あらすじ
言わなかったことや言えなかったことが、
なかったことにならないでほしい。
そう思い続けて、そう思うから、
そう思っていることを、
わたしはずっと書いてきたのかもしれない。
――本文より
【本書の内容】
2021年9月、『常識のない喫茶店』で鮮烈なデビューを果たした僕のマリ。
一度の滞在でクリームソーダを三杯続けて飲む猛者、
お気に入りの店員にスケスケのタイツをプレゼントする中年、
来るたびに小さな灰皿を盗む男とゆで卵用の塩入れを盗む連れの女、
あるいは……
他の客に席を譲らない老人と喧嘩する(これまた老人の)マスター、
暴言を吐く半グレ風男性客を店の外まで追いかける同僚のしーちゃん、
ゴミを持ち込んだ客に「うちもいらないです」と突き返すわたし。
そんな刺激的すぎる毎日をストレートに綴ったエッセイは、
「仕事だから我慢しろ」「店員なら耐えろ」といった声が一部ありながらも、
「救われた」「勇気をもらった」という大きな共感とともに受け入れられた。
理不尽なクレームと闘い、自らが信じる正しさを貫く著者の物語は、
過去に負った傷を癒やす「再生の物語」そのものだった。
本の刊行後、その翌月には喫茶店を卒業し、長く住んだ街を引っ越した。
パートナーと暮らしながら、週に何回かバイトしつつ、やはり文章を書いている。
今回の本には、卒業までの日々と、卒業後の生活が瑞々しく描かれている。
ちっぽけであたたかな日常ほど忘れたくない。
書き留めておくことで、きっとまた前に進める。
そんな静かな決意とともに放つ、作家としての新たな一歩。
『常識のない喫茶店』の正統な続編にして完結編、ついに刊行!
【本書の目次】
はじめに
1 常識のない喫茶店
初めての商業出版
その後の喫茶店
日記 二〇二一年八月-十月
卒業
2 新しい生活
日記 二〇二一年十一月-十二月
長いお休み
引っ越し
二人暮らし
文筆業とアルバイト
3 また本を書いている
(体力のない私の)仕事論
日記は筋トレ
日記 二〇二二年八月-十月
書きたい生活
喫茶再訪
本とともにある人生
原稿が書けないときの話
おわりに――なかったことにならないでほしいこと
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
日記編の、毎日が全く違う時間が流れていて大切な日々であることが伝わってくる文章が好きだった。喫茶店で本が読みたくなったし、日記を書きたくなった。
・無理はずっとは続かない。
・なんとなく始めたことが、意外と向いていたり好きだったりする。だからなんでも挑戦してみたい。
Posted by ブクログ
自分と似ているところがあったり、ここは違うなと思ったり 6ページの終わりぎわ、「わたしにとって本を書くことは、自分の正しさを失わないための祈りでもある。」この文章が好き
Posted by ブクログ
「言わなかったことや
言えなかったことが、
なかったことにならないでほしい。
そう思い続けて、
そう思うから、
そう思っていることを、
わたしはずっと
書いてきたのかもしれない。」
『書きたい生活』帯文より
本屋でフラフラしていたら、
『常識のない喫茶店』を書かれた僕のマリさんの名前を見つけて、続編にして完結編、そして冒頭にある帯文に惹かれて購入。
『常識のない喫茶店』がお店も文章も人もインパクトがあって好きだったのですが、残念ながら喫茶店は退職なされていました。
喫茶店を辞めて次に進むと決めた自分
物書きとしての自分
30を過ぎた女性としての自分
色んな自分をさらけだして
素直な言葉が書き綴られた日記は
なんてことないような毎日が
本当はとてもかけがえのないものだと教えてく
れる。
きっと書いているマリさんも
それを読んでいる私も。
(よろこびや楽しさだけで生きていけるのが人間ではない。だってわたしは、苦しいときこそ前に進んでいた。)
という言葉に力をもらった。