ見えてなかったのか。
妻が自分の好きだったキノコで警告していたのも、妻の言っていたことをちゃんと覚えていたから何度も危機を察知できた語り手も、なんとも言えないラストだった。
ハッピーエンドではないしちゃんと悪い人は捕まったから胸糞では無いし、でもせつない気持ちになった。
誰も幸せになれなかったな。
ずっと幻影のキノコを中心に話が進んでいく中で最後の決め手で本物のキノコが出てくるのは胸熱だった。
生者が死者を忘れるんじゃない、死者が生者を忘れるのだ。とても良かった。
ホラー要素:ミステリ要素が4:6くらい。



全体的にストーリーは文句のつけどころがない面白さだった。
ホラーという宣伝で買うと少し物足りないかも。二話目は堂々とホラーだったけど。
ファンタジー要素が主軸だけどストーリーの本質はミステリ。
次からは作者買いしそう。

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2023年07月31日

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ネタバレ

好みのホラーだった!

虫とか、キノコとか、サイコー過ぎる!
貴志さんの「天使の囀り」もかなり好き♡

「くさびら」のラストシーンの美しさに心を打たれました。

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2023年07月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【収録作品】皐月闇/ぼくとう奇譚/くさびら

「皐月闇」老いた元教師の下を訪れたかつての教え子。俳句の解釈がひっくり返るさまが面白い。真相は想像通り。執念深さが辛い。

「ぼくとう奇譚」黒い蝶の夢を見る作家の罪。誘蛾灯に惹き寄せられる虫の運命は、自らが選んだものといえよう。彼に肩入れする友人の気持ちが謎。

「くさびら」夫婦喧嘩の後、息子と共に姿を消した妻。夫はキノコの幻覚を見るようになる。これも真相は…と騙されそうになる。よくあるパターンなのに、叙述がうまい。

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2023年11月09日

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