あらすじ
「実は俺、離婚しててね。今じゃ子どもにも会えないんだ」と翔に打ち明け、彼が自身のモラハラ加害と向き合うきっかけを作った上司・鳥羽。
今や”仏の鳥羽さん”と社内で慕われるその過去の顔は、厳しすぎるハラスメント上司だった。
家庭でもモラハラ・DVを繰り返し、離婚。娘には「毒親」と呼ばれ絶縁したのだった。
同じく離婚した男同士、3人でルームシェアをして和気あいあいと暮らす鳥羽の元に、元妻から娘の結婚式の知らせが舞い込む。
「たくさんの人に感謝され、昔とは変わった俺なら、娘は許してくれるのでは―」と期待を抱くが…。
一方の娘・奈月は、毒父のトラウマを抱え続け、会社での激務に追われ、結婚に前向きになれずにいた。
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Posted by ブクログ
前作の「モラハラ夫は変われるか」を読んでとても良かったので、こちらも読んだ。
この2作は、企業やPTAなどで研修教材にしてくれたらいいのにと思う。
自分の何が良くないのか、おそらく自覚できないから、この漫画はハッと気づかせてくれると思う。
さらに、漫画の合間にコラムがはさんであり、とてもわかりやすく説明されている。
私はずっと「謝れば許される」というのが納得できなくてモヤモヤしていたので、許さなくていいというのは心の底から安心した。
それは、例えばイジメだったり、ハラスメントであったり、親の問題、他にもさまざまな場面でいえること。
謝られても、いやな思いをしたこと(悩み続けた年月)は消えないのに、謝られたら許すしかないのか、それは理不尽ではないのかと思っていた。
「ごめんね」「いいよ」=仲直り〜なんて
幼稚園児のケンカじゃないんだから、そんな簡単なわけないだろーと思ってた。
ドラマなどでも見かける。幼い頃に父親が借金して逃げていき、苦労して育ってきた主人公。何十年もたち年老いた父親が「すまなかった」と涙ながらに謝罪。子供も「お父さん」なんつって泣きながら抱きついて和解する、みたいな話し。(母親の場合もあり)
どんなドラマでも子供は親を許す。そんな話しばかり。
おせっかいな親戚が、したり顔で「実の親子なんだもの」「お父さんも苦労したのよ」「水に流して」なんて言ったりする。
えっ、これが普通? うそだろと思ってきた。親子だから許すのが当たり前なのか?
年老いたからってなに? 今は心を入れ替えて慎ましく生きてるからってなに?
・・・・・・・・・私は冷たいのかな?
そんな気持ちだったのが、初めてそれでいいんだと言ってもらえた。本当に安心した。
働き方改革の会社側のやり方についても、これは役立つと思う。
そんなの理想とか、無理とか、思いがち。
だけどみんなで協力すれば少しずつでも変わっていける。
身近な人だからこそ、当たってしまうことがある。わかってよ!と思うことがある。
子供が親に当たり散らし、無視や暴言で親を傷つけることもある。
自分に余裕がないと、人に優しく出来ない。
余裕がないのは、頑張りが足りないからではない。
私は、あるとき被害者だった。
でもあるときは加害側だったかもしれない。
今までの、心にひっかかっていた出来事たちが思い出されて、それらの「ひっかかり」が、こういうことだったんだなって腹落ちする感じがした。
温かい漫画がとてもいい。
鳥羽さんも、奈月も、幸せであってほしい。
私は、人を傷つけず、自分も傷つかず、
悩み学び自問自答しながら、穏やかに幸せでありたい、と思いました。
Posted by ブクログ
他人の気持ちは気にせず自分は幸せになりたいか
自分も幸せになりたいが誰かを不幸にはしたくないか
自身のとった行動への責任と、思慮が足りなかったことの反省
謝る、ゆるすはそれぞれのこと
わかりあえるはずというのは願望か妄想。わかりえない関係というものがある。
Posted by ブクログ
この本、とても良かった!
毒親に言われた言葉が頭に残って、ありのままの自分を許せずに「なんでこんなことできないの?私はこんなに頑張ってるのに!?」と周りに強く当たってしまい、感情をコントロールできない自分も嫌になる悪循環に陥る主人公が、親を許さないまま、親のせいにせず、自分の人生を歩む勇気を持つ話だった。
加害者が自分の加害に気付き、心を入れ替えて、いい人に生まれ変わる変化が起こるのは素晴らしいこと。
でも、一度傷ついた被害者は、変わった加害者を「許さなければいけない」わけじゃない。
⇔加害者は「被害者から許される」ために変わるんじゃない。加害者自身の人生のために変わる
そんなメッセージがあって、部分的に似た話として田村由美の『7SEEDS』の花と安吾の話を思い出した。