【感想・ネタバレ】名著の話 僕とカフカのひきこもりのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

Eテレの「100分de名著」の続きのお話。ここではカフカの「変身」、柳田國男「遠野物語」、神谷美恵子「生きがいについて」の3冊について更に掘り下げられている。
深く思考に入る一冊。カフカも私には「時の力」を待たずに読んだ本だったということが分かった。また読み直さないと。他の本についても忘れてはいけないことが随所に書かれていて、何度も読み返したくなると思える。

0
2023年06月09日

Posted by ブクログ

「100分de名著」ホスト役の、伊集院光さんと、番組でそれぞれの回に解説者として出演しておられた専門家の事後対談集。取り上げているのは次の三作品。

フランツ・カフカ『変身』
柳田国男『遠野物語』
神谷美恵子『生きがいについて』

共通して見えてくるのは、行き場のない者、出来ることを奪われた者の、その先にある『生きることの問い直し』のように思う。この本については、まず、番組を配信で見直すか、題材になった本をよむのが良い。しかし、それも大変…ということなら、全く知らぬまま、読まぬままより、

「この有名な作品は、こういう内容だったのか。ふうん。」

という感じで、刺さったものだけでもお手に取られると良いと思う。実際私は、『変身』は再読。『遠野物語』は、今はピンとこなくて、『生きがいについて』は初読。明日、カフカと神谷美恵子を借りに行く。柳田を放っておいて良いわけではないが、興味が湧かないものは致し方ない。ただ、人間何がいつ刺さって読み時になるか分からないから、サラッとでも知っておくのが大事。何も知らず、敷居が高いままだと、興味を持つこともないまま過ぎる。読書案内って、成果を求めるんじゃなく、ぱらぱらっと自分の内側に花の種を撒くようなものだ。花じゃなく竹とか生えてきても、それでいい。芽が出なくとも、それはそれで意味があるのだ。

各回の解説担当者の方も、伊集院さんも、番組以上にご自身に作品を近づけて語ってらっしゃるので、自分が読んだ時には、全く違う解釈鑑賞がでてくるかもしれない。でも、良いと思っている。

カフカの主人公、グレゴール・ザムザがりんごを投げつけられる意味も、アダムのりんごのように性的なメタファーだと読む説も紹介されていたが、それでは収まりきらないという。私自身は、あれは、虫になったザムザに対する、人間界、一般社会からの追放を意味するのだと読んだ。りんごは知恵の実。知恵があるから人は人足りうる。その知恵を凶器にされて大怪我を負うのは、まるで「もうお前はこの世界の住人ではない」と、知恵を剥奪されているように見える。

実際は彼の内面は、人のままなのに。周囲にとって『虫に変容してしまった人』から『ただの虫』にされてしまった、決定的瞬間だ。りんごをぶつけられるまでは、ザムザは虫の姿をしていても、人間だった。人間でなく虫なら、知恵も思考もいらないもの。叩き潰していい。そんな無言の理屈が成り立った時、ザムザは一家から排除されてしまう。事実あれ以降彼は忘れられ、衰えてゆく。

一方、神谷美恵子の存在した場所。一身を捧げた場所もまた、そこに行く前と後で、人生の色合いを強制的に変えられてしまう場所だった。らい病患者の方々の療養所。神谷自身は患者ではなく、外からの来訪者だった。
旧来、正しい知識や有効な治療法が理解されず、苦しむ方の多かったらい病。その療養所にあって、患者の方々が、どうご自身のこころを守り、日々を生きたか。

どちらの作品も、『自ら望んだ人生の変化ではない』のに、それを自分で引き受けてゆかざるを得ない状態が描かれている。ザムザは、虫になっても仕事が気になる。どこまでもこころは人間だからだ。実在の闘病する方々は、言うに及ばない。失うことの多い中、こころは確かに社会に在るままだ。

私達が、この生きづらい日々を切り抜けていく時、その描かれた有り様から、何を感じ、すくい取ることができるだろう。原典を読んでみようと思い至ったのは、こんなことをぽつぽつと考えたからだ。コロナ禍にしても、重い病や生活苦にしても、気がつけば捻れてしまった心にしても、懸命に生きているのに、まるでりんごが虫の殻を破るように、不意に私達を押しつぶす時がある。そこで、そのままになるか、ゼロ、いやマイナスからでも、新しい思慮によって生き直せるか。

本を読んだからとて、飛んできたりんごが、どくわけではないが、ついた傷に自ら手を添え

「まだ、もうちょっと。」

と言えるのか。何かの価値観の変換がないと、ひとりで生き方のギアを変えるのは難しい。そこのところを変える伴走者、渇ける人の隣を流れる伏水には、どの本もなってくれそうだ。

それと、余談であるが、このご本の中に、故・井上洋治先生の事が述べられている。若松先生は、井上先生に師事しておられたとか。道理で若松先生のお話ぶり、書かれる言葉が懐かしく、慕わしいはずである。ずっと、

「どなたを思い出すのかしら?」

と思っていた。井上先生だった。18歳からはたちの、まだ心のやわらかな時に、キリスト教学や人間学のお授業を受けた。いつも、誰に対しても、声を荒らげたり、不快な顔をなさったことのない先生で、慈しみに満ちた笑顔で学生に接してくださっていた。出席票の裏をコメントペーパーにして提出するのだが、どんな意見を記しても、そのお声の温かさは変わることなく、誰にも真摯に向き合ってくださっていた。

その頃は、何も思わずご一緒させて頂いたが、この歳になって、自分が新たに病を得たり、家族の支えにならなければいけない時、ふと先生のお講義を思い出すことがある。あのように接しなくては、と。自分のことや、ちいさな家の中の出来事など、コップの水の乱れのようなものだけれど、考えるのだ。

『投げ出してはいけませんよ』

と、きっとおっしゃるだろうと、自分にもう一度力をつける。不肖の学生で、当時ご心配もたくさんきっとかけた気がする。井上先生お一方だけでなく、あの頃出会ってくださった先生方に、それぞれ勉強だけでなく、普段から学ばせて頂いていた。感謝しかない。こんなところで思い出深い方と再会させていただけるとは……。
生きているのも、いいものである。

0
2023年02月03日

Posted by ブクログ

本には出会うタイミングがある。一読ピンとこなかったものが、違う出会いによってかけがえのないものなることもある。
本との関係性を深めていきたいと思う気持ち。それが読書の面白さなのだろう。
『変身』を改めて読みたくなりました。

0
2022年12月18日

Posted by ブクログ

100分で名著で取り上げた本のうちの3冊を対談集として本にしたものです。
カフカの「変身」柳田国男の「遠野物語」神谷美恵子の「生きがいについて」
テレビでも楽しく観ましたが、この本もさらに距離が近づいた感じでした。
またこの3冊を読み直してみたいです。

0
2022年11月30日

Posted by ブクログ

「100分で名著」も大好きな番組なので、この本を出してくださったことに感謝!もちろんテレビ番組をみたことがない方にもおすすめ。

カフカの「変身」。読んだことはあるけど、ますます再読したくなりました。「虫」のドイツ語の意味を知って読むのと、知らないで読むのとではだいぶ印象が違いそうですね。
遠野物語にも俄然興味が湧きました。

0
2022年07月24日

Posted by ブクログ

『100分de名著』の文章化もいい。専門家と「変身」「遠野物語」「生きがいについて」の三作を更に掘り下げての対談集。伊集院さんの経験を踏まえた喩えが非常に分かりやすく、未読者の力になる。

0
2022年06月27日

Posted by ブクログ

 名作にはなるべく触れておきたいと思いながらもなかなか手にするきっかけがない。カフカは昔、『城』を読もうとして途中でやめた記憶がある。他にも中上健次の『枯木灘』、中南米のアカデミー文学賞をとった作家のやつも途中でやめた。挫折の記憶が心をチクチクとさいなむ。こうして振り返ると今は、当時よりも読書習慣が身についていて、つまらなくても最後まで読む根性もあるので、いまこそ再挑戦したい。

 名作で言えば『罪と罰』『嵐が丘』は最後まで読んで、どっちも登場人物がクレイジーでとても面白かった。『星を継ぐもの』はとても面倒だったけど最後まで読んだら感動した。

 『遠野物語』は文語体で読むのが難しそうなので『変身』をまず読んで、次に『生きがいについて』を読んでみたい。

0
2022年06月16日

Posted by ブクログ

伊集院さんの「名著素人としての発言」が、名著素人の私の心にすぅーっと入っていき、理解が深まる感覚がとても心地よいです。
そういえば、学生時代に『生きがいにいつて』読んだことあるかもと思い出し、、、
今度実家に帰った時に探してみようかなと。

0
2022年04月27日

Posted by ブクログ

伊集院光さんの深夜ラジオのファンです。100分de名著も録画して拝見しています。伊集院さんが番組後に名著を読まれて、解説の専門家の方に感想を伝えて、名著の理解が深まっていく。本というのは体験なのだと改めて感じました。国語のテストで「著者の意図は…」にたったひとつの答えがあるのに我慢ならなかったワタシが救われました。もっと他の名著でもやってほしいし、番組にしてほしい。

0
2022年04月15日

Posted by ブクログ

本を自分に引き寄せて読む、本について誰かと語り合う、すると読みが深まることがわかる本。続編を期待。「生きがいについて」読みたい。

0
2022年04月03日

Posted by ブクログ

カフカ『変身』
元々好きな話だったが、もっと愛着が湧いた。
虫けらは自分であり、下手に妹が認めてしまったものだから、変わる機会を失ってしまった。

柳田国男『遠野物語』
いくつか引用を読んで面白かったが、やはり原文のままだと理解しにくく、解説付きのもので読んでみたくなった。ネットのまとめサイトのようだと表現していたが、そういわれると敷居の高さを感じず、より気軽に手を出せるように思う。

神谷美恵子『生きがいについて』
引用「人間が最も生きがいを感じるのは、自分のしたいと思うことと義務とが一致したときだ」
若松「〜生きがいは徹底的に質的なもの〜金銭や権力といった量的なものと関係し始めたら、それはもう、真の意味での生きがいではない。〜量的に比較しても何の意味もない。そして生きがいの発見とは、いつか行わなくてはならない人生の宿題でもある。」
伊集院「これに長い時間を割けないから生きがいとしては弱いな、みたいな考え方はおかしいわけですね」
上記の部分が特に印象的だった。
近年は“生きがい“という言葉の使い方がおかしく、押し付けがましくなっている。大学や企業が人間を人材と表現し、働くことが生きがい、そうゆう人間を増やそうと若者に押し付け、若者も求められる人材になろうと、枠にとらわれる。

0
2024年04月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【名著と名著の著者たちのお話】
この本では、カフカの『変身』、柳田国男の『遠野物語』、そしてちょうど先日読んだ神谷美恵子さんの『生きがいについて』の3冊について紹介されていた。
NHKの『100分de名著』を昔よく見ていて、カフカの回も見ていたから、思い出した。

『変身』は、番組を見た後に一度読んでいて、『遠野物語』は読んだことなくて、ネット上の「まとめサイト」みたいな本と話されていて、少し親しみを感じられた。

『生きがいについて』は、著者自身の状況についても紹介されていて、知らなかったのでなんだか新たな視点で読んだ本について省みたりした。この本を書くのにも何十年もかかった、自叙伝みたいなものだと紹介されていた。そして、調査・観察の対象である患者さんとの関係にも意識的であったこと、それが自分との関係性でもあったことも興味深かった。

それ以外にも、焦らされる社会で「待つ」という能動的行動について話されていたり、そこでギアを調整することー価値体系をずらす、価値基準を新たにすることをコロナの経験に照らし合わせていたり。死者との関係ー死生観、生き残っている人が亡くなった人のいのちを「生み直す」という視点は印象深かった。

「生きがい」を自分で読んだ時に、自己実現や表現について書かれていたところで、自分について唯一無二のかたちで人に伝え、受け取られることって自分の存在意義を確かめるうえで大事だなーとあらためて思ったりしていたけれど、この本のなかでは、「表現」と「体現」の違いについて話されていた。

対談者の若松英輔さんいわく、

—「生きがい」は情報化できない。別な言い方をすれば、「表現」に向いていなくて、むしろ「体現されることが多い。

らしい。

—現代は「表現」が重んじられる時代です。極端にいえば、信じていないことでもうまく表現することは可能です。そしてそれが評価されたりもする。しかし「体現」は、それまでその人が生きてきたものが現れてくる。…ハウツーの世界にあるのは、「体現」から切り離された「表現」だけ…」


コミュニケーション能力、言語化能力が強かったり、得意だったりする人もいるし、それができないよりできるほうがいいなーと思ったり。

でもそれは、一方で、少し順番が逆な場合もあるのかな。
相手の欲していることをうまく伝える、それは職業上求められることかもしれないけれど、人生トータルにおいて一番優先すべきことはたぶん、自分の価値観に基づいて、それをどう実現していくか。そのために、私たちは人と関わり、助けたり、力になることを欲するのだと思ったり。

論理的で実践的なハウツー本よりも、フィクションだけど具体的に生きているような人間のストーリーが描かれる小説が読みたくなったりする。それぞれが違って、そんな人物の生き様に心を動かされる。これもなにかつながっている気がした。生き方を通して、どう自分を体現するのか、一人の人物像があって、これまでとこれからがあって、それで今何をするのか、を問いながらみんな生きているのかもしれない。

0
2024年03月06日

Posted by ブクログ

伊集院さんは、スピーディーな笑いに知性あるワードセンスが隠されていていつも驚かされる。活字で読むとなおさら光って見える。伊集院だけに。(知性なし)

さてと、カフカという偉人については名前しか知らず、柳田國男は民俗学者で自分に火をつけた人。神谷恵美子さんは、、知らなかった。このひどい有様。
それでも面白く読めたのは、伊集院さんが絶妙な比喩やエピソードをあててくるおかげだろう。ひどい有様の私でも噛み砕き方がちょうど良い。セーフティネット。

「(100分de名著の話で)アナウンサーだとそういうことは言えない。ボクなら無知をさらけ出せるんですよ」

自分もそうありたい。未知との遭遇ならぬ、無知との遭遇とは上手すぎるもん。知りませんと言った後の、相手のリアクションを楽しむくらいには余裕をもちたいな。

0
2024年02月09日

Posted by ブクログ

 カフカ『変身』が、ホラー小説ではないと教えてくれた、伊集院光さん。
彼が語るカフカを、もう少し知りたく手に取った。
 ドイツ文学者の川島隆さんとの対話は、みな面白いが、特に″窓のある部屋に閉じこもりたい″気持ちに共感した。
 微妙な心情を、わかりやすく言葉にし、また上手い例えもしてくれていることに、読者を置き去りにしない彼の人柄も感じられた。

0
2024年02月08日

Posted by ブクログ


対談方式で読んだ本の感想を伝える本ですね。
3冊の本が紹介されてますね。
自分が読んだ事のあるのは1冊だけです。
それも何十年か前です。
殆ど覚えてなかったのが思い出されました。
そしてこんな捉えかたもあったのかと驚きました。
読んでなかった2冊も読んでないはずなのに共感出来ました。
名著を読む名著と言う事ですかね。

0
2023年12月25日

Posted by ブクログ

「変身」
→読みなおししたくなった
「遠野物語」
→なるほどそんな視点
「生きがいについて」
→まだ読みたいタイミングには
 なってないようだ

カクカクブックスにて購入

0
2023年09月20日

Posted by ブクログ

伊集院さんの意見に共感しまくりだった。
カフカについて語っていた時、人と繋がっていたい、話したいと言う気持ちがありながら、面と向かって話すのは抵抗があるし怖いから電話や手紙が繋がっていたいと主張は、特に共感した。

0
2023年04月09日

Posted by ブクログ

■ Before(本の選定理由)
NHKの人気番組のスピンオフ企画らしい。
100分de名著、というタイトルと構想が素敵。

■ 気づき
紹介された3冊の中で、「変身」と「遠野物語」は既読。既読なのだけれど、2人の対談を読んでいるとまったく違った・もう一度読みたい!と思わせる考察が得られる。目線としては、「著者はなぜこれを書いたのか」ということ。

■ Todo
番組、何かの手段で観てみよう。
自分が一番興味無さそうなヤツを、観てみたい。

0
2023年03月23日

Posted by ブクログ

100分de名著で紹介された本に対して、収録後にもう一度専門家と一緒に話をした本。
どの作品も読み方が人により変わる作品が紹介されており、次に読む本が決まった気分。どれもタイトルは聞いたことはあるけど読んだことがないので、自分だったらどう思うだろうかと今から楽しみ。

0
2022年10月26日

Posted by ブクログ

昔、変身を読んだ時はそういう設定なんだと割とすんなり受け止めていたが、これは引きこもりたい男の物語なんだと解釈されると全然違う話になるのだと衝撃を受けた。読み方は一通りじゃないと知れただけでもこの本を読んで良かった。

0
2022年07月25日

Posted by ブクログ

100分で名著で、本を読んでいない伊集院さんが本質をついた鋭い指摘をできるのが凄いなあと思っていたのですが、秘密がわかった気がしました。

0
2022年06月14日

Posted by ブクログ

100分では収まりきれない深い話が良かったです。伊集院さんの魅力や、本の読み方が深まりました。「変身」は何故?「遠野物語」はなんとなく、「いきがい」は名前を知っている程度の私にも〈無知との遭遇〉は起こりました。

0
2022年06月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

カフカ推しの方と出会ったのもあり、100分で名著が好きなのもあり、思わず手に取った一冊。

「変身」の虫は「人間にとって有益でない動物」というのが目から鱗。それを知るだけで見え方が変わるし、これは過去の私だとも思う。翻訳の難しさ、意図していない脚色も最近感じていたことなのでタイムリー。
これはカフカにハマるのも分かるし、今回の知識を踏まえて一度読んでみたい。
この時の100分で名著見たいな。

改めて伊集院さんは本当に頭のいい人だと思う。
ご本人は無知を晒して〜と仰るけど、伝わりやすい言葉を選ぶのが上手で、スピードが速くて羨ましい。
こうして理解が深まったのも伊集院さんのその能力の高さだと思う。

遠野物語の作り方も興味深かったけれど、怖い話が苦手なので、私は今読めないなと感じた。

0
2024年02月04日

Posted by ブクログ

文学を解釈するってどうしてもあまり好きではないのですが(みんなそれぞれでいいじゃんと感じてしまう…)、
文中、伊集院さんが語られた以下の言葉に共感。

『ちゃんと無知をさらけ出してよかった』
『今は、正解探しの風潮が強すぎて、「こう考えるのも面白いよね」という楽しみ方が制限されてきちゃってる気がします。』

そういう意味ではこういう「100分de名著」のような番組やこうしたスピンオフ対談本には意義があると思う。

0
2024年01月28日

Posted by ブクログ

伊集院光が番組で紹介されたうちの3冊を選び、紹介者と対話形式で進む本の1冊目。
基本となりそうな3冊。
特に気になったのが遠野物語の、学問か文学かの揺れ動き方。と口伝の物語のでき方。
ある閉ざされたグループ、ここでは村の中での、格差によって物語は生まれるという。
みんな知っているが公に口にしてはいけない、小声で囁き合ううちに、いつのまにか物語になり、道徳や背景などが書き込まれてその地域の物語になってしまう。まるで学問の文学の揺れ動き方によく似ていて、そういう意味ではこの作品が紹介されたのが嬉しい。

0
2023年11月14日

Posted by ブクログ

ちょこちょこ視聴してる「100分で名著」。伊集院さんは番組で取り上げてる間は、取り上げてる本を読んでなくて、読み終わったら語りたくなって実現した番組出演者との対談集。

0
2023年09月14日

Posted by ブクログ

タレント・伊集院光氏が、『変身』『遠野物語』『生きがいについて』の三作品を、それぞれの専門家とともに読み解く、NHK『100分de名著』のその後の話。『遠野物語』以外は読んだことがないので、機会があれば手に取ってみたい、と思った。

0
2023年08月04日

Posted by ブクログ


先日、読んだ一冊、
NHK Eテレ「100分de名著」で出会った約100冊から、
伊集院光が熟読して心に刺さった3冊を厳選。
名著をよく知る専門家に再会し、新たに徹底トークを繰り広げる。


きっかけは
テレビやラジオで活躍中の著者が、
(特にラジオ人格が面白く)
この人がどう語るかが気になったこと。

番組自体はテレビをザッピングして
流し見する程度で
難しい本を紹介している印象があり、

本書にある3冊は
自分から手に取って読むには
難しいイメージを持っていました。

カフカ『変身』では虫になった人は
引きこもりで外に出られなくなった人に
例えてみたり、

経験や想像に引き寄せて自由な見立てと解釈で 
専門家とのトークも弾み 
思わずにやけてしまう面白さがありました。

名著はその時々の本と出会いを
大事することが読むための秘訣のようで
長く読み継がれる本の
良さが垣間見えて良かったです。

早速、
一冊読んでみたいと思えました。

0
2022年07月24日

Posted by ブクログ

 伊集院光氏が憧れていた立川談志師匠に会ったとき、「あるとき、談志師匠の落語を聞いてこの差は埋められないとショックを受け、ノイローゼになって落語家をやめました」と話したとき、談志師匠は「嘘じゃねえのかもしんねぇけどさ。よくできた話だな」と答えたというエピソードがあった。

 神谷美恵子著『生きがいについて』についての話だ。本について話しながら、自分の体験と照らしていろいろなことを考える。いや、この談志師匠のくだりは、『生きがいについて』とは、まったく関係ないんだけどさ。でも、言葉にしてしまうときれいすぎること、スっと入ってしまうことの怖さみたいな話から、こういう話になっていたのではなかったかな。生きがいとは、あるいは生きることとは、そんな筋の通ったものではないのだ、と。談志師匠には、そこを喝破されたのではないか、なんてねえ。でも一方で、それもまた真実なら、いやいや、ほんとなんですよ、というために、その後の伊集院氏のキャリアがあったともいえるんじゃないですか、なんて答えもある。このあたり、本を間に挟んでの対談の面白さだね。

 本を読むとは、ただその内容だけでなく、そこからさらに人の思考を広げてくれるんだな。

 面白かった。

0
2022年05月07日

Posted by ブクログ

Eテレ「100分de名著」で取り上げられた『変身』『遠野物語』『生きがいについて』を、番組での解説担当者と伊集院光さんが語り合った著作。伊集院さんが、収録後にそれらを読み返して、再度聞いてみたくなったことを、担当者に聞いたのだという。番組を実際に見ていれば、一層楽しめたことと思うが、この本単独でも、十分に楽しい。特に、『生きがいについて』(若松英輔さん)に関する対談がよかった。

0
2022年03月23日

「エッセイ・紀行」ランキング