【感想・ネタバレ】ヒッグス粒子の謎のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

・正確には、質量は何かというと、ふた通りの定義のしかたがあります。ひとつは、光のスピードからどのくらい遅くなるかを示す量のことです。「慣性質量」と呼ばれています。質量にはもうひとつ、「重力質量」というのがあって、こちらがいわゆる「重さ」です。このふたつが非常に高い精度で一致していることが実験から分かっています。この理由はまだ不明ですが、一般性相対理論を支持する「等価原理」のひとつです。

・宇宙誕生直後に温度が下がって、平均してゼロになった時に何かが起こった。何が起こったかというと、それまで何もなかった真空がヒッグス場に満たされ、エネルギーが低くなったのです。
だから、平均したら何もないのではなく、ヒッグス場があった方が、エネルギーが低くなります。自然は、エネルギーが低い方を選ぶので、この状態が真空の環境になったわけです。
するとこのような真空ではどのようなことが起こるでしょうか。
力を伝える素粒子に、弱い力を伝えるW粒子とZ粒子、強い力を伝えるグルーオン、そして電磁気力を伝える光(光子)があることはすでにお話ししました。我々の住んでいる環境(=真空)は、弱い力に満たされている変な状態なので、W粒子・Z粒子が質量を持っている訳です。
だから、素粒子は今でも性質として質量がゼロです。しかし、真空という環境が変わったために、その中を運動していると質量を持ったように見えているのです。
では、それぞれの素粒子の質量の違いはどうして生まれるのでしょうか。
真空がヒッグス場に満たされ、ヒッグス粒子みたいなのがいっぱいいるわけだから、運動していくとぶつかります。
トップクォークは非常によくヒッグス粒子とくっつくので、何度もぶつかって進んでいかなくなります。電子はたまにぶつかるだけなので、そんなに減速されません。ニュートリノはほとんどぶつからないので、そのままスーッと通り抜けていきます。

・2011年頭から2012年6月までの1100兆回の衝突の中から、光が2個出ている現象を探し、計算して求めた質量分布を取ってみます。この時、二つの光は質量としてはまったくランダムに分布しています。ところが、もしヒッグス粒子から光がきたとすると、ヒッグス粒子はひとつの質量を持っているので、その質量のところに山が見えるわけです。
…この質量のところの山が、バックグラウンド現象という他の現象で生じる光の発生と比較して標準偏差シグマの5倍以上になるのを「5シグマ」といい、私たちは発見と呼んでいます。5シグマだと、たまたまふらついてこの数になってしまう確率がだいたい100万分の1以下です。

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2013年06月01日

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